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第二章 グリムフォレスト
ティターニア
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グガアアァアッ!
ゲギャギャッ!!
ロックリザードの激しい唸り声と、ドスドスと地面を揺るがすような激しい地鳴りが近づいて来る。
ロックリザードの群れが、すぐそこまで迫ってるんだ。
「よしっ!」
俺は、バレット商会の商会長さんからもらった盾と杖を構えた。準備は万端だ。
「聖者様ァ!? タンク、ダメ、ゼッタイ!!!」
俺の後頭部に、ザック上級神官の平手ツッコミがスパンッと入った。
「いたぁ……」
「貴重な回復役が、何、前線に出ようとしてるんだ!? 後方に下がれ! 遠隔でヒールが飛ばせるなら、後方でいいだろ!!」
「はい……」
ザック上級神官に言われて、俺は後頭部を撫でながら、みんなの後ろに退がった。
冒険者をやってた時は、治癒師だろうと何だろうと、盾を持たされて前線に出されてたからな……なんか当たり前のことなんだけど、ちょっと嬉しかった。
冒険者たちが俺たちの所に転がり込んで来たら、すぐさま混戦状態になった。
ロックリザードは硬い鱗を持っているから、どうしても一頭一頭の討伐に時間がかかる。聖騎士が強いとはいえ、かなり苦戦していた。
神官たちも武闘派みたいで、全員で戦ってた。結界を張ってる余裕なんて全くなかった。
聖槍の騎士のウィリアムさんがいたのが、せめてもの救いだ。
聖槍はやっぱり特別みたいで、剣では刃が通りづらいロックリザードの鱗も、スイスイと貫いていた。
ウィリアムさんは、聖槍でどんどんロックリザードを串刺しにしていくけど、いかんせん数が多すぎだ。
少しずつロックリザードの群れに、結界張り部隊全体が押されてきていた。
俺はみんなの後方から、ただひたすら遠隔でヒールを飛ばしまくってた。
俺の目の前では、ロックリザードを連れてきた冒険者たちが、神官に首根っこを掴まれて、戦闘に参加されられてた──当たり前か。
「ぎゃっ!」
「ザック上級神官!?」
ザック上級神官を撥ね飛ばして、大きなロックリザードが二頭、俺を目掛けて突進して来た。
「ノアさん!?」
ウィリアムさんが、すぐにロックリザードの一頭を脳天から一突きにした。
もう一頭はするりとすり抜けて、そのまま俺に向かって来た──ヤバい、ロックリザードの動きがスローモーションに見える。
「ノアさん、今です!!」
ウィリアムさんが力強く叫んだ。
ええっ!? 今なの!?
俺はなぜだか分からないけど、ウィリアムさんが言わんとしていたことが理解できた。素直にウィリアムさんの言葉に従って、空間収納から例の武器を取り出していた。
──大丈夫です、ガツンと一発入れてやればいいんです──
そして、あの時の言葉が聞こえた気がした。
「うらぁあっ!!!」
「グギャッ!!!」
俺は気合を入れてハンマーを振り回した。
ガツンッと当たる重たい感触がして、ロクリザードが気持ちいいぐらいにぶっ飛んでいった。他のロックリザードも巻き込んで、二、三頭まとめて張りかけの結界の向こう側まで吹き飛んでいった。
「…………嘘…………」
ハンマーって、普通ここまで凄くないよね?
せいぜいできて、押し潰すぐらいだよな??
魔物をあんな簡単にかっ飛ばせるようなもんじゃないだろう……???
俺がやったことなんだけど、俺自身が一番信じられなかった。
グラントさんの「教会の貸与品は本当にヤバいものの可能性が高い」という言葉が、俺の脳裏をよぎった。
ふと周りを見まわせば、聖騎士も神官も、ロックリザードでさえもびっくりして固まったり、狼狽えたりしていた。
「今ですね。ウィルゴ・ミセリア」
ウィリアムさんが、聖槍の石突の方で地面をトンッと突くと、またあの強烈な女性の金切り声が響き渡った。
俺たちは二回目だったから、耳を塞いで何ともなかったけど、ロックリザードと冒険者たちは混乱していた。怯えて逃げ出すもの、混乱して近くの味方に噛み付くもの、どうしていいか分からず金縛りのように身動きが取れなくなったもの──そんなロックリザードに、聖騎士や神官たちが次々と襲いかかっていく。
俺も、もう武器をお披露目しちゃったし、ロックリザードに有効だって分かったから、攻撃側に加わった。ハンマーを力の限りぶん回して、ロックリザードをかっ飛ばしていく。
ロックリザードが半分ぐらいに減った、その時──
「『惑わずの鱗粉』……森へお帰り……」
澄んだ女性の声が、戦場に響いた。
そして、キラキラと淡い紫色に輝く鱗粉が、この戦場全体に降り注いだ。
ロックリザードたちは急に大人しくなったかと思うと、のそのそと森へ向かって移動を始めた。
俺たちは呆気にとられて、ロックリザードが群れをなして帰っていくのを、ただただ眺めていた。
「ティターニア・ゾーイ。ずっと見てたんですか? 悪趣味ですね」
ウィリアムさんが見上げた先には、鎧をまとった美しい妖精の女性が空を飛んでいた。
長く淡い金髪は三つ編みにしていて、光の加減で青や緑に色が変わる瞳は神秘的だ。彼女の宝石のように美しい蝶のような羽から、さっきの鱗粉が飛ばされているみたいだ。
彼女の後ろには、屈強な妖精の戦士たちが空中で控えていた。
「今だにそんな悪趣味な武器を使っとるお主に言われとうないわ。それよりも、罪人をこちらへ。其奴らは協定を破り、我らが領域で禁じ手の術を使いおった。魔物を荒ぶらせるいくつかの術は、使用禁止にしておるはずだ──よもや、知らなかったとは言わせまい」
ティターニアの視線が、冒険者たちに向かった。
「お、俺たちはギルドの指示に従っただけだ!」
「調査のために、『森の中でこのスクロール』を使えって!」
「そうです! 私たちは別の領から来たから、そんなルールは知らなかったんです!」
「そうだ、そうだ!」
冒険者たちが、口々に言い訳を始めた。
「……ほお。詳しい話は、我らが拠点で」
ティターニアの一声で、後ろに控えていた妖精の戦士たちが、冒険者を取り押さえに向かった。
不思議なことに、冒険者達たち周りに急に植物の蔦があらわれて、彼らを縛り上げていった。
そして、妖精の戦士たちが、冒険者たちを担ぎ上げていく。
「えっ? ちょっと待……むがっ!」
俺が思わず止めに入ろうとしたら、ウィリアムさんに手で口を塞がれた。
ものすごく強い力で、俺が抜け出せないように取り押さえられた──俺、一応『怪力』のスキル持ちなのに、全然びくともしなかった。
「……何か?」
ティターニアが俺の方を振り向いた。
こっちを向いたティターニアの瞳は、一言で言えば「虚無」としか言いようがなかった。
全く心の読めない得体の知れないバケモノか何かが、じっと俺を見透かしているような、ものすごく居心地の悪いものだった。
これ、マジでヤバいやつだ……一気にブワッと全身に鳥肌が立った。
「教会は中立ですよ。どうぞ、彼らをお連れください」
ウィリアムさんが、にこやかに社交的な笑みを浮かべて答えた。
ティターニアの視線が、俺たちから外れた──俺の心臓は、ドクドクと嫌な感じに早鳴ったままだった。今になって冷や汗が出てきた。
「同胞の魔術の気配もあったが、残念。羽落としだったか……皆の者、行くぞ!」
ティターニアは、チラッとアレクシス君の方を見たけど、くるりと森の方に振り返った。
そのまま、空を飛んで森へと帰って行った。
「ノアさん、この森で生きていたいなら、ゾーイに口答えは御法度ですよ。あれは千年以上生きた妖精の傑物です。人間なんて小蠅同然としか思ってませんからね」
妖精の一団が見えなくなると、ウィリアムさんが説明してくれた。
「さっきの妖精たちは一体……?」
「グリムフォレストの妖精騎士団とその騎士団長──通称『ティターニア』ですね。まともにぶつかっていたら、私たちは全滅していたかもしれませんね」
「……!!?」
俺はごくりと唾を飲んだ。ウィリアムさんが途中で俺を止めてくれてなかったら……と改めて恐ろしくなった。
「それから、後でアレクシス君にもお礼を言ってあげてください。彼がゾーイに気に入られたから、あなたも助かったようなものですよ」
「えっ!? さっきので!?」
「ノアさんは妖精心が分かってませんねぇ……彼女は同胞には優しいですからね」
「えぇ……」
ウィリアムさんに呆れたように言われたけど……でも、確かに、ティターニアのあの瞳を見たら、人間とは全く別の生き物なんだなって、実感した。
俺は魔力回復のポーションを一本飲み干すと、エリアヒールをかけた。これでもうグラントさんからもらった魔力回復ポーションは、全部使ったことになる。
神官や聖騎士たちは傷が治れば、本来の結界張りの仕事に戻っていった。
「それにしても、ロックリザードを森に返せるなら、もっと早くにそうしてくれたら良かったのに……」
俺は近くの岩に腰掛けて、ボーッと結界張り作業を眺めた。
ロックリザードに撥ねられたはずのザック上級神官は、もうとっくに回復していて、テキパキと結界張りをしていた──メンタルといい、フィジカルといい、いろいろと強靭すぎる……
「ああ、ゾーイなりの嫌味でしょうね。私たちが森の近くで結界張りをしているのも、あまり良くは思われていないようです」
ウィリアムさんが、答えてくれた。
「……早く結界張りを終わらせて、帰りたいですね」
「そうですねぇ」
俺が膝を抱えて呟くと、ウィリアムさんがしみじみと相槌を打ってくれた。
他のみんなは、今頃どうしてるんだろう?
まだみんなと離れて一日ぐらいしか経ってないけど、リリアンに会いたいな……
ゲギャギャッ!!
ロックリザードの激しい唸り声と、ドスドスと地面を揺るがすような激しい地鳴りが近づいて来る。
ロックリザードの群れが、すぐそこまで迫ってるんだ。
「よしっ!」
俺は、バレット商会の商会長さんからもらった盾と杖を構えた。準備は万端だ。
「聖者様ァ!? タンク、ダメ、ゼッタイ!!!」
俺の後頭部に、ザック上級神官の平手ツッコミがスパンッと入った。
「いたぁ……」
「貴重な回復役が、何、前線に出ようとしてるんだ!? 後方に下がれ! 遠隔でヒールが飛ばせるなら、後方でいいだろ!!」
「はい……」
ザック上級神官に言われて、俺は後頭部を撫でながら、みんなの後ろに退がった。
冒険者をやってた時は、治癒師だろうと何だろうと、盾を持たされて前線に出されてたからな……なんか当たり前のことなんだけど、ちょっと嬉しかった。
冒険者たちが俺たちの所に転がり込んで来たら、すぐさま混戦状態になった。
ロックリザードは硬い鱗を持っているから、どうしても一頭一頭の討伐に時間がかかる。聖騎士が強いとはいえ、かなり苦戦していた。
神官たちも武闘派みたいで、全員で戦ってた。結界を張ってる余裕なんて全くなかった。
聖槍の騎士のウィリアムさんがいたのが、せめてもの救いだ。
聖槍はやっぱり特別みたいで、剣では刃が通りづらいロックリザードの鱗も、スイスイと貫いていた。
ウィリアムさんは、聖槍でどんどんロックリザードを串刺しにしていくけど、いかんせん数が多すぎだ。
少しずつロックリザードの群れに、結界張り部隊全体が押されてきていた。
俺はみんなの後方から、ただひたすら遠隔でヒールを飛ばしまくってた。
俺の目の前では、ロックリザードを連れてきた冒険者たちが、神官に首根っこを掴まれて、戦闘に参加されられてた──当たり前か。
「ぎゃっ!」
「ザック上級神官!?」
ザック上級神官を撥ね飛ばして、大きなロックリザードが二頭、俺を目掛けて突進して来た。
「ノアさん!?」
ウィリアムさんが、すぐにロックリザードの一頭を脳天から一突きにした。
もう一頭はするりとすり抜けて、そのまま俺に向かって来た──ヤバい、ロックリザードの動きがスローモーションに見える。
「ノアさん、今です!!」
ウィリアムさんが力強く叫んだ。
ええっ!? 今なの!?
俺はなぜだか分からないけど、ウィリアムさんが言わんとしていたことが理解できた。素直にウィリアムさんの言葉に従って、空間収納から例の武器を取り出していた。
──大丈夫です、ガツンと一発入れてやればいいんです──
そして、あの時の言葉が聞こえた気がした。
「うらぁあっ!!!」
「グギャッ!!!」
俺は気合を入れてハンマーを振り回した。
ガツンッと当たる重たい感触がして、ロクリザードが気持ちいいぐらいにぶっ飛んでいった。他のロックリザードも巻き込んで、二、三頭まとめて張りかけの結界の向こう側まで吹き飛んでいった。
「…………嘘…………」
ハンマーって、普通ここまで凄くないよね?
せいぜいできて、押し潰すぐらいだよな??
魔物をあんな簡単にかっ飛ばせるようなもんじゃないだろう……???
俺がやったことなんだけど、俺自身が一番信じられなかった。
グラントさんの「教会の貸与品は本当にヤバいものの可能性が高い」という言葉が、俺の脳裏をよぎった。
ふと周りを見まわせば、聖騎士も神官も、ロックリザードでさえもびっくりして固まったり、狼狽えたりしていた。
「今ですね。ウィルゴ・ミセリア」
ウィリアムさんが、聖槍の石突の方で地面をトンッと突くと、またあの強烈な女性の金切り声が響き渡った。
俺たちは二回目だったから、耳を塞いで何ともなかったけど、ロックリザードと冒険者たちは混乱していた。怯えて逃げ出すもの、混乱して近くの味方に噛み付くもの、どうしていいか分からず金縛りのように身動きが取れなくなったもの──そんなロックリザードに、聖騎士や神官たちが次々と襲いかかっていく。
俺も、もう武器をお披露目しちゃったし、ロックリザードに有効だって分かったから、攻撃側に加わった。ハンマーを力の限りぶん回して、ロックリザードをかっ飛ばしていく。
ロックリザードが半分ぐらいに減った、その時──
「『惑わずの鱗粉』……森へお帰り……」
澄んだ女性の声が、戦場に響いた。
そして、キラキラと淡い紫色に輝く鱗粉が、この戦場全体に降り注いだ。
ロックリザードたちは急に大人しくなったかと思うと、のそのそと森へ向かって移動を始めた。
俺たちは呆気にとられて、ロックリザードが群れをなして帰っていくのを、ただただ眺めていた。
「ティターニア・ゾーイ。ずっと見てたんですか? 悪趣味ですね」
ウィリアムさんが見上げた先には、鎧をまとった美しい妖精の女性が空を飛んでいた。
長く淡い金髪は三つ編みにしていて、光の加減で青や緑に色が変わる瞳は神秘的だ。彼女の宝石のように美しい蝶のような羽から、さっきの鱗粉が飛ばされているみたいだ。
彼女の後ろには、屈強な妖精の戦士たちが空中で控えていた。
「今だにそんな悪趣味な武器を使っとるお主に言われとうないわ。それよりも、罪人をこちらへ。其奴らは協定を破り、我らが領域で禁じ手の術を使いおった。魔物を荒ぶらせるいくつかの術は、使用禁止にしておるはずだ──よもや、知らなかったとは言わせまい」
ティターニアの視線が、冒険者たちに向かった。
「お、俺たちはギルドの指示に従っただけだ!」
「調査のために、『森の中でこのスクロール』を使えって!」
「そうです! 私たちは別の領から来たから、そんなルールは知らなかったんです!」
「そうだ、そうだ!」
冒険者たちが、口々に言い訳を始めた。
「……ほお。詳しい話は、我らが拠点で」
ティターニアの一声で、後ろに控えていた妖精の戦士たちが、冒険者を取り押さえに向かった。
不思議なことに、冒険者達たち周りに急に植物の蔦があらわれて、彼らを縛り上げていった。
そして、妖精の戦士たちが、冒険者たちを担ぎ上げていく。
「えっ? ちょっと待……むがっ!」
俺が思わず止めに入ろうとしたら、ウィリアムさんに手で口を塞がれた。
ものすごく強い力で、俺が抜け出せないように取り押さえられた──俺、一応『怪力』のスキル持ちなのに、全然びくともしなかった。
「……何か?」
ティターニアが俺の方を振り向いた。
こっちを向いたティターニアの瞳は、一言で言えば「虚無」としか言いようがなかった。
全く心の読めない得体の知れないバケモノか何かが、じっと俺を見透かしているような、ものすごく居心地の悪いものだった。
これ、マジでヤバいやつだ……一気にブワッと全身に鳥肌が立った。
「教会は中立ですよ。どうぞ、彼らをお連れください」
ウィリアムさんが、にこやかに社交的な笑みを浮かべて答えた。
ティターニアの視線が、俺たちから外れた──俺の心臓は、ドクドクと嫌な感じに早鳴ったままだった。今になって冷や汗が出てきた。
「同胞の魔術の気配もあったが、残念。羽落としだったか……皆の者、行くぞ!」
ティターニアは、チラッとアレクシス君の方を見たけど、くるりと森の方に振り返った。
そのまま、空を飛んで森へと帰って行った。
「ノアさん、この森で生きていたいなら、ゾーイに口答えは御法度ですよ。あれは千年以上生きた妖精の傑物です。人間なんて小蠅同然としか思ってませんからね」
妖精の一団が見えなくなると、ウィリアムさんが説明してくれた。
「さっきの妖精たちは一体……?」
「グリムフォレストの妖精騎士団とその騎士団長──通称『ティターニア』ですね。まともにぶつかっていたら、私たちは全滅していたかもしれませんね」
「……!!?」
俺はごくりと唾を飲んだ。ウィリアムさんが途中で俺を止めてくれてなかったら……と改めて恐ろしくなった。
「それから、後でアレクシス君にもお礼を言ってあげてください。彼がゾーイに気に入られたから、あなたも助かったようなものですよ」
「えっ!? さっきので!?」
「ノアさんは妖精心が分かってませんねぇ……彼女は同胞には優しいですからね」
「えぇ……」
ウィリアムさんに呆れたように言われたけど……でも、確かに、ティターニアのあの瞳を見たら、人間とは全く別の生き物なんだなって、実感した。
俺は魔力回復のポーションを一本飲み干すと、エリアヒールをかけた。これでもうグラントさんからもらった魔力回復ポーションは、全部使ったことになる。
神官や聖騎士たちは傷が治れば、本来の結界張りの仕事に戻っていった。
「それにしても、ロックリザードを森に返せるなら、もっと早くにそうしてくれたら良かったのに……」
俺は近くの岩に腰掛けて、ボーッと結界張り作業を眺めた。
ロックリザードに撥ねられたはずのザック上級神官は、もうとっくに回復していて、テキパキと結界張りをしていた──メンタルといい、フィジカルといい、いろいろと強靭すぎる……
「ああ、ゾーイなりの嫌味でしょうね。私たちが森の近くで結界張りをしているのも、あまり良くは思われていないようです」
ウィリアムさんが、答えてくれた。
「……早く結界張りを終わらせて、帰りたいですね」
「そうですねぇ」
俺が膝を抱えて呟くと、ウィリアムさんがしみじみと相槌を打ってくれた。
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