命の雫

SHIZU

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夢ならどんなに……

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「アリス。アリス?」

「ん……?」

「ソファで寝たら風邪ひくよ」

「ヴァンパイアだから風邪はひかないよ」

「あ、そっか!」

俺はいつの間にか眠ってしまっていたのか……

ということはもしかして!

俺はすごい勢いで自分の座っていたソファの隣を見た。

さっきのは夢じゃなかったのか?

もしそうならどんなに嬉しいか。

ただ俺の隣にあったのは、いつもユキが着ていた服とその上のSnowが4本。

テーブルの上には、手付かずのワインが注がれたグラスと、俺が飲んでいたグラスが残されていた。

「やっぱり夢じゃなかったんだな……」

俺の呟きに、

「どうしたの? 何かあった?」

「メール、読んでないのか?」

「うん。今日劇場の人が、いきなり欠員出て困ってるからすぐに来て、代わりに歌ってくれって言われて行って来たんだ。ごめんね。連絡する時間もなくて……」

「ユキが死んだ……」

まだ自分の涙が出ることに驚いた。

「え? どういうこと?」

俺は今日起きたことを全てソウに話した。

「そんな……俺のせいで……」

「ソウのせいじゃない。俺がそばにいたのに守れなかった。それだけだ」

「でも俺がメールを読んでいれば、もし急いで駆けつけていれば、ユキさんは死なずに済んだかも……それに本当に狙われているのは俺なのに……」

「ステージに居たなら仕方ない。本当にソウのせいじゃないから」

ふとソウがユキの服を見た。

「それ、ユキさんの服……とSnowっていう薔薇だよね?」

「ああ。ある国ではSnowのことをユキと言うらしい。母が可愛いと気に入って、その白い薔薇を植えたんだ」

「だからあの時ユキさんは怒ったんだね? 俺がその薔薇に触れようとしたから……」

「そうだ」

「そっか……きっとユキさんは俺のこと恨んでるね。アリスのことも、薔薇のことも、最後に間に合わなかったことも」

「それはないよ。最期に言ってたから。自分では俺を笑顔に出来なかった。でもソウは俺を笑顔にした。それならその笑顔を守るためになんでもするって」

「敵わないな」

「あいつが会いに来たんだろ? 銀のナイフを渡すために」

「うん。劇場に入る前に呼び止められて、アリスや自分がいない時に、もし襲われて血を吸われそうになったら、このナイフで胸を刺してって」

ソウはこっそり隠していたナイフを見せた。

「それで? 今のところは大丈夫なのか?」

「うん。何も起きてない。あっ! でも1人だけ気になる人がいるんだ。その人の写真を見てもらおうと思って、今日隠し撮りしてきた」

見せられたスマホに映る若い男。

俺には全く見覚えがなかった。

「誰なんだ? こいつ。なぜ気になる?」

「同じ日に選考会に居た人でね。気付いたらずっと見られてるんだ」

「怪しいな。今日も居たのか?」

「うん。呼ばれてたみたい」

「あまり近寄らないようにしろ。もしかしたら命の雫を狙うあいつの手下かもしれない」

「そうだね。気を付ける」

こうなったらあまり時間がないのかもしれない。

早くあいつの正体をつきとめなければ。





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