10 / 32
特別な血
しおりを挟む
お互いにどうなったのかわからない。
おそらく途中で2人とも気を失ったんだろう。
先に目を覚ましたのは俺だった。
「すまない。本当に……」
呟く俺の声に、ピクッとソウが反応した。
「ん……おはよう」
「おはよう。昨日は本当にすまなかった」
「え? ああ、うん。お互いちょっと飲み過ぎただけだよ」
「いや、あの、身体は大丈夫か?」
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたし、男の人とあーいうことするのは初めてだったから、最初は痛みもあったけど……」
「本当に申し訳ない!」
人間に土下座したのは初めてだった。
ヴァンパイアにもしたこと無いが。
「ほ、本当に大丈夫だから。そんな謝らないで」
「あと、他に何か感じなかったか?」
「何かって?」
「なんか乗り移ったような……体がいうことをきかないというかそんな感覚は?」
「なかったよ? やっぱ酔ってたんだよ!」
ヴァンパイアの俺が?
グラス数杯のワインごときで?
まぁいい。
「あの……」
「うん? どうしたの?」
「あんな俺を見て、嫌いになったりしなかったか?」
「ふ! ははは! なったりしないよ! あ、もう行かなきゃ。お店開けなきゃ、母さんが待ってる。また今日夜市でね!」
服を着替えるとソウは帰ってった。
「よかった……」
ヴァンパイアとさえ上手く関係を築けない俺が、人間に嫌われることをこんなにも怖がるなんて。
どうかしているな。最近の俺は……
~~~~~~~~~~
夜、夜市に行く前に俺はユキの家に寄った。
「どうしたの? アリスがうちに来るなんて珍しい」
「この間のことを謝っておきたくて。ただの薔薇なんて言って悪かった。ソウが触ったのがSnowだと知らなくて」
「いいんだよ。ただの薔薇と言ってしまえば、本当にただの薔薇なんだから」
「だからすまない。あれはお前のために母さんが植えたものだから……」
「うん。だから薔薇は大事だけど、それ以上に大事なのは思い出なんだよ。それをアリスがただのって言うから」
「わかってる……本当にすまなかった」
今日はずっと謝っているな。
「うん。もういいよ。許してあげる。その代わり、また遊びに行ってもいい?」
「あぁ。もちろん」
「そういえば昨日はハンティングの日だったでしょ?エサはどんなのだった?」
「過去最高に不味かったよ。ろくでもないやつの血だったからな」
「えー。最近そんな血ばっかだね。そんなのばっかだと体に悪そう」
「良いも悪いもないだろ。俺たちには」
「ふふ。まあね。今日もバイト?」
「あぁ」
「そっか。いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
俺はユキの家を出ようとした。
「あ、聞きたいことがある」
「何?」
「お前は人間の血を吸って、何かに体を乗っ取られたみたいに、衝動を抑えられなくなったことはあるか?」
「ないと思うよ? どうしたの?」
「いや昨日のエサの血を吸ってから、自分が自分ではない感覚があったから……」
「それってなんか特別な血を持つ人間だったんじゃない?」
「特別な血……」
「アリスのお父さんが昔、調べてなかった?」
「いや、知らないな。聞いたことがない」
「そっか。じゃあろくでもないやつの血で不味かったって言ってたし、体が拒絶反応でも起こしたんじゃない?」
とユキは笑っていた。
「かもな」
~~~~~~~~~~
夜市に着くと屋台の準備をしているソウがいた。
「遅くなったな」
「ううん。大丈夫。こっちの準備してて? 俺は店の薔薇取ってくるから」
「わかった」
しばらくすると薔薇を積んだ台車を押すソウが帰ってきた。
「お待たせ。じゃあこっちよろしく!」
「ああ」
俺は通りのむかいで串焼きを売るソウを見ていた。
最初は昨日のエサの血液のせいかと思ったが多分違う。
昨日俺がおかしくなったのはソウとキスをした後だ。
あいつの血のせいだ。
「特別な血を持つ人間……」
ふと俺と目が合ったソウは慌てて目を逸らした。
おそらく途中で2人とも気を失ったんだろう。
先に目を覚ましたのは俺だった。
「すまない。本当に……」
呟く俺の声に、ピクッとソウが反応した。
「ん……おはよう」
「おはよう。昨日は本当にすまなかった」
「え? ああ、うん。お互いちょっと飲み過ぎただけだよ」
「いや、あの、身体は大丈夫か?」
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたし、男の人とあーいうことするのは初めてだったから、最初は痛みもあったけど……」
「本当に申し訳ない!」
人間に土下座したのは初めてだった。
ヴァンパイアにもしたこと無いが。
「ほ、本当に大丈夫だから。そんな謝らないで」
「あと、他に何か感じなかったか?」
「何かって?」
「なんか乗り移ったような……体がいうことをきかないというかそんな感覚は?」
「なかったよ? やっぱ酔ってたんだよ!」
ヴァンパイアの俺が?
グラス数杯のワインごときで?
まぁいい。
「あの……」
「うん? どうしたの?」
「あんな俺を見て、嫌いになったりしなかったか?」
「ふ! ははは! なったりしないよ! あ、もう行かなきゃ。お店開けなきゃ、母さんが待ってる。また今日夜市でね!」
服を着替えるとソウは帰ってった。
「よかった……」
ヴァンパイアとさえ上手く関係を築けない俺が、人間に嫌われることをこんなにも怖がるなんて。
どうかしているな。最近の俺は……
~~~~~~~~~~
夜、夜市に行く前に俺はユキの家に寄った。
「どうしたの? アリスがうちに来るなんて珍しい」
「この間のことを謝っておきたくて。ただの薔薇なんて言って悪かった。ソウが触ったのがSnowだと知らなくて」
「いいんだよ。ただの薔薇と言ってしまえば、本当にただの薔薇なんだから」
「だからすまない。あれはお前のために母さんが植えたものだから……」
「うん。だから薔薇は大事だけど、それ以上に大事なのは思い出なんだよ。それをアリスがただのって言うから」
「わかってる……本当にすまなかった」
今日はずっと謝っているな。
「うん。もういいよ。許してあげる。その代わり、また遊びに行ってもいい?」
「あぁ。もちろん」
「そういえば昨日はハンティングの日だったでしょ?エサはどんなのだった?」
「過去最高に不味かったよ。ろくでもないやつの血だったからな」
「えー。最近そんな血ばっかだね。そんなのばっかだと体に悪そう」
「良いも悪いもないだろ。俺たちには」
「ふふ。まあね。今日もバイト?」
「あぁ」
「そっか。いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
俺はユキの家を出ようとした。
「あ、聞きたいことがある」
「何?」
「お前は人間の血を吸って、何かに体を乗っ取られたみたいに、衝動を抑えられなくなったことはあるか?」
「ないと思うよ? どうしたの?」
「いや昨日のエサの血を吸ってから、自分が自分ではない感覚があったから……」
「それってなんか特別な血を持つ人間だったんじゃない?」
「特別な血……」
「アリスのお父さんが昔、調べてなかった?」
「いや、知らないな。聞いたことがない」
「そっか。じゃあろくでもないやつの血で不味かったって言ってたし、体が拒絶反応でも起こしたんじゃない?」
とユキは笑っていた。
「かもな」
~~~~~~~~~~
夜市に着くと屋台の準備をしているソウがいた。
「遅くなったな」
「ううん。大丈夫。こっちの準備してて? 俺は店の薔薇取ってくるから」
「わかった」
しばらくすると薔薇を積んだ台車を押すソウが帰ってきた。
「お待たせ。じゃあこっちよろしく!」
「ああ」
俺は通りのむかいで串焼きを売るソウを見ていた。
最初は昨日のエサの血液のせいかと思ったが多分違う。
昨日俺がおかしくなったのはソウとキスをした後だ。
あいつの血のせいだ。
「特別な血を持つ人間……」
ふと俺と目が合ったソウは慌てて目を逸らした。
0
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
白花の檻(はっかのおり)
AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。
その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。
この出会いは祝福か、或いは呪いか。
受け――リュシアン。
祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。
柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。
攻め――アーヴィス。
リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。
黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。
王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる