命の雫

SHIZU

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そんなにあからさまに目を逸らさなくても。

これはだいぶ嫌われたのかもな。

今日も薔薇は完売。

俺は今日のバイト料をソウにもらって、屋台を畳んでいた。

日が昇る前に帰らないと…

調べたいことがあった。

ユキが言っていた"特別な血を持つ人間"のことだ。

父さんが調べていた気がするとユキは言っていた。

「あのさ、今日の夜は歌の練習の日でしょ? 家に行ってもいい?」

「すまない。少しやることがあって、2、3日1人になりたいんだ」

「え?え…っと明日の仕事は来る?」

「あぁ。それはちゃんとする」

「そっか……」

「じゃあ、また」

「うん。バイバイ」

俺は家に帰って、父の書斎に向かった。

書斎の本を片っ端から広げていく。

どこにもそれらしいものはない。

「やはり無いか」

ふと思い出した。

「もしかして……」

俺は両親が使っていた寝室に向かった。

母の鏡台の引き出しを開ける。

「無いか……ん?」

諦めて引き出しを閉めようとした時、引き出しが他のより浅いものがあることに気づいた。

なんだ?

底だと思っていた板を外すと、そこには何冊かの古いメモが置いてあった。

何故こんな隠すように……

中を見てみると人間とヴァンパイアが共存するための方法を模索していたような記述がある。

「父さんは本当に人間を傷付けないように生きたかったんだな」

"命の雫と呼ばれる血を持つ人間がいる"

"何億人に1人か、何百年に1人か。それは定かではない"

"国籍も性別もわからない"

"そしてその人間は我々ヴァンパイアに大きな影響を与える"

"その手は再生の力、涙は癒し、そして血液は永遠の命を与える"

手は再生の力。涙は癒し。だから俺の焼けて灰になった腕はすぐに再生したのか?

永遠の命? どういうことだ。

"その者の血を吸ったものは、もう2度と人間の血を吸わずとも生きていける"

"永遠の若さも手に入れられる"

"そして太陽の光を浴びても生きられるという"

"銀のナイフでさえ……"

メモは破れていた。

そして最後のメモに書いてあった文章が気になった。

"私と妻は彼を守りたかった"

"彼が命の雫を持っていると気づいたのは偶然だった"

"他のヴァンパイアに気付かれないようにしていたが、~~に気付かれてしまった……"

~~の一番大事なところが滲んで見えない。

父さんは泣きながらこれを書いたのだろう。

ノートに書いてあったのはそれだけだった。

命の雫か……

もしかしてソウの血は……

まさかな。

だが俺に異変が起き始めたのもあいつと出会ってからだ。

再生に2週間はかかるであろう腕が一晩で元に戻ったこと。

あいつの血液を少し舐めただけで、我を失う感覚にもなった。

ということは、あいつの血液を全て吸い切れば、永遠の命と若さを手に入れられるということだな。

「他の奴らに知られてはまずいな」

俺は永遠の命や若さなどに興味はないが、中にはどんな手を使ってでも手に入れようとするやつもいるだろう。

だからも死んだのだ。










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