闇の魔女と呼ばないで!

成神クロワ

文字の大きさ
上 下
75 / 361
3章

レディとの再会

しおりを挟む
私とディータとラガナの三人は空を飛びながら南の森まで跳んできていた。


「ラガナ、レディたちはどのあたりにいるかわかる?」
「解らんのじゃ、皆適当に好き勝手やっていいといったからのう」
「好き勝手やったらダメでしょ・・・」


ディータの的確な突っ込みが入り、私も同意する。
とにかく、レディ含めて3人だっけ・・・レディは分かるけど他の二人はどんな魔物なんだろう?


「レディ以外の二人って見た目はどんな姿なの?」
「ん?じいはじいだぞ。ミャアはミャアじゃ」
「いや、全然わかんないよ・・・」
「む?」
「特徴とかないの?」
「特徴・・・むーー?」


駄目だこりゃ、これじゃあ片っ端から探すしかないか・・・。


「なら、手分けして探すしかないわね・・・私は向こう側を見て回るわ」
「私はこっち」
「余は向こうじゃな」
「とりあえず、見つけたら森の入り口に集合しましょう、ラガナって言ったわね?」
「そうなのじゃ」
「たとえ強そうな人間を見つけても勝負を挑むのは禁止よ」
「な、なんでなのじゃ!?」
「もししたら、以降カモメと戦うことは一切無いと思いなさい。」
「な、なんじゃと!?・・・魔女よ・・・」
「ディータがそう言うならそうするよ」
「なんと・・・解ったのじゃ・・・。」


ちょっとしょんぼりしながらもラガナは承知する。
そんなに私とまた戦いたいのか・・・。


「それじゃ、行きましょう!」
「うん!」
「わかったのじゃ!」









ディータ達と別れた私は森の西側を探索している。
空からの探索なのでしっかりと見ないと見逃しそうだ。
んー、森の中から一人を探すのって結構大変だなぁ・・・何か目立つ目印みたいなのがあればいいんだけどねぇ。
私がそう思っていると・・・。



「た~~~す~~~~け~~~て~~~~!!!!」


男性の悲鳴が聞こえた・・・。
まさか・・・。

私は悲鳴のする方へと急行する。
そこには・・・・・・。


「叫ぶ姿もイメケンねぇん・・・お友達になりましょうよぉ~ん」
「くるなあああああああああああ!!!」


顔の整った冒険者が一人、緑の悪魔に追われていた。
恐らく、その冒険者の仲間であろう三人の冒険者たちがその光景を見ながら狼狽えている。


「やっぱり・・・」


私がその場に降り立つと、三人の冒険者が私に気付く。


「ま、魔女様!よかった、ランドがギルドに着いたのか!」
「助かった!オレガンを助けてください!!」
「オークの異常種です!私たちの手には負えません!!」


三人の冒険者が私に助けを求めてくる。
どうやら訓練場に知らせに来たのはこのパーティの人らしい。


「オレガンはもうかれこれ3時間以上追いかけられていて・・・」
「もう・・・もう、限界なんです!お願いします!」
「自分以外が襲われるかもしれないから手を出すなってオレガンがオレガンが・・・っ」


オレガンという人は仲間想いのいい人らしい。
見かけだけでなく中身もイケメンなんだ・・・それはレディがああなるわけだ。

レディは目をハートにしながらオレガンという人をひたすら追いかけていた。
「惚れたわぁん」とか「お持ち帰りよぉん」とか言っているがその光景だけを見れば暴れ狂う魔物に一人の冒険者が追われ、絶体絶命に見える。


「魔女様!!」
「あ、うん」


私は大きくため息を吐くと久しぶりに会う私の恩人であり友達でもありイケメンを見ると見境が無くなる以外は尊敬できる大切な友人に炸裂炎弾バーストフレイムを叩き込んだ。


「化粧がああああああああ!!??」


相変わらずである・・・。


「って、あらぁんカモメちゃん?」
「久しぶりだねレディ」
「ま、魔女様!?」
「あ、ごめんね、あの子はレディって言うんだけど、悪い魔物じゃないのよ・・・私の友達なの」
「ええ!?」
「迷惑かけてごめんなさい」
「い、いえ、魔女様が頭を下げることは!オレガンが追いかけられただけですし・・・なあ!?」
「うんうん、オレガンなら大丈夫よね!」
「そうそう、街でもいろんな女に追いかけられてるし、いい気味だ!!」


仲間の為に身を挺してレディに追いかけられていたのにひどい言われようである。
でも、気にしないでくれるならいっか・・・どんまいオレガンさん。

とうのオレガンさんは完全に逃げきれていたわけではないようで所々にキスマークを作っていた。
木にもたれかかりながらブツブツと何か言っている・・・あれはトラウマになったかな・・・おおう。

その光景を見てさすがに私もかわいそうになったのでオレガンさんに近寄り回復の魔法を掛けてあげた。


「ごめんね、私の友達が」
「え・・・え!?魔女様!?」


どうやら逃げるのに必死で私が来たことに気付いていなかったようだ。


「痛いところはないかな?」
「は、はい!」
「よかった」


私は安堵して笑いかけるとオレガンさんがぼーっと私の事を見ている。


「ほ、ほんとに大丈夫?」
「はい・・・私は見つけました・・・私の女神を!」


私の顔を見ながら変なことを言い始めるオレガンさん、本当に大丈夫かな。


「カモメちゃん、どうしてここにいるのぉん?」
「あ、レディ」
「ぎぃやぁあああああああああああああああ!?」


私の後ろからレディが顔を出すとオレガンさんは断末魔の声を上げ意識を失った・・・あちゃあ。


仲間の三人の冒険者にオレガンさんを担いで帰ってもらうことにした。
私とレディは改めて再会を喜んだ。


「レディ、久しぶり」
「ひさしぶりねぇん、四年前以来よぉん」
「元気だった?」
「ええ、私は元気よぉん。カモメちゃんは大変だったみたいねぇん。噂は色々聞いていたわぁん」
「まぁね・・・でも、クオンもディータもエリンシアもいてくれたからなんとかやってこれたよ」
「あらぁん、エリンシアちゃんとも会えたのね、よかったわぁん」
「うん♪」


ホント、レディはイケメンさえ・・・イケメンさえ関わらなければすごくいい魔物なのである。
いや、見た目がオークでなければそれさえ問題じゃなかったのかも・・・。


「ところで、カモメちゃんはどうしてここにぃん?」
「そうそう、ラガナってレディの知り合いなんだよね?」
「あらぁん、ラガナちゃんと会えたのねん、よかったわぁん。そうよぉん、別れるときに約束したお友達を紹介に来たのよぉん」


そうだ、レディと四年前に別れた時、レディは自分と同じ境遇の異常種を探し友達になると言っていた。
そして、そうなれたら私に紹介をしてくれるとも。


「そうなんだ、約束覚えててくれてありがと♪」
「当然じゃなぁい、友達との約束を忘れてりしないわぁん♪」
「でね、なぜかラガナって子に戦いを申し込まれたんだけど・・・」
「あ、あらぁん・・・大人しくするって言ってたのぃん・・・」



レディの話を聞くと本来は人間の姿に変身できるラガナに街に入って私を呼んでもらい、ここに来てもらう予定だったらしい。
だが、実際は私と出会ったラガナはレディを使い私に勝負を挑んできた。
そのことを伝えると、レディが珍しくこめかみのあたりに青筋を立てていた。


「ラガナちゃんったら、お仕置きがひつようねぇん」


あ、眼がマジだ・・・こわいこわい。


「とりあえず、合流場所はこの森の入り口にしてるから、そこまでいこっか」
「解ったわぁん、ごめんなさいね、カモメちゃん」
「ううん、なんだかんだ最終的には私も楽しんじゃったしね」
「カモメちゃんは相変わらず優しいわねぇん」
「え、そんなことはないと思うけど・・・?」


最終的にやりすぎてラガナが虫の息になったことは黙っておこうかな・・・うん。


「それじゃ、いきましょぉん」
「うん・・・って、はやい・・・。」


私が返事を終わるころにはレディはジャンプで周りの木を飛び越えながら見る見るうちに小さくなっていった。
相変わらずデタラメである。
私は、慌てて空を飛び追いかけるのであった。

入り口に到着するとちょうどオレガンさんたちのパーティが森を抜けだしたところだったらしく、丁度、目が覚めたオレガンさんが空から降ってきたレディを見て再び気を失ったのである。
ツイてないなこの人・・・。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

君は誰?

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

【完結】カエルレア探偵事務所《上》 〜始まりの花〜

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:227pt お気に入り:584

処理中です...