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6章
特訓開始
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「それで、カモメ。貴方の魔力の暴走の理由わかったのかしら?」
ディータがその小さな体を浮かせながらカモメの近くで尋ねてくる。
「うん、解ったよ……」
カモメは小さく頷くと、世界に見せてもらった過去の話を始めた。
その内容に驚く皆であったが、ディータとアネルは驚きの後、難しい顔へと変わる。
「あの魔王も騙されているだけ……とはね」
「あの時の女が慈愛の女神……私達より先にこの世界にいた女神だったなんて……」
二人が真実に驚いている中、クオンとエリンシアはカモメの心配をする。
「それで、『魔』とか言うものの力は大丈夫ですの?カモメさんに害があったりは?」
「そうだよ、そのリーンってい人みたいに『魔』に浸食される可能性もあるんじゃない?」
「……わかんない……でも、皆がいる限り大丈夫だと思う……こんな私の傍にいてくれる?」
「「「当たり前!!」」」
ディータとエリンシアとクオンが同時に即答した。
ヴィクトールが殺されてからずっとカモメを支えてくれていた3人である。
彼らがいる限り、カモメが『魔』に飲み込まれ『闇』となることは無いだろう。
「でも、そうなりますと、その『魔』の力を制御できない限りカモメさんの魔力は戻らないということですわよね?」
「そうみたい、でも、どうやって制御したらいいんだろう」
「……より大きな力で抑え込むしかないでしょうね」
悩むみんなの中でディータがそう言う。
だが、より大きな力と言ってもどうすればいいのか。
「大きな力って言ってもどうしたらいいのか……」
「何を言ってるの、カモメの見た真実とやらの中にヒントがあったじゃない」
「え?」
ヒント?……私の見た真実の中にそんなのあったっけなあ?…とカモメは首を傾げた。
「そうか、リーンってい人が一度元に戻った切っ掛け!」
「アネルさんの気ですわね?」
「ビンゴ♪」
二人の答えにディータが人差し指を立て、嬉しそうにそう言った。
そうか、確かに一度、『魔』の力を弱らせた『気』であれば上手く抑え込むことが出来るかもしれない。
だが……。
「私、気を使えないよ?」
「使えないなら、使えるようになればいいのよ♪」
簡単に言う、ディータであるが、その『気』と言う物を使える人間はカモメの知り合いの中でもアネルとコハクの二人だけである。
「アネル、貴方なら教えられるでしょう?」
「……」
「アネル?」
「気と言うのは感覚的なものが大きいのです、アドバイスするとしても自分の中の気持ちを弾けさせてくださいとしか……」
そう、現にコハクが覚醒したときも自分の怒りを爆発させた結果、気を会得できたのだ。
こればっかりは教えるというよりも切っ掛けがあるかどうかという事らしい。
もちろん、切っ掛けがあっても必ず発動するというわけではない、才能がなければ一生発動しないし、そもそもその切っ掛けも人によって違うというのだ。
「その気というのは余が使う竜気と同じようなもののようじゃな?だとすればその物の本質が発動の切っ掛けになるのじゃ」
ラガナの言葉にアネルが驚く。
どうやら、竜気と気は似たような物らしい。
「カモメ、それならここでしばらく特訓をするのじゃ!」
「ここで?ツァインに帰ってからでもいいと思うのだけれど?」
ラガナの言葉にディータが疑問を言う。
確かに、特訓をするというのなら、馴染みもあり情報を得られるツァインで行った方がいいと思うのだが……。
「ここなら、竜気を操る竜がいっぱいおるのじゃ、そ奴らと戦いながら感覚をつかむのが一番なのじゃ!」
「戦いながらってカモメさんは今、目が見えないんですのよ?」
「気合でなんとかすればいいのじゃ!」
「そんな無茶苦茶な……」
目の見えない状態で竜達と戦いながら気を会得する。
言葉にしてもかなり厳しいと思う提案に、クオンとエリンシアは苦言を言う。
だが、そんな中ディータだけはその提案に賛成した。
「そうね、竜気を操る者からアドバイスをもらうのが一番かもしれないわ……竜気と気が同じようなものというのが前提だけどね」
「きっと同じなのじゃ!」
「アークミスラ、あなたはどう思う?」
「ふむ、まったく同じではないと思うが、似たようなものかもしれんな」
「そう、なら、やってみる価値はあるわね」
そう言うと、ディータはカモメの元まで飛んで行き、カモメを見ながら聞く。
「カモメ、貴方はどう?ここで特訓をしてみる?」
「うん、早く『魔』の力を抑えないと……このままツァインに戻っても足手纏いになるだけだもん」
そう、今もまだ帝国との戦いは続いている。
そんな中、戦力の中心であるクオン、エリンシア、アネルを連れてきてしまっているのだ。
今は、メリアンナ女王率いるベラリッサが帝国を押さえてくれているがそれもいつまでもつかわからない。戻れる可能性があるのなら、その可能性に賭けてみるべきである。
「皆、私はここで特訓をしていくよ、だから……」
「当然、ワタクシも一緒にいますわよ」
「だね、どうせだし、僕らも特訓しようか?」
「うむ、それなら余が相手をするのじゃ!」
だからツァインに戻っていてと言おうとしたカモメであったが、先手を打たれて言えなくなってしまう。
もちろん、カモメならそう言うであろうと予想をしていたので二人はそう言ったのだ。
カモメから離れる気はないということだろう。
「なら、王への報告は私がするわ、正直私は教えるのは得意じゃないから」
「お願いします、アネルさん」
唯一、この中で気を使えるアネルがいなくなるのはどうなの?とディータは思うが、だからといってこのままこのメンバーがここに残っているとツァインの戦力も心配である。
ここはアネルに戻ってもらうのがベストだろう。
「アークミスラ、彼女たちをお願いしますね」
「ふぅ……仕方あるまい」
竜族は基本的に人間を嫌っている、操られていたとはいえ、人間に裏切られたという過去をそう簡単に水に流せるわけではないのだ。
「それじゃ、特訓開始なのじゃ!」
そんなことは自分には関係ないと竜の異常種とも言えるラガナは楽しそうに歩き出すのだった。
ディータがその小さな体を浮かせながらカモメの近くで尋ねてくる。
「うん、解ったよ……」
カモメは小さく頷くと、世界に見せてもらった過去の話を始めた。
その内容に驚く皆であったが、ディータとアネルは驚きの後、難しい顔へと変わる。
「あの魔王も騙されているだけ……とはね」
「あの時の女が慈愛の女神……私達より先にこの世界にいた女神だったなんて……」
二人が真実に驚いている中、クオンとエリンシアはカモメの心配をする。
「それで、『魔』とか言うものの力は大丈夫ですの?カモメさんに害があったりは?」
「そうだよ、そのリーンってい人みたいに『魔』に浸食される可能性もあるんじゃない?」
「……わかんない……でも、皆がいる限り大丈夫だと思う……こんな私の傍にいてくれる?」
「「「当たり前!!」」」
ディータとエリンシアとクオンが同時に即答した。
ヴィクトールが殺されてからずっとカモメを支えてくれていた3人である。
彼らがいる限り、カモメが『魔』に飲み込まれ『闇』となることは無いだろう。
「でも、そうなりますと、その『魔』の力を制御できない限りカモメさんの魔力は戻らないということですわよね?」
「そうみたい、でも、どうやって制御したらいいんだろう」
「……より大きな力で抑え込むしかないでしょうね」
悩むみんなの中でディータがそう言う。
だが、より大きな力と言ってもどうすればいいのか。
「大きな力って言ってもどうしたらいいのか……」
「何を言ってるの、カモメの見た真実とやらの中にヒントがあったじゃない」
「え?」
ヒント?……私の見た真実の中にそんなのあったっけなあ?…とカモメは首を傾げた。
「そうか、リーンってい人が一度元に戻った切っ掛け!」
「アネルさんの気ですわね?」
「ビンゴ♪」
二人の答えにディータが人差し指を立て、嬉しそうにそう言った。
そうか、確かに一度、『魔』の力を弱らせた『気』であれば上手く抑え込むことが出来るかもしれない。
だが……。
「私、気を使えないよ?」
「使えないなら、使えるようになればいいのよ♪」
簡単に言う、ディータであるが、その『気』と言う物を使える人間はカモメの知り合いの中でもアネルとコハクの二人だけである。
「アネル、貴方なら教えられるでしょう?」
「……」
「アネル?」
「気と言うのは感覚的なものが大きいのです、アドバイスするとしても自分の中の気持ちを弾けさせてくださいとしか……」
そう、現にコハクが覚醒したときも自分の怒りを爆発させた結果、気を会得できたのだ。
こればっかりは教えるというよりも切っ掛けがあるかどうかという事らしい。
もちろん、切っ掛けがあっても必ず発動するというわけではない、才能がなければ一生発動しないし、そもそもその切っ掛けも人によって違うというのだ。
「その気というのは余が使う竜気と同じようなもののようじゃな?だとすればその物の本質が発動の切っ掛けになるのじゃ」
ラガナの言葉にアネルが驚く。
どうやら、竜気と気は似たような物らしい。
「カモメ、それならここでしばらく特訓をするのじゃ!」
「ここで?ツァインに帰ってからでもいいと思うのだけれど?」
ラガナの言葉にディータが疑問を言う。
確かに、特訓をするというのなら、馴染みもあり情報を得られるツァインで行った方がいいと思うのだが……。
「ここなら、竜気を操る竜がいっぱいおるのじゃ、そ奴らと戦いながら感覚をつかむのが一番なのじゃ!」
「戦いながらってカモメさんは今、目が見えないんですのよ?」
「気合でなんとかすればいいのじゃ!」
「そんな無茶苦茶な……」
目の見えない状態で竜達と戦いながら気を会得する。
言葉にしてもかなり厳しいと思う提案に、クオンとエリンシアは苦言を言う。
だが、そんな中ディータだけはその提案に賛成した。
「そうね、竜気を操る者からアドバイスをもらうのが一番かもしれないわ……竜気と気が同じようなものというのが前提だけどね」
「きっと同じなのじゃ!」
「アークミスラ、あなたはどう思う?」
「ふむ、まったく同じではないと思うが、似たようなものかもしれんな」
「そう、なら、やってみる価値はあるわね」
そう言うと、ディータはカモメの元まで飛んで行き、カモメを見ながら聞く。
「カモメ、貴方はどう?ここで特訓をしてみる?」
「うん、早く『魔』の力を抑えないと……このままツァインに戻っても足手纏いになるだけだもん」
そう、今もまだ帝国との戦いは続いている。
そんな中、戦力の中心であるクオン、エリンシア、アネルを連れてきてしまっているのだ。
今は、メリアンナ女王率いるベラリッサが帝国を押さえてくれているがそれもいつまでもつかわからない。戻れる可能性があるのなら、その可能性に賭けてみるべきである。
「皆、私はここで特訓をしていくよ、だから……」
「当然、ワタクシも一緒にいますわよ」
「だね、どうせだし、僕らも特訓しようか?」
「うむ、それなら余が相手をするのじゃ!」
だからツァインに戻っていてと言おうとしたカモメであったが、先手を打たれて言えなくなってしまう。
もちろん、カモメならそう言うであろうと予想をしていたので二人はそう言ったのだ。
カモメから離れる気はないということだろう。
「なら、王への報告は私がするわ、正直私は教えるのは得意じゃないから」
「お願いします、アネルさん」
唯一、この中で気を使えるアネルがいなくなるのはどうなの?とディータは思うが、だからといってこのままこのメンバーがここに残っているとツァインの戦力も心配である。
ここはアネルに戻ってもらうのがベストだろう。
「アークミスラ、彼女たちをお願いしますね」
「ふぅ……仕方あるまい」
竜族は基本的に人間を嫌っている、操られていたとはいえ、人間に裏切られたという過去をそう簡単に水に流せるわけではないのだ。
「それじゃ、特訓開始なのじゃ!」
そんなことは自分には関係ないと竜の異常種とも言えるラガナは楽しそうに歩き出すのだった。
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