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白い薔薇
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「今から家に行ってもいい?」
今日は屋台は休みだが、広場で歌うソウを見ていた。
突然だった。
「どうした?急に」
「だって前に庭の薔薇見せてくれるって言ったじゃん」
「確かに……でもいきなりだな」
「今日、DVDも持って来たんだ! 一緒に観よ! 家なら朝まで居ても大丈夫だよね?」
あ、朝まで居るのか?
「わかった。行こうか」
「やった!」
実はDVDプレーヤーはバイトしたお金で買っておいた。
いつこうなってもいいように。
それにスマホも調達した。
ソウと連絡が取れるよう。
~~~~~~~~~~
「庭の薔薇見ていい?」
「ああ。何か飲むか?」
「じゃあアリスと同じもので」
「わかった。気が済むまで見てこい」
「うん!」
俺と同じもの……俺はワインしか飲まないんだが。
それでいいのか?
「まぁいいか」
俺はとりあえずお気に入りのワインとグラスを2つリビングに運んだ。
その時。
「その薔薇に触らないで!」
外で叫ぶ声がした。
「どうした?」
そこには薔薇の前に立ちはだかるユキと、怯えているソウがいた。
「ユキ。来てたのか」
「今日は仕事休みの日だから、庭でギター弾いてると思ったのに……なんでこの子がいるの?」
「前に庭の薔薇を見せると約束していたからな。それで家によんだ」
「だからってこの薔薇は……」
「そんなに怒らなくてもいいだろう?ただの薔薇だ」
「ただの薔薇?」
「ああ」
「……わかった。今日は帰る」
「今日は飲んでいかないのか?」
「……さよなら」
ユキはそう言って帰って行った。
「なんだあいつ……」
「ごめんね。怒らせちゃった」
「大丈夫だ。あいつの虫のいどころが悪かったんだろう」
「白い薔薇、綺麗だなぁと思って触れたら、あの人に見つかって怒鳴られちゃった」
「白い薔薇?」
「うん。なんで怒ったのかな」
「さあな……」
「謝った方がいい?」
「いいよ。俺から言っておく」
「うん。ごめんね」
ソウが触れたという白い薔薇には、Snowという名前がついている。
母さんがユキのために植えた薔薇だった。
幼いユキに母さんは言った。
「とある国ではSnowのことをユキと言うらしいの。可愛らしい響きでしょ?あなたのように白くて可愛い子にピッタリね!」
ユキはその薔薇を本当に大事にしていた。
ただの薔薇だなんて言って悪かったな。
今度謝りに行こう。
~~~~~~~~~~
「どっちから観る? アリスから観よう!」
俺たちはワインを片手に映画を観た。
なるほど。不思議の国ねぇ。
「終わっちゃった。次の観る? 入れるね?」
「それはまた今度にしよう。本当は今日歌う日だっただろう?」
「でも、そんな気分じゃ……」
「練習は続けないと。いい考えがある。こっちへおいで」
俺はギターを持って、庭のベンチにソウを連れて行った。
「何するの?」
俺は知ってる曲をギターで弾き始めた。
「この曲、俺好き!」
「歌ってみたら?」
「うん」
ソウは楽しそうに歌っていた。
あれもこれもと歌っているうちにもうすぐ朝だ。
「あ、もう中に入らないと」
「ああ」
「明日は仕事だから、明後日また来てもいい? またアリスのギターを聴きながら歌いたい」
「どうぞ。明後日は少し食料を調達するために外に出るから屋台でも見て待っててくれ」
「わかった。じゃあ今日はこれで帰るね? ユキさんにごめんって言っといて?」
「わかったよ」
俺はソウの後ろ姿を見送ってから部屋に入った。
今日は屋台は休みだが、広場で歌うソウを見ていた。
突然だった。
「どうした?急に」
「だって前に庭の薔薇見せてくれるって言ったじゃん」
「確かに……でもいきなりだな」
「今日、DVDも持って来たんだ! 一緒に観よ! 家なら朝まで居ても大丈夫だよね?」
あ、朝まで居るのか?
「わかった。行こうか」
「やった!」
実はDVDプレーヤーはバイトしたお金で買っておいた。
いつこうなってもいいように。
それにスマホも調達した。
ソウと連絡が取れるよう。
~~~~~~~~~~
「庭の薔薇見ていい?」
「ああ。何か飲むか?」
「じゃあアリスと同じもので」
「わかった。気が済むまで見てこい」
「うん!」
俺と同じもの……俺はワインしか飲まないんだが。
それでいいのか?
「まぁいいか」
俺はとりあえずお気に入りのワインとグラスを2つリビングに運んだ。
その時。
「その薔薇に触らないで!」
外で叫ぶ声がした。
「どうした?」
そこには薔薇の前に立ちはだかるユキと、怯えているソウがいた。
「ユキ。来てたのか」
「今日は仕事休みの日だから、庭でギター弾いてると思ったのに……なんでこの子がいるの?」
「前に庭の薔薇を見せると約束していたからな。それで家によんだ」
「だからってこの薔薇は……」
「そんなに怒らなくてもいいだろう?ただの薔薇だ」
「ただの薔薇?」
「ああ」
「……わかった。今日は帰る」
「今日は飲んでいかないのか?」
「……さよなら」
ユキはそう言って帰って行った。
「なんだあいつ……」
「ごめんね。怒らせちゃった」
「大丈夫だ。あいつの虫のいどころが悪かったんだろう」
「白い薔薇、綺麗だなぁと思って触れたら、あの人に見つかって怒鳴られちゃった」
「白い薔薇?」
「うん。なんで怒ったのかな」
「さあな……」
「謝った方がいい?」
「いいよ。俺から言っておく」
「うん。ごめんね」
ソウが触れたという白い薔薇には、Snowという名前がついている。
母さんがユキのために植えた薔薇だった。
幼いユキに母さんは言った。
「とある国ではSnowのことをユキと言うらしいの。可愛らしい響きでしょ?あなたのように白くて可愛い子にピッタリね!」
ユキはその薔薇を本当に大事にしていた。
ただの薔薇だなんて言って悪かったな。
今度謝りに行こう。
~~~~~~~~~~
「どっちから観る? アリスから観よう!」
俺たちはワインを片手に映画を観た。
なるほど。不思議の国ねぇ。
「終わっちゃった。次の観る? 入れるね?」
「それはまた今度にしよう。本当は今日歌う日だっただろう?」
「でも、そんな気分じゃ……」
「練習は続けないと。いい考えがある。こっちへおいで」
俺はギターを持って、庭のベンチにソウを連れて行った。
「何するの?」
俺は知ってる曲をギターで弾き始めた。
「この曲、俺好き!」
「歌ってみたら?」
「うん」
ソウは楽しそうに歌っていた。
あれもこれもと歌っているうちにもうすぐ朝だ。
「あ、もう中に入らないと」
「ああ」
「明日は仕事だから、明後日また来てもいい? またアリスのギターを聴きながら歌いたい」
「どうぞ。明後日は少し食料を調達するために外に出るから屋台でも見て待っててくれ」
「わかった。じゃあ今日はこれで帰るね? ユキさんにごめんって言っといて?」
「わかったよ」
俺はソウの後ろ姿を見送ってから部屋に入った。
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