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変化
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「そういえば!」
と突然武田さんが言った。
「僕、この間の話が気になっちゃって、あの後娘達に聞いたんだ。なっちゃんが夏くんを好きっていうのはどういう意味?って」
「聞いたんですか!?」
「そう。なんか気になっちゃったから…」
「…娘さん達はなんと?」
「何年か前の、映画かなんかの雑誌の取材で、なっちゃんが夏くんについて話してたのを見たって。目標にしてる俳優さんとか歌手の人はいますか?みたいな質問に、相方の夏輝ですって答えてたんだって。忙しくても歌も手を抜かないし、ダンスの練習もちゃんとして、昔より上手になったって那月くんが雑誌で話してたって娘達が言ってたよ。」
「そんなの…知らなかった」
「あんまりお互いのは見ない?」
「ドラマや映画や舞台は見るんですけど、雑誌は嵩張るのであんまり買って見たりはしないです。事務所にはあるのでタイミングがあえば見ますけど…」
「なんかね。自分には持ってないものいっぱい持ってるから、自分は夏輝くんのファンなんだって。それでいて、仕事のパートナーで、友人で、恋人で、家族で、とりあえず何にもかえられないくらい大事で、尊敬する人ですって言ってたってさ」
「大袈裟ですよね」
ふふっと俺が笑って言うと、武田さんは
「そんな人が近くにいて応援してくれるなら、何でも乗り越えて行けそうな気がするね」
と言った。
「…誰にも言わないで欲しいんですけど」
「うん?」
「僕の好きな人は那月なんです」
武田さんの表情に、一瞬驚きが見えた。
そのあと、うわっと笑って、
「娘達の言った通りだったんだ!あっ。娘達が言ってたのは逆か…なっちゃんが好きなのは夏くんだって言ってたから…」
「ちょっと前に色々あって、あいつに好きだと言われて、戸惑って、でも避けられなくて、向き合って、それで自分の気持ちに気付いたと言いますか…」
「じゃあ…?」
「はい。そんな感じです」
俺は少し言葉を濁した。
「青春だねー!でも僕に言ってもよかったの?そんな大事なこと…」
「悪い人じゃないって思ってますから。信じてます」
「おー、ありがとう!娘達にも言わないから安心して」
「あー、ちょっと楽になりました。ありがとうございます」
「全然!こっちこそ楽しかったよ。それに、お客様の行きたい目的地に、快適に送り届けるのが僕の仕事だからね」
「ありがとうございます」
「じゃあコンビニまで送り届けるよ?」
「はい!よろしくお願いします」
家に帰ると那月が帰っていた。
「大丈夫か?どこに行ってた?」
「楽器屋さん。ギターの弦買いに」
「そっか。電話出なかったから…」
「なんか用だった?」
「りゅうくんを連れ去ろうとした犯人、捕まった」
「え?」
「さっき警察から連絡きたって、春陽が言ってた」
「そっか。これで少しは安心…なのかな…?」
「うん」
「やっぱり俺のファンだった?」
「多分…でもお前が悪いわけじゃない。気にするな…って言っても無理だろうな」
「うん…でも俺たちのやることは変わらないから…今まで通り出来ることをする」
「そうだな…あと、1週間後のMストの収録の後、事務所寄ってだって」
「わかった」
1週間後俺たちは事務所にいた。
事務所の人間全員が集められていた。
「この度、社長を退くことになりました」
突然の沙織さんの言葉。
周囲はざわつく。
「新しい社長は春陽にやってもらう」
この事務所は沙織さんが社長、妹さんが副社長だ。
沙織さんが社長職を退くなら、妹さんが次の社長では?
みんなの頭にもそんなことが浮かんだんだろう。
それを察して、妹の綾香さんが言った。
「実は、私も姉も新しい命を授かることが出来まして、それならばいっそ春陽さんに、社長職を引き継いだ方がいいということになりました」
おー。なるほど。
って、え!?2人とも?
「おめでとうございます!!」
俺がバカみたいに大きな声で、拍手しながら叫んだもんだから、周りのみんなは一瞬固まったけど、その後口々にお祝いの言葉を述べた。
家に帰って部屋の扉を開けた途端、後ろから那月に抱きしめられる。
「何!?」
「…俺たちも子供作ろう?」
「は!?無理だよ!俺、子供なんて産めないよ!」
「そうじゃなくて……しよ?俺、もう我慢できない」
「いやいや、そんな急に…それに待つって言うたやん!」
「もう、待てない」
そう言うと、俺をソファに押し倒してキスをした。
最近やっとこの那月の重ためのキスに慣れてきた。
「んっ…ちょっとまって。先にシャワー浴びて…」
「…わかった。逃げるなよ?」
「逃げないよ。明日休みだし酒もあるから、つまみでも作っておく」
「わかった。あっ、一緒に入るでもいいよ?」
「入らんわ!早よ行ってこい!」
「ロケやら何やらで散々裸も見て来たのに、今更恥ずかしがらなくても…」
とぶつぶつ言いながらバスルームに向かって行った。
俺はキッチンに立ってツマミ作りながら、武田さんに言われたことを思い出した。
“そんな人が近くにいて、応援してくれるなら、何でも乗り越えて行けそうな気がするね”
これ以上乗り越えなきゃいけないものって何だろう。
と突然武田さんが言った。
「僕、この間の話が気になっちゃって、あの後娘達に聞いたんだ。なっちゃんが夏くんを好きっていうのはどういう意味?って」
「聞いたんですか!?」
「そう。なんか気になっちゃったから…」
「…娘さん達はなんと?」
「何年か前の、映画かなんかの雑誌の取材で、なっちゃんが夏くんについて話してたのを見たって。目標にしてる俳優さんとか歌手の人はいますか?みたいな質問に、相方の夏輝ですって答えてたんだって。忙しくても歌も手を抜かないし、ダンスの練習もちゃんとして、昔より上手になったって那月くんが雑誌で話してたって娘達が言ってたよ。」
「そんなの…知らなかった」
「あんまりお互いのは見ない?」
「ドラマや映画や舞台は見るんですけど、雑誌は嵩張るのであんまり買って見たりはしないです。事務所にはあるのでタイミングがあえば見ますけど…」
「なんかね。自分には持ってないものいっぱい持ってるから、自分は夏輝くんのファンなんだって。それでいて、仕事のパートナーで、友人で、恋人で、家族で、とりあえず何にもかえられないくらい大事で、尊敬する人ですって言ってたってさ」
「大袈裟ですよね」
ふふっと俺が笑って言うと、武田さんは
「そんな人が近くにいて応援してくれるなら、何でも乗り越えて行けそうな気がするね」
と言った。
「…誰にも言わないで欲しいんですけど」
「うん?」
「僕の好きな人は那月なんです」
武田さんの表情に、一瞬驚きが見えた。
そのあと、うわっと笑って、
「娘達の言った通りだったんだ!あっ。娘達が言ってたのは逆か…なっちゃんが好きなのは夏くんだって言ってたから…」
「ちょっと前に色々あって、あいつに好きだと言われて、戸惑って、でも避けられなくて、向き合って、それで自分の気持ちに気付いたと言いますか…」
「じゃあ…?」
「はい。そんな感じです」
俺は少し言葉を濁した。
「青春だねー!でも僕に言ってもよかったの?そんな大事なこと…」
「悪い人じゃないって思ってますから。信じてます」
「おー、ありがとう!娘達にも言わないから安心して」
「あー、ちょっと楽になりました。ありがとうございます」
「全然!こっちこそ楽しかったよ。それに、お客様の行きたい目的地に、快適に送り届けるのが僕の仕事だからね」
「ありがとうございます」
「じゃあコンビニまで送り届けるよ?」
「はい!よろしくお願いします」
家に帰ると那月が帰っていた。
「大丈夫か?どこに行ってた?」
「楽器屋さん。ギターの弦買いに」
「そっか。電話出なかったから…」
「なんか用だった?」
「りゅうくんを連れ去ろうとした犯人、捕まった」
「え?」
「さっき警察から連絡きたって、春陽が言ってた」
「そっか。これで少しは安心…なのかな…?」
「うん」
「やっぱり俺のファンだった?」
「多分…でもお前が悪いわけじゃない。気にするな…って言っても無理だろうな」
「うん…でも俺たちのやることは変わらないから…今まで通り出来ることをする」
「そうだな…あと、1週間後のMストの収録の後、事務所寄ってだって」
「わかった」
1週間後俺たちは事務所にいた。
事務所の人間全員が集められていた。
「この度、社長を退くことになりました」
突然の沙織さんの言葉。
周囲はざわつく。
「新しい社長は春陽にやってもらう」
この事務所は沙織さんが社長、妹さんが副社長だ。
沙織さんが社長職を退くなら、妹さんが次の社長では?
みんなの頭にもそんなことが浮かんだんだろう。
それを察して、妹の綾香さんが言った。
「実は、私も姉も新しい命を授かることが出来まして、それならばいっそ春陽さんに、社長職を引き継いだ方がいいということになりました」
おー。なるほど。
って、え!?2人とも?
「おめでとうございます!!」
俺がバカみたいに大きな声で、拍手しながら叫んだもんだから、周りのみんなは一瞬固まったけど、その後口々にお祝いの言葉を述べた。
家に帰って部屋の扉を開けた途端、後ろから那月に抱きしめられる。
「何!?」
「…俺たちも子供作ろう?」
「は!?無理だよ!俺、子供なんて産めないよ!」
「そうじゃなくて……しよ?俺、もう我慢できない」
「いやいや、そんな急に…それに待つって言うたやん!」
「もう、待てない」
そう言うと、俺をソファに押し倒してキスをした。
最近やっとこの那月の重ためのキスに慣れてきた。
「んっ…ちょっとまって。先にシャワー浴びて…」
「…わかった。逃げるなよ?」
「逃げないよ。明日休みだし酒もあるから、つまみでも作っておく」
「わかった。あっ、一緒に入るでもいいよ?」
「入らんわ!早よ行ってこい!」
「ロケやら何やらで散々裸も見て来たのに、今更恥ずかしがらなくても…」
とぶつぶつ言いながらバスルームに向かって行った。
俺はキッチンに立ってツマミ作りながら、武田さんに言われたことを思い出した。
“そんな人が近くにいて、応援してくれるなら、何でも乗り越えて行けそうな気がするね”
これ以上乗り越えなきゃいけないものって何だろう。
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