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領主様

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 領主館の中に入った僕たちは、応対室に通された。

「あと少しで、領主様が来ますので、何かありましたらそこのメイドに申してください。それでは、私はここで一度失礼します」

 そこで、案内してくれたメイドさんと別れて、新たなメイドさんが現れた。

「失礼します。紅茶をご用意しました」

 紅茶は僕とウミの分が用意されて、クロとルルには牛乳のようなものが渡された。

「この牛乳美味しい」

 ルルは、結構気に入ったようでその後も夢中で飲んでいた。
 僕も、出された紅茶を飲んでみた。

「お、美味しい」
「良かったです。こちらのお菓子もどうぞ」

 お皿に乗って出て来たのは、クッキーだった。

「これは、甘くてしかもちょっと塩っけがある」
「はい。塩はそこの海で取れた物を使用しています。世界的に見ても高級な塩を使用しています」

 紅茶とクッキーに夢中になっていると、扉がコンコンと音を鳴らした。

「領主様の準備が整いましたので、案内をしに参りました」

 と、言うことなので先程のメイドさんに付いて行き、奥の部屋の前で止まった。

「領主様。お客様をお連れしました」
「入って良いわよ」

 中に入ると、そこに居たのは領主にしては珍しい女性だった。

「改めて、いらっしゃい。私はカイガランスの領主をしているマリン・カイガランス。マリンって呼んでちょうだい。さ、座って」

 そう言われて、ソファに腰掛けた。

「は、初めまして。ぼ、私はイサミと言います。こちらから、猫のクロ、白狼のルル、幸運スライムのモフラ、九尾のウミです」
「よろしくね。さ、本題に入る前に、私の事覚えてない?」
「え?」

 改めてマリンさんの顔を見てみると、何か見覚えがある気がする。

「ほら、図書館の」
「……図書館。あ、あぁ、本を教えてくれた人ですか?」
「お、思いましてくれましたか。お久しぶりです。あの本はどうでした?」
「はい。大変面白かったです」
「そうですか。良かったです。では、本題に入りましょう」
「イサミさん。ポセイドンの拘束ありがとうございます。これは、報酬です」

 机の上にドンッと置かれたのは大量のお金だった。

「これは、ポセイドンの捕縛の報酬です。中には、白銀貨3000枚入ってます」
「っ!?!? は、白銀貨3000枚!?!?」

 それはもう、国の総資産の倍はある。

「な、なな、なんでこんなに?」
「なんでって、話には聞いてると思いますが、ポセイドンの捕縛又は討伐はこの領が出来てからの祈願ですよ。それを成し遂げてくれたのですから、その報酬は妥当な物ですよ」

 そして、僕は個人でものすごいお金持ちになってしまった。
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ここで、お金の価値について
銅貨、銀貨、金貨、白銀貨の四種類がある。
白銀貨を除き、10枚で上の硬貨と交換できる。白銀貨のみ金貨100枚で白銀貨に交換できる。
それぞれの硬貨を日本円で言うと、銅貨が10円、銀貨が100円、金貨が1000円、白銀貨が100000円となっている。

なので、今回の白銀貨3000枚は、3億円にものぼる。
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