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次のエサ
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約束の日、俺は屋台のそばにいた。
エサはもう決めてある。
最近ずっと薔薇を買いに来る女がいる。
1人で来たり、友達と来たり、この間は彼氏らしき男と来ていたり……この彼氏らしき男というのが問題だった。
俺から薔薇を買うと、必ず怒って人のいないところに彼女を連れて生き、暴力を振るう。
それを見てから次のターゲットはこいつにしようと決めていた。
今日も別の屋台で彼女が食べ物を買うと、"色目を使っただろう"と嫉妬し、人のいない場所へ彼女を連れて行った。
後を追う。
しばらくして見失った。
おかしいな。いつもこの辺に……
その時男同士の言い争う声がした。
「女の子殴るなんて最低だな!」
「俺の女だ! どうしようと勝手だろ!」
そう言ってエサは、女を庇おうと立ちはだかる男に殴りかかった。
殴られた男の顔が月明かりで確認できる。
……ソウ?
あいつ何をしてる。
もう一度ソウを殴ろうとしたエサの腕を俺は掴んだ。
「やめておけ。それ以上やるとただじゃ済まないぞ」
それ以上やらなくてもただじゃ済まないが。
「うるさい! それはお前らだ!」
と隠し持っていたナイフをポケットから取り出した。
そんなもので俺を殺せると?
銀で出来たものならまだしも、せいぜい鋼かステンレスだろう。
ただここで血を吸うわけにはいかない。
ソウたちを遠ざけねば。
「ソウ!俺が食い止める間に彼女を安全なところへ」
「わ、わかった!」
逃げるソウを追いかけようとしたエサを掴み、木に叩きつけた。
「ぐ……う。うぅ」
衝撃で息ができないのだろう。
口をパクパクさせながら抵抗している。
辺りを見回し、人がいないことを確認する。
「自分のパートナーだけでなく、ソウまで傷付けるとは……血を吸って灰にするだけでは甘いがな。しかたない」
俺はエサの血を一滴残らず吸い切った。
「今までで1番不味い」
~~~~~~~~~~
俺は何食わぬ顔で、夜市に戻っていたソウのところへ戻った。
「あの……ありがとうございました」
女は俺たちに礼を言った。
「もう大丈夫だ。あいつは現れない」
「え!? まさか殺して埋めたりしてないよね?」
ソウがびっくりしてこっちを見る。
「あんな奴は殺す価値もない。俺はあいつを木に叩きつけて、今度同じことをしてみろ。1番苦しむ方法で拷問してやると言っただけだ。するとあいつは逃げてった」
「そっか。もう大丈夫そう。良かったね!」
「はい。ありがとうございました」
女は家へと帰っていった。
「じゃあ俺たちも行こ? あ、食料は買った?」
「まだだ。少し待っててくれ」
俺はいつもの店で、赤いリンゴ飴を買って戻って来た。
「食料ってリンゴ飴? 可愛い!」
「ほらお前の分も……」
「ありがとう!」
俺たちはリンゴ飴を食べながら屋敷へ向かった。
エサはもう決めてある。
最近ずっと薔薇を買いに来る女がいる。
1人で来たり、友達と来たり、この間は彼氏らしき男と来ていたり……この彼氏らしき男というのが問題だった。
俺から薔薇を買うと、必ず怒って人のいないところに彼女を連れて生き、暴力を振るう。
それを見てから次のターゲットはこいつにしようと決めていた。
今日も別の屋台で彼女が食べ物を買うと、"色目を使っただろう"と嫉妬し、人のいない場所へ彼女を連れて行った。
後を追う。
しばらくして見失った。
おかしいな。いつもこの辺に……
その時男同士の言い争う声がした。
「女の子殴るなんて最低だな!」
「俺の女だ! どうしようと勝手だろ!」
そう言ってエサは、女を庇おうと立ちはだかる男に殴りかかった。
殴られた男の顔が月明かりで確認できる。
……ソウ?
あいつ何をしてる。
もう一度ソウを殴ろうとしたエサの腕を俺は掴んだ。
「やめておけ。それ以上やるとただじゃ済まないぞ」
それ以上やらなくてもただじゃ済まないが。
「うるさい! それはお前らだ!」
と隠し持っていたナイフをポケットから取り出した。
そんなもので俺を殺せると?
銀で出来たものならまだしも、せいぜい鋼かステンレスだろう。
ただここで血を吸うわけにはいかない。
ソウたちを遠ざけねば。
「ソウ!俺が食い止める間に彼女を安全なところへ」
「わ、わかった!」
逃げるソウを追いかけようとしたエサを掴み、木に叩きつけた。
「ぐ……う。うぅ」
衝撃で息ができないのだろう。
口をパクパクさせながら抵抗している。
辺りを見回し、人がいないことを確認する。
「自分のパートナーだけでなく、ソウまで傷付けるとは……血を吸って灰にするだけでは甘いがな。しかたない」
俺はエサの血を一滴残らず吸い切った。
「今までで1番不味い」
~~~~~~~~~~
俺は何食わぬ顔で、夜市に戻っていたソウのところへ戻った。
「あの……ありがとうございました」
女は俺たちに礼を言った。
「もう大丈夫だ。あいつは現れない」
「え!? まさか殺して埋めたりしてないよね?」
ソウがびっくりしてこっちを見る。
「あんな奴は殺す価値もない。俺はあいつを木に叩きつけて、今度同じことをしてみろ。1番苦しむ方法で拷問してやると言っただけだ。するとあいつは逃げてった」
「そっか。もう大丈夫そう。良かったね!」
「はい。ありがとうございました」
女は家へと帰っていった。
「じゃあ俺たちも行こ? あ、食料は買った?」
「まだだ。少し待っててくれ」
俺はいつもの店で、赤いリンゴ飴を買って戻って来た。
「食料ってリンゴ飴? 可愛い!」
「ほらお前の分も……」
「ありがとう!」
俺たちはリンゴ飴を食べながら屋敷へ向かった。
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