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38話 祝福13
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一方、シエナは炎の力を放出しすぎて、膝をついた。魔道具も魔力を使い果たした。
「はあ……。水の力が強すぎて、もう駄目……」
シエナは全てを諦めて、観念していた。
「水の力よ! 竜になれ!」
アスター公爵の命令に水が竜の形を取り、シエナへと襲い掛かった。
「おっと! そうはいかないぞ!」
頭上からの声にシエナはのろのろと顔を上げる。レイモンドはシエナの前に箒で飛びながら出ると、風の結界を張った。
「レイモンド?」
シエナは目の前にいるレイモンドに驚く。
「行け! ハリー!」
ハリーは、『妖精の瞳』の力で風の精霊の補助で着地した。
「ハリー! どうしてここに!」
シエナはハリーが現れて、混乱した。
「シエナ、済まなかった。私は一度間違えた。だけど、君を失って始めて、君を愛しているとわかったんだ」
ハリーの愛の言葉にシエナの金の瞳は潤んだ。
「ハリー……。だからって、こんな戦いの中にやってくるなんて、馬鹿よ」
シエナの言葉にハリーは自嘲気味に笑った。
「そうだな。馬鹿かもしれない。だけど、君を失う前に想いを告げたかったんだ」
「ハリー」
「シエナ……。君を愛している」
シエナは泣き出して、ハリーに抱き着いた。ハリーはシエナの唇に優しく唇を重ねる。その瞬間、光が二人を包み込んだ。シエナははっとする。力が身体に漲っているのだ。
「力が戻っている?」
シエナは手をぐっと握りしめる。
二人が抱き着く所を見たレイモンドは、叫んだ。
「おい! いちゃいちゃするな! 結界が持つのは後少しだぞ!」
シエナは手でくいと涙を拭うと声を上げた。
「わかったわ! ハリー、炎の精霊を呼んで! 『妖精の瞳』を持つ者は、完全な力を手にした時、妖精に誰よりも愛されている存在になれるのよ!」
「わかった」
ハリーは瞳を閉じて、心の中で炎の精霊に念ずる。シエナとハリーの周囲に炎の精霊が集まってくる。
「炎の精霊よ。力を貸して……」
シエナは手を前に出し、魔法の呪文を詠唱する。
「無駄だ! 水の竜!」
アスター公爵は手を前に出した。水の竜が再び、形成されてシエナ達を襲った。
「火の竜! いっけえ~!」
シエナの両手から炎の竜が生まれて、水の竜を飲みこみ、屋敷に火が広がる。アスター公爵は火の竜に呑まれていくが、水がアスター公爵を庇った。
「嘘! やっぱりおかしいわ! ユーリの力だけじゃない!」
シエナが悲鳴を上げる。このままでは、シエナやハリーたちが危ない。シエナは冷静になれと言い聞かせ、必死に考えた。そう言えば、アヴァが水の魔女ユーリや他の魔女や魔法使いの力も吸い取ったと言っていたとシエナは思い至った。シエナの頭がくるくると思考し始める。
(あの腕輪にはユーリや他の魔女や魔法使いたちの吸い取られた魔法が入っているんだわ。なら腕輪を破壊すれば……)
シエナは腕を構えて、光の魔法陣を展開させる。魔法陣から魔法の箒が現れた。
「ハリー、後ろに乗って。アスター公爵の腕輪を狙うから精霊たちに指示して」
ハリーが慌ててシエナの魔法の箒に跨る。シエナは魔法の箒を浮上させた。ふわりと浮き上がった魔法の箒はアスター公爵に接近していく。アスター公爵はまだ倒れたままだ。
「風の精霊よ、腕輪を狙って!」
シエナの指示に竜巻が起こり、アスター公爵の右腕にはめられた腕輪を狙う。だが、身体を起こしたアスター公爵が水の結界を張った。
「風の精霊よ! 結界を打ち破ってくれ!」
ハリーの願いに風の上級精霊たちが集まってきて、竜巻が再び力を増す。風が結界を打ち破った。シエナは炎の力で短剣を作り出した。
「ハリー! 剣をアスター公爵に投げつけて!」
ハリーは強く頷くと、短剣を取り、アスター公爵の腕輪を狙い投げつけた。風の精霊たちが風を起こす。風が強く吹き、短剣がアスター公爵の腕輪に命中した。腕輪が粉々に打ち砕かれる。そして、腕輪からどす黒い思念が発生して、アスター公爵を飲みこんでいく。
「アスター公爵閣下!」
「まさか!」
ティムと神父は呆然と立ち尽くしていた。
「はあ……。何とか勝てた」
全身の力が抜けたシエナをハリーが支えた。二人は肩を寄せ合った。ハリーはアスター公爵を凝視する。その時、空飛ぶ箒が降りてきた。レイモンドとラブだ。
「あれは……」
呆気に取られる一同へシエナは説明する。
「腕輪に飲み込まれて殺された魔女や魔法使いたちの思念よ。アスター公爵はもう生きてないわ。魔法を間違った方向へ使ったから。その反動でああなったのよ。魔法は善きものであるべきなのに……」
シエナは泣いていた。殺された魔女や魔法使いの残された思念の残滓が微かに聞こえたのだ。無念の死を遂げた仲間たちを想い、シエナは涙した。
「はあ……。水の力が強すぎて、もう駄目……」
シエナは全てを諦めて、観念していた。
「水の力よ! 竜になれ!」
アスター公爵の命令に水が竜の形を取り、シエナへと襲い掛かった。
「おっと! そうはいかないぞ!」
頭上からの声にシエナはのろのろと顔を上げる。レイモンドはシエナの前に箒で飛びながら出ると、風の結界を張った。
「レイモンド?」
シエナは目の前にいるレイモンドに驚く。
「行け! ハリー!」
ハリーは、『妖精の瞳』の力で風の精霊の補助で着地した。
「ハリー! どうしてここに!」
シエナはハリーが現れて、混乱した。
「シエナ、済まなかった。私は一度間違えた。だけど、君を失って始めて、君を愛しているとわかったんだ」
ハリーの愛の言葉にシエナの金の瞳は潤んだ。
「ハリー……。だからって、こんな戦いの中にやってくるなんて、馬鹿よ」
シエナの言葉にハリーは自嘲気味に笑った。
「そうだな。馬鹿かもしれない。だけど、君を失う前に想いを告げたかったんだ」
「ハリー」
「シエナ……。君を愛している」
シエナは泣き出して、ハリーに抱き着いた。ハリーはシエナの唇に優しく唇を重ねる。その瞬間、光が二人を包み込んだ。シエナははっとする。力が身体に漲っているのだ。
「力が戻っている?」
シエナは手をぐっと握りしめる。
二人が抱き着く所を見たレイモンドは、叫んだ。
「おい! いちゃいちゃするな! 結界が持つのは後少しだぞ!」
シエナは手でくいと涙を拭うと声を上げた。
「わかったわ! ハリー、炎の精霊を呼んで! 『妖精の瞳』を持つ者は、完全な力を手にした時、妖精に誰よりも愛されている存在になれるのよ!」
「わかった」
ハリーは瞳を閉じて、心の中で炎の精霊に念ずる。シエナとハリーの周囲に炎の精霊が集まってくる。
「炎の精霊よ。力を貸して……」
シエナは手を前に出し、魔法の呪文を詠唱する。
「無駄だ! 水の竜!」
アスター公爵は手を前に出した。水の竜が再び、形成されてシエナ達を襲った。
「火の竜! いっけえ~!」
シエナの両手から炎の竜が生まれて、水の竜を飲みこみ、屋敷に火が広がる。アスター公爵は火の竜に呑まれていくが、水がアスター公爵を庇った。
「嘘! やっぱりおかしいわ! ユーリの力だけじゃない!」
シエナが悲鳴を上げる。このままでは、シエナやハリーたちが危ない。シエナは冷静になれと言い聞かせ、必死に考えた。そう言えば、アヴァが水の魔女ユーリや他の魔女や魔法使いの力も吸い取ったと言っていたとシエナは思い至った。シエナの頭がくるくると思考し始める。
(あの腕輪にはユーリや他の魔女や魔法使いたちの吸い取られた魔法が入っているんだわ。なら腕輪を破壊すれば……)
シエナは腕を構えて、光の魔法陣を展開させる。魔法陣から魔法の箒が現れた。
「ハリー、後ろに乗って。アスター公爵の腕輪を狙うから精霊たちに指示して」
ハリーが慌ててシエナの魔法の箒に跨る。シエナは魔法の箒を浮上させた。ふわりと浮き上がった魔法の箒はアスター公爵に接近していく。アスター公爵はまだ倒れたままだ。
「風の精霊よ、腕輪を狙って!」
シエナの指示に竜巻が起こり、アスター公爵の右腕にはめられた腕輪を狙う。だが、身体を起こしたアスター公爵が水の結界を張った。
「風の精霊よ! 結界を打ち破ってくれ!」
ハリーの願いに風の上級精霊たちが集まってきて、竜巻が再び力を増す。風が結界を打ち破った。シエナは炎の力で短剣を作り出した。
「ハリー! 剣をアスター公爵に投げつけて!」
ハリーは強く頷くと、短剣を取り、アスター公爵の腕輪を狙い投げつけた。風の精霊たちが風を起こす。風が強く吹き、短剣がアスター公爵の腕輪に命中した。腕輪が粉々に打ち砕かれる。そして、腕輪からどす黒い思念が発生して、アスター公爵を飲みこんでいく。
「アスター公爵閣下!」
「まさか!」
ティムと神父は呆然と立ち尽くしていた。
「はあ……。何とか勝てた」
全身の力が抜けたシエナをハリーが支えた。二人は肩を寄せ合った。ハリーはアスター公爵を凝視する。その時、空飛ぶ箒が降りてきた。レイモンドとラブだ。
「あれは……」
呆気に取られる一同へシエナは説明する。
「腕輪に飲み込まれて殺された魔女や魔法使いたちの思念よ。アスター公爵はもう生きてないわ。魔法を間違った方向へ使ったから。その反動でああなったのよ。魔法は善きものであるべきなのに……」
シエナは泣いていた。殺された魔女や魔法使いの残された思念の残滓が微かに聞こえたのだ。無念の死を遂げた仲間たちを想い、シエナは涙した。
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