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プロローグ
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「どこかに良い鍛冶屋さん無いかなぁ」
ある少年は冒険者だった。クエストに向かい、討伐指定モンスターと戦っている時に大切なメインウェポンが壊れてしまった。少年は命からがらモンスターから逃げることができたが、クエストは失敗した。幸いしたのが、常駐クエストであったことだ。このクエストには、失敗しても罰金が発生しないから、無一文になるのは避けることができた。だが、それでも少年は金欠だって。
その時、ふと武器を打つ音が耳に入ってきた。その音がする方に向かって、路地を右へ、左へと進み、どんどん奥に入っていく。
そして、少年はある鍛冶屋を見つけた。
「ごめんください」
少年が、鍛冶屋に向かい声を掛けるが、一向に武器を打つ音は鳴り止まない。
少年は、人が来たのにも関わらずその集中力で武器を造る人を見てみたいと、衝動的に中に入ってしまう。
そこで、自分の領域に誰かが侵入したことに気づいた鍛治師は、武器を打っていた手を止め、近くにあった杖を拾い少年の前に構えた。
「お前、何者だ? ここには、誰にも入らないようにしたんだがな」
「え、あ、僕は、鍛冶屋を探していたら偶々武器を打っている音が聞こえたので、その方向に歩いてたらここに辿り着きました」
鍛治師はそこで、何かを考えるそぶりを見せた。
「……これも、神の導きなのかな」
「なにか言いました?」
「いや、なんでもない。なぁ、少年。武器を探していたんだよな」
「……はい。今日のクエストで武器が壊れてしまって、もう使えなくなってしまったんです」
「そうか、見せてみろ」
少年は腰から下げていた剣を抜き出し、鍛治師に渡した。
その武器を見た鍛治師は一言。
「……頑張ったな」
その呟きは、静かな部屋に綺麗に響き渡った。
「頑張った?」
少年が気になり、聞き返すと、こんな答えが帰ってきた。
「実はな、この武器は少し前、一週間程前に壊れても良い状態だったんだよ。それが、持ち主にもっと使って欲しいと剣が思ったのか、今の今まで持ちこたえてたからな、この剣にはその言葉何より大事だったんだよ」
少年はその声に絶句した。たしかに、この剣は大切な両親から、旅に出る前にもらったものだった。だから、毎日のメンテナンスは欠かさず行って、大事に使ってきた。もし、今の剣が言われた通りの時期に壊れて、新しい武器を使っても、一週間程度で慣れる訳もなく、今回のクエストで死んでいたかもしれないと思うとゾッとする。
「なぁ、少年。この剣を軸に、新しく少年専用の武器を作ってみないか?」
「え!? 良いんですか!? でも、今お金がないです」
「なぁに、気にするな。こんなに武器を大切に扱ってくれる人なんて、あまり出会えないからな。今回は俺の善意だ。気にするな」
「分かりました! お言葉に甘えます。僕は、カナハルムと言います」
「おう! 俺は、ルークだ。これからも、よろしくな」
これが、世界一の魔術鍛治師と、世界の英雄との出会いであった。
ある少年は冒険者だった。クエストに向かい、討伐指定モンスターと戦っている時に大切なメインウェポンが壊れてしまった。少年は命からがらモンスターから逃げることができたが、クエストは失敗した。幸いしたのが、常駐クエストであったことだ。このクエストには、失敗しても罰金が発生しないから、無一文になるのは避けることができた。だが、それでも少年は金欠だって。
その時、ふと武器を打つ音が耳に入ってきた。その音がする方に向かって、路地を右へ、左へと進み、どんどん奥に入っていく。
そして、少年はある鍛冶屋を見つけた。
「ごめんください」
少年が、鍛冶屋に向かい声を掛けるが、一向に武器を打つ音は鳴り止まない。
少年は、人が来たのにも関わらずその集中力で武器を造る人を見てみたいと、衝動的に中に入ってしまう。
そこで、自分の領域に誰かが侵入したことに気づいた鍛治師は、武器を打っていた手を止め、近くにあった杖を拾い少年の前に構えた。
「お前、何者だ? ここには、誰にも入らないようにしたんだがな」
「え、あ、僕は、鍛冶屋を探していたら偶々武器を打っている音が聞こえたので、その方向に歩いてたらここに辿り着きました」
鍛治師はそこで、何かを考えるそぶりを見せた。
「……これも、神の導きなのかな」
「なにか言いました?」
「いや、なんでもない。なぁ、少年。武器を探していたんだよな」
「……はい。今日のクエストで武器が壊れてしまって、もう使えなくなってしまったんです」
「そうか、見せてみろ」
少年は腰から下げていた剣を抜き出し、鍛治師に渡した。
その武器を見た鍛治師は一言。
「……頑張ったな」
その呟きは、静かな部屋に綺麗に響き渡った。
「頑張った?」
少年が気になり、聞き返すと、こんな答えが帰ってきた。
「実はな、この武器は少し前、一週間程前に壊れても良い状態だったんだよ。それが、持ち主にもっと使って欲しいと剣が思ったのか、今の今まで持ちこたえてたからな、この剣にはその言葉何より大事だったんだよ」
少年はその声に絶句した。たしかに、この剣は大切な両親から、旅に出る前にもらったものだった。だから、毎日のメンテナンスは欠かさず行って、大事に使ってきた。もし、今の剣が言われた通りの時期に壊れて、新しい武器を使っても、一週間程度で慣れる訳もなく、今回のクエストで死んでいたかもしれないと思うとゾッとする。
「なぁ、少年。この剣を軸に、新しく少年専用の武器を作ってみないか?」
「え!? 良いんですか!? でも、今お金がないです」
「なぁに、気にするな。こんなに武器を大切に扱ってくれる人なんて、あまり出会えないからな。今回は俺の善意だ。気にするな」
「分かりました! お言葉に甘えます。僕は、カナハルムと言います」
「おう! 俺は、ルークだ。これからも、よろしくな」
これが、世界一の魔術鍛治師と、世界の英雄との出会いであった。
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