12 / 32
疑惑
しおりを挟む
次の日の仕事はお互い何事もなく粛々とこなしていた。
どうやってソウを守るか。
他のヴァンパイア達に、ソウが命の雫の持ち主だとわからないようにするにはどうすれば良いのか。
そして父さん達が守ろうとしていた彼を殺したのは誰か。
薔薇を売り終わると屋台を畳み、
「すまない。先に帰る。これが今日の売り上げだ」
と金の入った封筒を渡して俺は先に帰った。
ソウは何か言いたそうな顔をしていたが、俺は気に留めなかった。
帰るとまず昨日のメモを見る。
どこかに他にヒントはないのか?
探しても見当たらない。
その時、屋敷のチャイムが鳴った。
「どうした?」
「どうもしてないよ! 会いに来ただけ」
「まぁ入れよ」
「うん」
俺はユキを招き入れた。
「何これ……すごい。ちょっと散らかし過ぎじゃない?」
「あぁ。散らかすのは得意なんだが、片付けるのは苦手でな」
「いくら1人で住んでるからってこれは酷いよ」
「後で片付けるよ」
「そんなこと言って、絶対放っておくでしょ。僕がやるよ」
「ありがとう」
「おじさんの書斎で何か探してたの?」
俺はユキに本当のことを言うか躊躇った。
こいつは俺の唯一の友人だ。
信じたいが、この状況では誰が敵で誰が味方かわからない。
「特別な血を持つ人間の話をしていただろう? それを父さんが調べていたと。だから何かそれに関するものがないかと思って調べていた」
「……何か見つかった?」
ユキが書斎の本棚に本をしまいながら言う。
「それらしいものは何もなかった。父さんもいくら調べても、結局大したことはわからなかったのかもな」
「永遠の命なんて欲しいかなぁ? 僕なら要らないけど」
今、永遠の命と言ったか。
なぜだ……
なぜユキは命の雫で永遠の命が手に入ると知っている?
「その特別な血は永遠の命を授けるのか?」
「えっ? 噂に聞いたことあるだけだけど……それに大体そういうのは不死身になるみたいな言い伝えとセットじゃない?」
「……そういうものか?」
「そういうものだよ」
違和感がないと言えば嘘になる。
だがユキが犯人だと疑う決定的証拠もない。
「はい。ここは終わったよ。他は?」
「父さん達の寝室かな……」
昨日のメモ。あれだけは元に戻してある。
ちゃんと底もはめて。
もしあのメモをユキが見たことあるのなら、置いてある場所も知っているのではないか。
おれは密かにユキがあの引き出しの仕掛けに気付くか見ることにした。
「寝室って言ったって……ベッドの下とかクローゼットとか?」
ユキは床に散らばっている服をハンガーにかけて、クローゼットにしまう。
「思い当たるところは全部探したんだが……」
「あのさ……まさかなんだけど……」
やっぱり知っているのか?
「庭のバラの木の根元とかに、なんか植えられてたりしないよね?」
「そ、それは考えつかなかったな」
ユキは時々とんでもないことを言う。
「ないか。雨とか染み込んだらぐちゃぐちゃになるもんね」
「そうだな」
「じゃあやっぱ大したことは分からなかったのかもね」
「片付け、ありがとう」
「ほんとだよ! 飲み物くらい出てくるんだよね?」
「ああ、もちろんだ」
俺はふと笑った。
「あ……」
「どうした?」
「そんな笑顔、お父さんたちの事件以来、初めて見た」
「そうか?」
「うん……僕といる時でも基本は仏頂面だからね」
「すまない」
「いいよ。謝んなくて。もう慣れたから!」
そうか。同じ想いをして、ユキも苦しんだはず。
それでもユキはいつも俺に微笑んでくれていたのにな。
「ありがとう」
俺は今までにない強さでユキを抱きしめた。
「痛いよぉ……でも嬉しい!」
と泣きながら俺を抱きしめ返した。
どうやってソウを守るか。
他のヴァンパイア達に、ソウが命の雫の持ち主だとわからないようにするにはどうすれば良いのか。
そして父さん達が守ろうとしていた彼を殺したのは誰か。
薔薇を売り終わると屋台を畳み、
「すまない。先に帰る。これが今日の売り上げだ」
と金の入った封筒を渡して俺は先に帰った。
ソウは何か言いたそうな顔をしていたが、俺は気に留めなかった。
帰るとまず昨日のメモを見る。
どこかに他にヒントはないのか?
探しても見当たらない。
その時、屋敷のチャイムが鳴った。
「どうした?」
「どうもしてないよ! 会いに来ただけ」
「まぁ入れよ」
「うん」
俺はユキを招き入れた。
「何これ……すごい。ちょっと散らかし過ぎじゃない?」
「あぁ。散らかすのは得意なんだが、片付けるのは苦手でな」
「いくら1人で住んでるからってこれは酷いよ」
「後で片付けるよ」
「そんなこと言って、絶対放っておくでしょ。僕がやるよ」
「ありがとう」
「おじさんの書斎で何か探してたの?」
俺はユキに本当のことを言うか躊躇った。
こいつは俺の唯一の友人だ。
信じたいが、この状況では誰が敵で誰が味方かわからない。
「特別な血を持つ人間の話をしていただろう? それを父さんが調べていたと。だから何かそれに関するものがないかと思って調べていた」
「……何か見つかった?」
ユキが書斎の本棚に本をしまいながら言う。
「それらしいものは何もなかった。父さんもいくら調べても、結局大したことはわからなかったのかもな」
「永遠の命なんて欲しいかなぁ? 僕なら要らないけど」
今、永遠の命と言ったか。
なぜだ……
なぜユキは命の雫で永遠の命が手に入ると知っている?
「その特別な血は永遠の命を授けるのか?」
「えっ? 噂に聞いたことあるだけだけど……それに大体そういうのは不死身になるみたいな言い伝えとセットじゃない?」
「……そういうものか?」
「そういうものだよ」
違和感がないと言えば嘘になる。
だがユキが犯人だと疑う決定的証拠もない。
「はい。ここは終わったよ。他は?」
「父さん達の寝室かな……」
昨日のメモ。あれだけは元に戻してある。
ちゃんと底もはめて。
もしあのメモをユキが見たことあるのなら、置いてある場所も知っているのではないか。
おれは密かにユキがあの引き出しの仕掛けに気付くか見ることにした。
「寝室って言ったって……ベッドの下とかクローゼットとか?」
ユキは床に散らばっている服をハンガーにかけて、クローゼットにしまう。
「思い当たるところは全部探したんだが……」
「あのさ……まさかなんだけど……」
やっぱり知っているのか?
「庭のバラの木の根元とかに、なんか植えられてたりしないよね?」
「そ、それは考えつかなかったな」
ユキは時々とんでもないことを言う。
「ないか。雨とか染み込んだらぐちゃぐちゃになるもんね」
「そうだな」
「じゃあやっぱ大したことは分からなかったのかもね」
「片付け、ありがとう」
「ほんとだよ! 飲み物くらい出てくるんだよね?」
「ああ、もちろんだ」
俺はふと笑った。
「あ……」
「どうした?」
「そんな笑顔、お父さんたちの事件以来、初めて見た」
「そうか?」
「うん……僕といる時でも基本は仏頂面だからね」
「すまない」
「いいよ。謝んなくて。もう慣れたから!」
そうか。同じ想いをして、ユキも苦しんだはず。
それでもユキはいつも俺に微笑んでくれていたのにな。
「ありがとう」
俺は今までにない強さでユキを抱きしめた。
「痛いよぉ……でも嬉しい!」
と泣きながら俺を抱きしめ返した。
0
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
白花の檻(はっかのおり)
AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。
その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。
この出会いは祝福か、或いは呪いか。
受け――リュシアン。
祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。
柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。
攻め――アーヴィス。
リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。
黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。
王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる