27 / 44
第二章 グリムフォレスト
エピローグ〜臨時会議〜
しおりを挟む
後日、聖鳳教会本部にて、教会上層部のみの臨時会議が開かれた。
議題は「レスタリア領の結界張りについて」だ。
参加者は、現教皇のライオネル、聖属性の大司教フェリクス、癒し属性の大司教ユリシーズ、光属性の大司教ルーファス、そして、レスタリア領に派遣された聖騎士ウィリアムとクロエ上級神官だ。
クロエは、王都での尋問も担当していた。
ロイヤルブルー色の上等なカーペットが敷かれた教会の会議室では、白大理石の大円卓をぐるりと囲むように六人が席に着いていた。
壁際には、教皇や大司教達の補佐官や護衛の聖騎士も控えていた。
「ウィリアムがそこに座っていると、なんだか懐かしい感じがするね」
フェリクスがのほほんと溢した。
御使いの不死鳥のように優美な雰囲気のおじさまだ。
「まさか私もこのようなことで、またこの円卓に座すことがあるとは……」
ウィリアムは少し困ったように肩をすくめた。
「ウィリアムは本当に籤運悪すぎ」
「我が君の前で、碌でもないことを言わないでください」
クロエが軽口を叩くと、ウィリアムは藍色の瞳を冷たく凍らせて彼女を睨みつけた。声のトーンも鋭くなる。
「それで、何があったのかな?」
フェリクスが、聖職者らしい穏やかな微笑みを浮かべて尋ねた。
「レスタリア領のグリムフォレストでの結界張りに当たり、レスタリア領から圧力があり、後方支援部隊の業務遅滞、教会本部への虚偽の報告等の命令違反行為がありました。これに関しまして、レスタリア領主に内通し協力した神官および聖女を十名ほど降格処分のうえ、僻地の教会へ異動処分にしております。また、魔物寄せのスクロールを使用して結界張り作業自体を妨害した神官については、神官資格を剥奪しております」
クロエはキリッと背筋を伸ばし、ハキハキと報告をした。それでも低い身長のためか、肩から上がかろうじて円卓から出ている状態だ。
「また、転移のスクロールに干渉して聖者を許可なく前線に移動させた件についてですが、指示役のアルマ・レスタリアと実行役の女性神官を、一ヶ月の謹慎および今後一切の聖者への接触禁止処分にしております。女性神官の方は王都勤務のため、復帰後は地方へ異動となります。彼女達からはレスタリア領の内情や、今回の結界張りについての情報提供もありましたので、現在の処分内容になっております」
「そうか。確か、レスタリアの領主は今年の初めに代替りしたばかりだったな……その影響か?」
クロエの報告を聞き終えると、ライオネルが質問した。
彼の見事な金髪と赤く鋭い瞳は、獅子のような立派な風格がある。ゴツくて大きな手は、円卓上で緩く組まれている。
「最近領主になったバルトルト・レスタリアは、信仰心が薄いようです。癒しや光、聖属性の魔術は使えないようですし。それに野心家だそうですよ。彼の結界の線引きでは、かなり妖精自治区に食い込んでましたねぇ。自分達では妖精騎士団に太刀打ちできないから、教会にやらせたかったみたいですけど」
ウィリアムが、皮肉げに口角を上げて発言した。
「ああ……交渉の時にすごく粘られたよ。今までこれだけ寄付してきたのだから、教会はもっと仕事をすべきだとか、信徒に還元すべきだとか何とか。それができないならと、寄付の減額をちらつかせてきたからね。結局、妹のアルマ聖女が聖者に害をなしたことと、その責任追及と教会内での進退について話したら、大人しくなったけどね」
クロエがうんざりとした表情で語った。
「一応、身内のことは危惧しているのかな?」
フェリクスが小首を傾げた。柔らかな銀髪が、さらりと揺れる。
「いえ、アレは妹を『駒』だと考えているタイプです。教会内での影響力が減ることを恐れたのだと思います」
クロエが小さく首を左右に振った。
「一応、アルマ聖女には、教会での保護も可能だとは伝えてあります——断られましたが」
クロエはさらに報告を続けた。
「ふぅん。どうしてだい? レスタリア家での彼女の立場は危ういのではないのかい?」
フェリクスが穏やかに尋ねる。
「どうやら、レスタリア家の次男——ヨハン・レスタリアが、長男のバルトルトと対立して、幽閉されてしまったようです。そのことがあり、下手に家を離れるわけにはいかないと……」
クロエはそこまで報告すると、少しだけ渋い顔をした。
「確か、ヨハンは上級神官だったな。家を手伝うと教会を離れてからは、敬虔な信徒になったと噂では聞いていたが……」
ライオネルが、思い返すように目線を下げて呟いた。
「お家騒動だねぇ。まぁ、教会では首を突っ込めないから、見守るしかないね……これ以上、現レスタリア領主が教会に不利益を被せるようなことがなければ、だけどね」
フェリクスが、蜂蜜のように深い黄金色の瞳を暗く煌めかせて、口にした。
会議室中の誰もが息を飲み、彼の発言に静かに聞き入っていた。
「それにしても、なぜ聖者を飛ばしたのか……」
ライオネルが難しい顔をして、切り出した。
「それは事故だったようです。アルマ聖女の指示では、ウィリアムを戦力として、結界張りの現場に飛ばす予定だったようです。支援物資の荷物に、転移のスクロールに干渉する魔道具を紛れ込ませていたようです。……まさか、その支援物資を、聖者が運ぼうとするとは考えてはいなかったようですが」
クロエが回答した。
重い荷物は力の無い神官ではなく、普段から鍛えている聖騎士が運ぶだろうと、事務局の神官は考えたようだった。
——まさか、護衛も付くような立場の聖者が、嬉々として荷物運びをしようとするとは、思いもよらなかったことだろう。
「ほぉ……だが結果として、聖者が前線に向かったから、結界張り部隊を回復できた」
ライオネルが、小さく感嘆して呟いた。
「そうですね。それにしても、現場は酷かったですよ。……久々に高まりました」
ウィリアムがうっとりとした恍惚の表情で呟くと、クロエはあからさまに「うげぇ」と言い出しそうな表情になった。
その時、ダンッ! と円卓が激しく叩かれた。
「…………フェリクス様は、これらが全部お見えになっていたのですよね? ノア君が危険な場所に行くとお分かりになって、止められなかったのですよね?」
ユリシーズが、円卓の上で震える拳を握り締め、問い詰めるような口調で尋ねた。中性的に整った顔には、眉間に深々と皺が寄っていた。
会議室内は、一気に不穏な空気に包まれた。
ライオネルもウィリアムもクロエも、壁際に控えていた神官や聖騎士達でさえも、爛々と暗く光る瞳でユリシーズを睨め付けた。
誰ともなく漏れ出た魔力圧に、会議室内の空気はズシリと重く軋んだ。
ルーファスはただ静観し、ユリシーズの補佐官達はおろおろと怯えて震えていた。
フェリクスが片手を上げると、それまで会議室内に蔓延っていた魔力圧は、フッと潮が引くように引っ込んだ。
ただ、魔力圧はおさまっても、まだ獲物を狙うような不穏な視線は飛び交っていた。
「僕が観えたのは、ノア君が前線で結界張り部隊を回復していた様子ぐらいだよ。『先見』のスキルで全てが観えるわけではないし、全て観えることが善いことでもない……多すぎる情報は、却って判断を誤らせるからね」
フェリクスが穏やかに答えた。蜂蜜のように深い黄金色の瞳が、ユリシーズを真摯に見つめ返す。
「……そう、ですか……失礼しました」
ユリシーズは、自分を落ち着かせるように息を吐くと、謝罪した。
ユリシーズの謝罪とともに、会議室内は不穏な気配も引っ込み、落ち着きを取り戻した。
「報告はそれだけかな?」
フェリクスが、会議室の雰囲気を変えるように軽く尋ねた。
「レスタリア領は、南の方から魔物が戻って来ていました。一度は南のラングフォード領に、北部から南下してきた魔物を押し付けるのに成功していたようですが……それで、レスタリア領は現在、魔物討伐の資金と人手が足りていないようですね」
ウィリアムが報告をした。
「ラングフォードは水竜王の土地……そんな所に魔物を押し付けようものなら、どうなるか分かるだろうに……」
ライオネルが、太い腕を組んで遠い目をした。
「水竜王様は報復として、しばらくレスタリア領に雨を降らすつもりはないようですよ。レスタリア領に降るはずの雨を、ウォーグラフト領に降らせると仰ってましたから」
ルーファスが口を開いた。物語の中の王子様のように優しげに整った美貌には、苦笑を浮かべていた。
「そういえば、ウォーグラフトもラングフォードに魔物を押し付けていたね」
フェリクスが相槌を打った。
「レスタリアは水不足で、ウォーグラフトは水害か……教会も早めに手を打たないとだな」
ライオネルが渋い顔をした。
「それから、もう一つご報告が。聖槌ガラガルディアが主人を決めました」
ウィリアムが、愉しげな笑みを浮かべて報告した。
「誰になったんだい?」
フェリクスが、少しだけ目を丸く見開いて尋ねた。
「聖者のノアさんです。ノアさんは『怪力』のスキルを持っているので、聖槌の扱いが可能です。さらに彼は空間収納魔術が使えますので、普段は聖槌を収納しておいて、いざ身を守る時に使うよう伝えております。あの細身でいきなり聖槌を振り回されたら、敵は面食らうでしょうね」
ウィリアムは、愉しげにククッと小さく笑いを漏らして報告した。
「聖者ならば、聖騎士への勧誘は難しいな……」
ライオネルが残念そうに溜め息を吐いた。
「そうですね。それで、ノアさんに正式に貸与するということでよろしいでしょうか?」
「ガラガルディアが決めてしまったのなら、仕方がない。後追いではあるが、貸与契約の確認が必要だな」
ウィリアムが尋ねると、ライオネルはしかめ面で唸りつつも、頷いた。
——こうしてノア・クラークは、正式に聖槌ガラガルディアの持ち主となり、聖鳳教会史上初の『聖槌の聖者』となった。
議題は「レスタリア領の結界張りについて」だ。
参加者は、現教皇のライオネル、聖属性の大司教フェリクス、癒し属性の大司教ユリシーズ、光属性の大司教ルーファス、そして、レスタリア領に派遣された聖騎士ウィリアムとクロエ上級神官だ。
クロエは、王都での尋問も担当していた。
ロイヤルブルー色の上等なカーペットが敷かれた教会の会議室では、白大理石の大円卓をぐるりと囲むように六人が席に着いていた。
壁際には、教皇や大司教達の補佐官や護衛の聖騎士も控えていた。
「ウィリアムがそこに座っていると、なんだか懐かしい感じがするね」
フェリクスがのほほんと溢した。
御使いの不死鳥のように優美な雰囲気のおじさまだ。
「まさか私もこのようなことで、またこの円卓に座すことがあるとは……」
ウィリアムは少し困ったように肩をすくめた。
「ウィリアムは本当に籤運悪すぎ」
「我が君の前で、碌でもないことを言わないでください」
クロエが軽口を叩くと、ウィリアムは藍色の瞳を冷たく凍らせて彼女を睨みつけた。声のトーンも鋭くなる。
「それで、何があったのかな?」
フェリクスが、聖職者らしい穏やかな微笑みを浮かべて尋ねた。
「レスタリア領のグリムフォレストでの結界張りに当たり、レスタリア領から圧力があり、後方支援部隊の業務遅滞、教会本部への虚偽の報告等の命令違反行為がありました。これに関しまして、レスタリア領主に内通し協力した神官および聖女を十名ほど降格処分のうえ、僻地の教会へ異動処分にしております。また、魔物寄せのスクロールを使用して結界張り作業自体を妨害した神官については、神官資格を剥奪しております」
クロエはキリッと背筋を伸ばし、ハキハキと報告をした。それでも低い身長のためか、肩から上がかろうじて円卓から出ている状態だ。
「また、転移のスクロールに干渉して聖者を許可なく前線に移動させた件についてですが、指示役のアルマ・レスタリアと実行役の女性神官を、一ヶ月の謹慎および今後一切の聖者への接触禁止処分にしております。女性神官の方は王都勤務のため、復帰後は地方へ異動となります。彼女達からはレスタリア領の内情や、今回の結界張りについての情報提供もありましたので、現在の処分内容になっております」
「そうか。確か、レスタリアの領主は今年の初めに代替りしたばかりだったな……その影響か?」
クロエの報告を聞き終えると、ライオネルが質問した。
彼の見事な金髪と赤く鋭い瞳は、獅子のような立派な風格がある。ゴツくて大きな手は、円卓上で緩く組まれている。
「最近領主になったバルトルト・レスタリアは、信仰心が薄いようです。癒しや光、聖属性の魔術は使えないようですし。それに野心家だそうですよ。彼の結界の線引きでは、かなり妖精自治区に食い込んでましたねぇ。自分達では妖精騎士団に太刀打ちできないから、教会にやらせたかったみたいですけど」
ウィリアムが、皮肉げに口角を上げて発言した。
「ああ……交渉の時にすごく粘られたよ。今までこれだけ寄付してきたのだから、教会はもっと仕事をすべきだとか、信徒に還元すべきだとか何とか。それができないならと、寄付の減額をちらつかせてきたからね。結局、妹のアルマ聖女が聖者に害をなしたことと、その責任追及と教会内での進退について話したら、大人しくなったけどね」
クロエがうんざりとした表情で語った。
「一応、身内のことは危惧しているのかな?」
フェリクスが小首を傾げた。柔らかな銀髪が、さらりと揺れる。
「いえ、アレは妹を『駒』だと考えているタイプです。教会内での影響力が減ることを恐れたのだと思います」
クロエが小さく首を左右に振った。
「一応、アルマ聖女には、教会での保護も可能だとは伝えてあります——断られましたが」
クロエはさらに報告を続けた。
「ふぅん。どうしてだい? レスタリア家での彼女の立場は危ういのではないのかい?」
フェリクスが穏やかに尋ねる。
「どうやら、レスタリア家の次男——ヨハン・レスタリアが、長男のバルトルトと対立して、幽閉されてしまったようです。そのことがあり、下手に家を離れるわけにはいかないと……」
クロエはそこまで報告すると、少しだけ渋い顔をした。
「確か、ヨハンは上級神官だったな。家を手伝うと教会を離れてからは、敬虔な信徒になったと噂では聞いていたが……」
ライオネルが、思い返すように目線を下げて呟いた。
「お家騒動だねぇ。まぁ、教会では首を突っ込めないから、見守るしかないね……これ以上、現レスタリア領主が教会に不利益を被せるようなことがなければ、だけどね」
フェリクスが、蜂蜜のように深い黄金色の瞳を暗く煌めかせて、口にした。
会議室中の誰もが息を飲み、彼の発言に静かに聞き入っていた。
「それにしても、なぜ聖者を飛ばしたのか……」
ライオネルが難しい顔をして、切り出した。
「それは事故だったようです。アルマ聖女の指示では、ウィリアムを戦力として、結界張りの現場に飛ばす予定だったようです。支援物資の荷物に、転移のスクロールに干渉する魔道具を紛れ込ませていたようです。……まさか、その支援物資を、聖者が運ぼうとするとは考えてはいなかったようですが」
クロエが回答した。
重い荷物は力の無い神官ではなく、普段から鍛えている聖騎士が運ぶだろうと、事務局の神官は考えたようだった。
——まさか、護衛も付くような立場の聖者が、嬉々として荷物運びをしようとするとは、思いもよらなかったことだろう。
「ほぉ……だが結果として、聖者が前線に向かったから、結界張り部隊を回復できた」
ライオネルが、小さく感嘆して呟いた。
「そうですね。それにしても、現場は酷かったですよ。……久々に高まりました」
ウィリアムがうっとりとした恍惚の表情で呟くと、クロエはあからさまに「うげぇ」と言い出しそうな表情になった。
その時、ダンッ! と円卓が激しく叩かれた。
「…………フェリクス様は、これらが全部お見えになっていたのですよね? ノア君が危険な場所に行くとお分かりになって、止められなかったのですよね?」
ユリシーズが、円卓の上で震える拳を握り締め、問い詰めるような口調で尋ねた。中性的に整った顔には、眉間に深々と皺が寄っていた。
会議室内は、一気に不穏な空気に包まれた。
ライオネルもウィリアムもクロエも、壁際に控えていた神官や聖騎士達でさえも、爛々と暗く光る瞳でユリシーズを睨め付けた。
誰ともなく漏れ出た魔力圧に、会議室内の空気はズシリと重く軋んだ。
ルーファスはただ静観し、ユリシーズの補佐官達はおろおろと怯えて震えていた。
フェリクスが片手を上げると、それまで会議室内に蔓延っていた魔力圧は、フッと潮が引くように引っ込んだ。
ただ、魔力圧はおさまっても、まだ獲物を狙うような不穏な視線は飛び交っていた。
「僕が観えたのは、ノア君が前線で結界張り部隊を回復していた様子ぐらいだよ。『先見』のスキルで全てが観えるわけではないし、全て観えることが善いことでもない……多すぎる情報は、却って判断を誤らせるからね」
フェリクスが穏やかに答えた。蜂蜜のように深い黄金色の瞳が、ユリシーズを真摯に見つめ返す。
「……そう、ですか……失礼しました」
ユリシーズは、自分を落ち着かせるように息を吐くと、謝罪した。
ユリシーズの謝罪とともに、会議室内は不穏な気配も引っ込み、落ち着きを取り戻した。
「報告はそれだけかな?」
フェリクスが、会議室の雰囲気を変えるように軽く尋ねた。
「レスタリア領は、南の方から魔物が戻って来ていました。一度は南のラングフォード領に、北部から南下してきた魔物を押し付けるのに成功していたようですが……それで、レスタリア領は現在、魔物討伐の資金と人手が足りていないようですね」
ウィリアムが報告をした。
「ラングフォードは水竜王の土地……そんな所に魔物を押し付けようものなら、どうなるか分かるだろうに……」
ライオネルが、太い腕を組んで遠い目をした。
「水竜王様は報復として、しばらくレスタリア領に雨を降らすつもりはないようですよ。レスタリア領に降るはずの雨を、ウォーグラフト領に降らせると仰ってましたから」
ルーファスが口を開いた。物語の中の王子様のように優しげに整った美貌には、苦笑を浮かべていた。
「そういえば、ウォーグラフトもラングフォードに魔物を押し付けていたね」
フェリクスが相槌を打った。
「レスタリアは水不足で、ウォーグラフトは水害か……教会も早めに手を打たないとだな」
ライオネルが渋い顔をした。
「それから、もう一つご報告が。聖槌ガラガルディアが主人を決めました」
ウィリアムが、愉しげな笑みを浮かべて報告した。
「誰になったんだい?」
フェリクスが、少しだけ目を丸く見開いて尋ねた。
「聖者のノアさんです。ノアさんは『怪力』のスキルを持っているので、聖槌の扱いが可能です。さらに彼は空間収納魔術が使えますので、普段は聖槌を収納しておいて、いざ身を守る時に使うよう伝えております。あの細身でいきなり聖槌を振り回されたら、敵は面食らうでしょうね」
ウィリアムは、愉しげにククッと小さく笑いを漏らして報告した。
「聖者ならば、聖騎士への勧誘は難しいな……」
ライオネルが残念そうに溜め息を吐いた。
「そうですね。それで、ノアさんに正式に貸与するということでよろしいでしょうか?」
「ガラガルディアが決めてしまったのなら、仕方がない。後追いではあるが、貸与契約の確認が必要だな」
ウィリアムが尋ねると、ライオネルはしかめ面で唸りつつも、頷いた。
——こうしてノア・クラークは、正式に聖槌ガラガルディアの持ち主となり、聖鳳教会史上初の『聖槌の聖者』となった。
65
あなたにおすすめの小説
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
【古代召喚魔法】を悪霊だとよばれ魔法学園を追放されました。でもエルフの王女に溺愛されて幸せです。だから邪魔する奴らは排除していいよね?
里海慧
ファンタジー
「レオ・グライス。君は呪いの悪霊を呼び寄せ、危険極まりない! よって本日をもって退学に処す!!」
最終学年に上がったところで、魔法学園を退学になったレオ。
この世界では魔物が跋扈しており、危険から身を守るために魔法が発達している。
だが魔法が全く使えない者は、呪われた存在として忌み嫌われていた。
魔法が使えないレオは貴族だけが通う魔法学園で、はるか昔に失われた【古代召喚魔法】を必死に習得した。
しかし召喚魔法を見せても呪いの悪霊だと誤解され、危険人物と認定されてしまう。
学園を退学になり、家族からも見捨てられ居場所がなくなったレオは、ひとりで生きていく事を決意。
森の奥深くでエルフの王女シェリルを助けるが、深い傷を負ってしまう。だがシェリルに介抱されるうちに心を救われ、王女の護衛として雇ってもらう。
そしてシェリルの次期女王になるための試練をクリアするべく、お互いに想いを寄せながら、二人は外の世界へと飛び出していくのだった。
一方レオを追い出した者たちは、次期女王の試練で人間界にやってきたシェリルに何とか取り入ろうとする。
そして邪魔なレオを排除しようと画策するが、悪事は暴かれて一気に転落していくのだった。
※きゅんきゅんするハイファンタジー、きゅんファン目指してます。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します
すもも太郎
ファンタジー
伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。
その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。
出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。
そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。
大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。
今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。
※ハッピーエンドです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる