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8章
決着
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まだ、体は動く、魔力だって尽きていない……。
バトーネもある、仲間も応援してくれる……まだ、私は負けてない。
私は立ち上がる、思い付いた魔法……光と闇の合成魔法……その威力なら如何に魔法に対して体制の強い今の『魔』と言えど、倒せる自信はある……だけど、相手だってそう簡単には喰らってくれない……だけど、光と闇の合成魔法の使い方を変えれば……。
私はそう考えた……いや、誰でもそう考えるだろう、だが、唯合成して放つだけでもかなりの消耗をする光と闇の合成魔法だ……その使い方を変えるとなるとそれだけコントロールが必要になる……私に出来るかな……自分でもかなり大雑把な性格をしている自信がある……そんな私が緻密な魔力制御を出来るのだろうか……普通の合成魔法だって感覚で出来ている部分が多いというのに……。
いや、だったら今回だって感覚でやってやる……緻密な計算とか、後の事を考えてなんて私の性に合わないよね……怖がってそれをやらないというのも私の性に合わない……悩んでいたってしょうがない、『行動あるのみ』だ!
「闇雷纏!!」
「イマサラ、ソンナ強化……無意味ダ!!」
わかっている、闇の魔法で体を強化して、バトーネで戦っても私のスピードじゃ、相手の懐に入る前にリーチの差で負けてしまう。
でも……。
「変則合成魔法!!」
私は、最初から闇と光の魔法を合成するのではなく、変則合成魔法でシュベルクレシェントに光の魔法の力を合成する。
今までの合成魔法は私の体の外で合成していた為、その威力を私の身体で受け止めるということは無かった……むしろ受け止めるのは敵の方だ……だが、私の身体を強化するために私の体の中で光と闇の魔法を合成する……私の体の中で光と闇が合成され力と魔力が溢れかえる。
「ぐっ……」
そのあまりの力に、私の身体は悲鳴を上げていた……当然である、『世界』の創った結界ですら破壊してしまう程の威力を持つ魔法を躰の中でスパークさせているようなものだ……。
でも、それでも……敗けたくない……無理は承知の上だ!
「……行くよ」
悲鳴を上げる身体を無視して、私はバトーネを構える……そして、一歩、『魔』の方へ踏み出すと……。
「ナッ!?」
次の瞬間、『魔』がその大きな身体を宙に浮かせていた。
光と闇の合成魔法で強化した私の身体はスピードもパワーも桁違いであった。
まるでクオンの全力のスピードのように動け、パワーも細いバトーネでドラゴン並みの身体を持つ『魔』を軽々吹き飛ばせる程だ……。
「すごい……」
「で、ですが、あれは大丈夫なんですの!?カモメさんの身体は問題ないんですの!?」
「分からないわ……いいえ、多分かなりの負荷があると思う……でも……」
「あれしか方法がない……か」
クオンとディータの言う通り、私にはもうこれしか思いつかなかった……もっと頭のいい誰かが私と同じ力を持っていれば違うことを思いついたのかもしれない……でも、今、この場にいるのは私なんだ……そして、『魔』を倒せる可能性を見つけたのなら……私は躊躇しないよ!自分の身体が悲鳴を上げていても!
「もう一発だああああ!!」
「ガアァ!?」
私は、バトーネで『魔』を殴る、殴る、殴る!!
まるで、お父さんのように、私は猛攻を続けた。
傍から見れば間違いなく、拳のオーガの娘と頷かれるだろう。
それほどの攻撃を私は繰り出していた。
「チョウシにノルナアアア!!」
『魔』が紫の炎をその口から吐きいてくる……が。
「はあっ!」
私はバトーネを一振りし、その炎を払いのける。
「バ、バカナ!?」
腕が震えている……私の身体が限界を迎え始めているのだ……。
私も結構鍛えていると思うけど……このスピード、このパワーを使いこなせるほどの力は持っていない……溢れる魔力でも体が悲鳴を上げるというのに、体力まで限界を迎え始めている……一気に決めないと……。
「ぐ……はぁああああ!!!」
私は跳ぶ、魔法も使わずに巨体である『魔』の頭部の部分までジャンプした。
「やあああああああああああああ!!」
そして、振りかぶったバトーネを力いっぱい、『魔』の頭部に向けて振り下ろした。
『魔』は地面にひびが入るほどの勢いで頭を叩き落される。
そのあまりの衝撃に……私のバトーネは耐えられず、その身を壊してしまう。
お母さんの形見でもある私のバトーネは真っ二つに折れてしまった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」
私は光と闇の合成魔法を解く……解いた瞬間、私の身体が力が抜け、その場にへたり込んでしまう。
身体中が震えている……力も殆ど入らない……満身創痍である。
「グ……く‥‥‥こんなこと……」
まだ『魔』は生きている……だが、その姿は魔獣のような巨体から元の人型の霧のような姿に戻っていた……『魔』もまた、そのダメージから満身創痍なのだろう。
「まだ……終わってない」
私は、震えるからだを気合で抑え込みながら、立ち上がる……。
「はあっ……はあっ……」
そして、光と闇の合成魔法を手の中で発動させる……まだ……もう一発……。
「カモメ!!」
ディータの心配する声が聞こえる……大丈夫……まだ、撃てる……。
「そんな状態で私に当てられると思っているのですか?」
元の姿に戻り、カタコトだった言葉も戻っている『魔』。
まだ、相手も動けるのか……。あそこまでダメージを与えても、倒れないの……?駄目だ、もし撃てても避けられたら意味がない……もう一度身体強化を……駄目だ、この状態じゃ身体が持たないよ……どうする……?あれがハッタリで実は『魔』は動けないということに賭ける?でもそれで失敗したら……。
「ふふふ、さあ、撃ったらどうです!そうすれば私は逃げられますからね!」
「くっ………」
駄目だ、結局振り出しに……。私一人じゃ倒せないの?
「光封魔!」
「なぁっ!?」
あれは光の拘束魔法?
……そうだ、この結界の中には私以外にももう一人……。
「今にも消えそうな私ですけど……今の貴方を動けなくするくらいは出来ますよ……自分の自由を奪われる悔しさ……貴方に教えてあげます!」
「リィイイイイイン!!!」
憎しみの籠った声で『魔』が吠える……これで、避けられることはない。
「カモメ……お願いします」
「ありがとう、リーン!」
私は振るえる全身に気合で鞭を打ち、両腕を『魔』向ける……そして……。
「混沌消滅破ぁあああああ!!」
光と闇の合成魔法が、渦を巻き、一直線にリーンへと向かって行く。
そして、私の全力を込めた一撃が、『魔』を飲み突き抜ける。
ディータ達の張った結界を破壊し、元々あった『世界』の結界の先を超え、海を二つに割り奔り続けた。
そして……。
『魔』との長い戦いに終止符を打つのだった。
バトーネもある、仲間も応援してくれる……まだ、私は負けてない。
私は立ち上がる、思い付いた魔法……光と闇の合成魔法……その威力なら如何に魔法に対して体制の強い今の『魔』と言えど、倒せる自信はある……だけど、相手だってそう簡単には喰らってくれない……だけど、光と闇の合成魔法の使い方を変えれば……。
私はそう考えた……いや、誰でもそう考えるだろう、だが、唯合成して放つだけでもかなりの消耗をする光と闇の合成魔法だ……その使い方を変えるとなるとそれだけコントロールが必要になる……私に出来るかな……自分でもかなり大雑把な性格をしている自信がある……そんな私が緻密な魔力制御を出来るのだろうか……普通の合成魔法だって感覚で出来ている部分が多いというのに……。
いや、だったら今回だって感覚でやってやる……緻密な計算とか、後の事を考えてなんて私の性に合わないよね……怖がってそれをやらないというのも私の性に合わない……悩んでいたってしょうがない、『行動あるのみ』だ!
「闇雷纏!!」
「イマサラ、ソンナ強化……無意味ダ!!」
わかっている、闇の魔法で体を強化して、バトーネで戦っても私のスピードじゃ、相手の懐に入る前にリーチの差で負けてしまう。
でも……。
「変則合成魔法!!」
私は、最初から闇と光の魔法を合成するのではなく、変則合成魔法でシュベルクレシェントに光の魔法の力を合成する。
今までの合成魔法は私の体の外で合成していた為、その威力を私の身体で受け止めるということは無かった……むしろ受け止めるのは敵の方だ……だが、私の身体を強化するために私の体の中で光と闇の魔法を合成する……私の体の中で光と闇が合成され力と魔力が溢れかえる。
「ぐっ……」
そのあまりの力に、私の身体は悲鳴を上げていた……当然である、『世界』の創った結界ですら破壊してしまう程の威力を持つ魔法を躰の中でスパークさせているようなものだ……。
でも、それでも……敗けたくない……無理は承知の上だ!
「……行くよ」
悲鳴を上げる身体を無視して、私はバトーネを構える……そして、一歩、『魔』の方へ踏み出すと……。
「ナッ!?」
次の瞬間、『魔』がその大きな身体を宙に浮かせていた。
光と闇の合成魔法で強化した私の身体はスピードもパワーも桁違いであった。
まるでクオンの全力のスピードのように動け、パワーも細いバトーネでドラゴン並みの身体を持つ『魔』を軽々吹き飛ばせる程だ……。
「すごい……」
「で、ですが、あれは大丈夫なんですの!?カモメさんの身体は問題ないんですの!?」
「分からないわ……いいえ、多分かなりの負荷があると思う……でも……」
「あれしか方法がない……か」
クオンとディータの言う通り、私にはもうこれしか思いつかなかった……もっと頭のいい誰かが私と同じ力を持っていれば違うことを思いついたのかもしれない……でも、今、この場にいるのは私なんだ……そして、『魔』を倒せる可能性を見つけたのなら……私は躊躇しないよ!自分の身体が悲鳴を上げていても!
「もう一発だああああ!!」
「ガアァ!?」
私は、バトーネで『魔』を殴る、殴る、殴る!!
まるで、お父さんのように、私は猛攻を続けた。
傍から見れば間違いなく、拳のオーガの娘と頷かれるだろう。
それほどの攻撃を私は繰り出していた。
「チョウシにノルナアアア!!」
『魔』が紫の炎をその口から吐きいてくる……が。
「はあっ!」
私はバトーネを一振りし、その炎を払いのける。
「バ、バカナ!?」
腕が震えている……私の身体が限界を迎え始めているのだ……。
私も結構鍛えていると思うけど……このスピード、このパワーを使いこなせるほどの力は持っていない……溢れる魔力でも体が悲鳴を上げるというのに、体力まで限界を迎え始めている……一気に決めないと……。
「ぐ……はぁああああ!!!」
私は跳ぶ、魔法も使わずに巨体である『魔』の頭部の部分までジャンプした。
「やあああああああああああああ!!」
そして、振りかぶったバトーネを力いっぱい、『魔』の頭部に向けて振り下ろした。
『魔』は地面にひびが入るほどの勢いで頭を叩き落される。
そのあまりの衝撃に……私のバトーネは耐えられず、その身を壊してしまう。
お母さんの形見でもある私のバトーネは真っ二つに折れてしまった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」
私は光と闇の合成魔法を解く……解いた瞬間、私の身体が力が抜け、その場にへたり込んでしまう。
身体中が震えている……力も殆ど入らない……満身創痍である。
「グ……く‥‥‥こんなこと……」
まだ『魔』は生きている……だが、その姿は魔獣のような巨体から元の人型の霧のような姿に戻っていた……『魔』もまた、そのダメージから満身創痍なのだろう。
「まだ……終わってない」
私は、震えるからだを気合で抑え込みながら、立ち上がる……。
「はあっ……はあっ……」
そして、光と闇の合成魔法を手の中で発動させる……まだ……もう一発……。
「カモメ!!」
ディータの心配する声が聞こえる……大丈夫……まだ、撃てる……。
「そんな状態で私に当てられると思っているのですか?」
元の姿に戻り、カタコトだった言葉も戻っている『魔』。
まだ、相手も動けるのか……。あそこまでダメージを与えても、倒れないの……?駄目だ、もし撃てても避けられたら意味がない……もう一度身体強化を……駄目だ、この状態じゃ身体が持たないよ……どうする……?あれがハッタリで実は『魔』は動けないということに賭ける?でもそれで失敗したら……。
「ふふふ、さあ、撃ったらどうです!そうすれば私は逃げられますからね!」
「くっ………」
駄目だ、結局振り出しに……。私一人じゃ倒せないの?
「光封魔!」
「なぁっ!?」
あれは光の拘束魔法?
……そうだ、この結界の中には私以外にももう一人……。
「今にも消えそうな私ですけど……今の貴方を動けなくするくらいは出来ますよ……自分の自由を奪われる悔しさ……貴方に教えてあげます!」
「リィイイイイイン!!!」
憎しみの籠った声で『魔』が吠える……これで、避けられることはない。
「カモメ……お願いします」
「ありがとう、リーン!」
私は振るえる全身に気合で鞭を打ち、両腕を『魔』向ける……そして……。
「混沌消滅破ぁあああああ!!」
光と闇の合成魔法が、渦を巻き、一直線にリーンへと向かって行く。
そして、私の全力を込めた一撃が、『魔』を飲み突き抜ける。
ディータ達の張った結界を破壊し、元々あった『世界』の結界の先を超え、海を二つに割り奔り続けた。
そして……。
『魔』との長い戦いに終止符を打つのだった。
応援ありがとうございます!
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