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怖いもの
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今日は初めてのロケの仕事だった。
最初にNGの仕事はあるかと聞かれて、特に思い出せなくて、無いと答えたことを今になって後悔している。
ここはA県のとある旅館。
どうやら出るらしい……
クマが。
というのは冗談で、霊的なやつが出るという巷で噂の旅館なんだとか…
霊感とかないから大丈夫って思ったけど、やっぱ怖いな…
部屋につけた定点カメラで、俺たちを撮影するらしい。
スタッフさんと、念の為に連れて来た霊媒師さんは、別室のモニターで俺たちを見守る。
俺たちは旅館にチェックインして、指示された部屋に向かった。
撮影も始まっていた。
会話をしながら廊下を歩く。
「那月…俺の目の届くとこおって…」
「何で?」
「怖いからに決まってるやん!」
「わかった。わかったから、服引っ張るなよ。左の袖だけ伸びる」
「じゃあ右も引っ張る…」
「…」
「溜め息つくなよ…」
「着いたぞ」
部屋の扉を開けると、想像していたより、だいぶ綺麗な部屋だった。
窓からは外の景色が一望できる。
ネオン的なものが無いから、きっと夜は星が綺麗なんだろうな。
「すごい!眺めいい!」
「怖かったんじゃ無いのか?」
「まだ明るいから大丈夫!」
「あっそ」
チェックインの時、仲居さんが説明してくれた。
「お食事は18時からと、お伺いしております。温泉の方は、清掃の時間以外はいつでもお入りいただいて大丈夫ですので、ごゆっくりお寛ぎください」
だって。
「温泉、いつ行く?掃除の時間以外は、入り放題って言ってたなー!」
「とりあえず、汗流したいから荷物置いたら行くか?」
「やったー!」
俺たちは温泉に浸かりながら、話をしていた。
露天風呂、気持ち良すぎ!
とりあえず撮影用に、温泉を1時間貸切にしている。
お客さんが少ないから良いですよと、旅館の人も快くOKしてくれた。
「那月はおばけ怖く無いの?」
「あんまり。俺そういうの見えないし」
「俺もそういうの見えないよ!でも見えないから怖いんじゃない?」
「そうかな?見えないものの存在を、証明はできないだろ?今ここで怪奇現象が起こっても、それが幽霊のせいとは証明出来ないからな。こんな仕事してると思うよ。1番怖いのは人間だって」
「そうかもしれないけど…」
「よくある話だろ?ちょっとしたことでアンチになったり、簡単にディスったり…気に入らないからって、誹謗中傷したり…幽霊には出来ないけど、それが人間にはできる。その方が怖いなって最近思ったりする」
「まあ、そうだね」
「それに俺はファンの人や、周りで支えてくれる人を失う方が、もっと怖い。だから見放されないように、頑張んなきゃなって思う」
「そだね!俺も頑張る!何より、那月に見放されないように頑張る!」
「…うん。俺も」
なんて、意外と真面目な話もしちゃったりして。
部屋に戻ると食事が用意されていた。
「お鍋お持ちしますね……熱いのでお気をつけください」
「すごーい!うまそう!」
「本当に…」
「いただきまーす」
俺たちは、幽霊なんて忘れて、食事を堪能していた。
夕食が終わって、何かが起きるまで、ゲームをしようってことになった。
でも何も起こらないな…
何時間かして、仲居さんが布団を敷きに来てくれた。
電気を消して、2人で布団に寝転んで話をする。
「もう何も起こらないよな?」
「それはどうかな。幽霊だって、だいたい夜中に出てくるんじゃねーの?」
「ちょっと、怖いから変なこと言わんとって」
「じゃあ怖い話でもする?」
「何で!?しないよ!」
「でもテレビ的には、何か怪異が起きた方が面白いだろ?なんかそういう話してると、寄ってくるとかいうし…」
「寄って来ていらん!」
「…昔、霊感のある知り合いから聞いた話なんだけど…」
「やだ!しないって言ったのに!もし、するんなら、手ぇ繋いで!」
「やだよ」
「じゃあ、そっちの布団いって那月にくっつく!」
「余計に嫌だよ」
「じゃあやめて!」
「…昔、その人がさ…」
「やだってば!」
と言って、俺は那月の布団に押し入り、那月にくっついた。
「わかった。わかったから離れろ…」
「やだ」
「もう、怖い話しないから…」
「絶対?」
「絶対」
「じゃあ離れる…」
と自分の布団に転がりながら戻ると、ドンっと何かにぶつかった。
「あ、すみません…」
と思わず謝ったけど…
?
この部屋には俺と那月だけのはず…
スタッフさんとかは別室でモニター見たり仮眠を取ったりしてる。
じゃあ俺がぶつかったのは…?
「おい、どうした?」
「ぎゃー!!」
と言いながら、再び抱きつく。
その時パッと灯りがついて、
「ドッキリでーす!」
とスタッフさんが入ってくる。
まだ頭の中が整理できてない。
俺の布団に横たわっていたのは、崇さんだった。
「何してんですか!?」
「ドッキリ?の仕掛人?」
「びっくりして、死ぬかと思いましたよ!」
「夏、なっちゃん!2周年おめでとう!あと夏は誕生日もおめでとう!」
崇さんにそう言われて、時計を見てハッとした。
もう0時を回っている。
そうだ。
俺たちが曲を出して、デビューしたあの日は、2年前の今日で、それは俺の誕生日でもあった。
ちなみに2曲目を出したクリスマスは那月の誕生日なんだが…
「2周年か」
と那月が俺を見て言った。
「もしかしてドッキリって知ってた?」
「知らなかったよ」
「そっか。2周年のお祝いドッキリなのに、普通本人に知らせないよな。でも良かった!これで安心して寝れる!」
と俺が言うとみんなが笑っていた。
最初にNGの仕事はあるかと聞かれて、特に思い出せなくて、無いと答えたことを今になって後悔している。
ここはA県のとある旅館。
どうやら出るらしい……
クマが。
というのは冗談で、霊的なやつが出るという巷で噂の旅館なんだとか…
霊感とかないから大丈夫って思ったけど、やっぱ怖いな…
部屋につけた定点カメラで、俺たちを撮影するらしい。
スタッフさんと、念の為に連れて来た霊媒師さんは、別室のモニターで俺たちを見守る。
俺たちは旅館にチェックインして、指示された部屋に向かった。
撮影も始まっていた。
会話をしながら廊下を歩く。
「那月…俺の目の届くとこおって…」
「何で?」
「怖いからに決まってるやん!」
「わかった。わかったから、服引っ張るなよ。左の袖だけ伸びる」
「じゃあ右も引っ張る…」
「…」
「溜め息つくなよ…」
「着いたぞ」
部屋の扉を開けると、想像していたより、だいぶ綺麗な部屋だった。
窓からは外の景色が一望できる。
ネオン的なものが無いから、きっと夜は星が綺麗なんだろうな。
「すごい!眺めいい!」
「怖かったんじゃ無いのか?」
「まだ明るいから大丈夫!」
「あっそ」
チェックインの時、仲居さんが説明してくれた。
「お食事は18時からと、お伺いしております。温泉の方は、清掃の時間以外はいつでもお入りいただいて大丈夫ですので、ごゆっくりお寛ぎください」
だって。
「温泉、いつ行く?掃除の時間以外は、入り放題って言ってたなー!」
「とりあえず、汗流したいから荷物置いたら行くか?」
「やったー!」
俺たちは温泉に浸かりながら、話をしていた。
露天風呂、気持ち良すぎ!
とりあえず撮影用に、温泉を1時間貸切にしている。
お客さんが少ないから良いですよと、旅館の人も快くOKしてくれた。
「那月はおばけ怖く無いの?」
「あんまり。俺そういうの見えないし」
「俺もそういうの見えないよ!でも見えないから怖いんじゃない?」
「そうかな?見えないものの存在を、証明はできないだろ?今ここで怪奇現象が起こっても、それが幽霊のせいとは証明出来ないからな。こんな仕事してると思うよ。1番怖いのは人間だって」
「そうかもしれないけど…」
「よくある話だろ?ちょっとしたことでアンチになったり、簡単にディスったり…気に入らないからって、誹謗中傷したり…幽霊には出来ないけど、それが人間にはできる。その方が怖いなって最近思ったりする」
「まあ、そうだね」
「それに俺はファンの人や、周りで支えてくれる人を失う方が、もっと怖い。だから見放されないように、頑張んなきゃなって思う」
「そだね!俺も頑張る!何より、那月に見放されないように頑張る!」
「…うん。俺も」
なんて、意外と真面目な話もしちゃったりして。
部屋に戻ると食事が用意されていた。
「お鍋お持ちしますね……熱いのでお気をつけください」
「すごーい!うまそう!」
「本当に…」
「いただきまーす」
俺たちは、幽霊なんて忘れて、食事を堪能していた。
夕食が終わって、何かが起きるまで、ゲームをしようってことになった。
でも何も起こらないな…
何時間かして、仲居さんが布団を敷きに来てくれた。
電気を消して、2人で布団に寝転んで話をする。
「もう何も起こらないよな?」
「それはどうかな。幽霊だって、だいたい夜中に出てくるんじゃねーの?」
「ちょっと、怖いから変なこと言わんとって」
「じゃあ怖い話でもする?」
「何で!?しないよ!」
「でもテレビ的には、何か怪異が起きた方が面白いだろ?なんかそういう話してると、寄ってくるとかいうし…」
「寄って来ていらん!」
「…昔、霊感のある知り合いから聞いた話なんだけど…」
「やだ!しないって言ったのに!もし、するんなら、手ぇ繋いで!」
「やだよ」
「じゃあ、そっちの布団いって那月にくっつく!」
「余計に嫌だよ」
「じゃあやめて!」
「…昔、その人がさ…」
「やだってば!」
と言って、俺は那月の布団に押し入り、那月にくっついた。
「わかった。わかったから離れろ…」
「やだ」
「もう、怖い話しないから…」
「絶対?」
「絶対」
「じゃあ離れる…」
と自分の布団に転がりながら戻ると、ドンっと何かにぶつかった。
「あ、すみません…」
と思わず謝ったけど…
?
この部屋には俺と那月だけのはず…
スタッフさんとかは別室でモニター見たり仮眠を取ったりしてる。
じゃあ俺がぶつかったのは…?
「おい、どうした?」
「ぎゃー!!」
と言いながら、再び抱きつく。
その時パッと灯りがついて、
「ドッキリでーす!」
とスタッフさんが入ってくる。
まだ頭の中が整理できてない。
俺の布団に横たわっていたのは、崇さんだった。
「何してんですか!?」
「ドッキリ?の仕掛人?」
「びっくりして、死ぬかと思いましたよ!」
「夏、なっちゃん!2周年おめでとう!あと夏は誕生日もおめでとう!」
崇さんにそう言われて、時計を見てハッとした。
もう0時を回っている。
そうだ。
俺たちが曲を出して、デビューしたあの日は、2年前の今日で、それは俺の誕生日でもあった。
ちなみに2曲目を出したクリスマスは那月の誕生日なんだが…
「2周年か」
と那月が俺を見て言った。
「もしかしてドッキリって知ってた?」
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