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19話 過去1
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炎の力に呑まれて、レヴィ自身も炎に包まれている。このままではレヴィも死んでしまう。何とかしないととエリンは、必死に考える。
そして感じる、以前このようなことがなかったかと。
既視感を感じるのだ。
炎に包まれたレヴィ。
何もせずに見つめるしかない自分。
レヴィの心の中の聴けない言葉。
ぐるぐると世界が回り、エリンの中の何かが弾ける。
広大なお屋敷の中、エリンはウーファを引きずりながら歩いていた。
父親の親友の息子の誕生日にエリンが呼ばれたのだ。
義母のセレナと連れ子のクロエは王都に残っている。
二人も行きたいと我が侭を言い募ったが、父親のベンが却下した。
ダグラス伯爵家の女主人であるアリスは、エリンのみを招待したのだ。
それはアリスがエリンの亡くなった母親マーガレットと親しかったから。
ダグラス伯爵家の領地の城館は広くて、迷子になってしまった。
ダグラス伯爵の一人息子レヴィは、エリンに会いたくないと言って、引きこもってしまっているらしい。
レヴィは今年八歳になる。始めて会うことになる年齢の近い男の子にエリンはワクワクしていたのだ。お友達になれるかなあと楽しみにしていたのに。
「もういいや! わたしのお友達はウーファとおみずのせいれいさんだけだもの」
エリンは、水の精霊さんと精霊を呼んだ。ふわりと青色の精霊が形を取り、エリンの前に現れた。美しい青の貴婦人だ。
『何? エリン』
水の美しい精霊がエリンへ親しげに話しかける。
「おみずのせいれいさん、あそぼ!」
幼いエリンのあどけない風情に水の精霊が笑う。
その時、がさっと音がした。
「だあれ?」
エリンが大きな青の瞳を瞬かせて、小首を傾げた。
エリンの零れ落ちそうな大きな瞳が一人の少年を捉えた。
がさりと黒の髪の少年が現れた。
夜空を切り取った闇色の短髪。深紅の切れ長の瞳。
綺麗な顔立ちの少年だった。
印象的なのは深紅の宝石のような瞳。
エリンは、始めて見る美少年に驚愕する。
「君、水の精霊の女王が見えるの?」
「じょうおう? 知らない! でもおみずのせいれいさんはいっぱい見えるよ! みんなお友達なの!」
えっへんとエリンは胸を張る。少年は、深紅の瞳を驚きの色に染め上げた。
「水の精霊の女王の愛し子? 名前は?」
「エリン、エリン=スミス!」
胸を張りながら名前を名乗ると、少年はエリンの名前を反芻する。
「ベンおじさんの所の娘?」
エリンは少年の台紙にきょとんとする。
「ベンは、パパの名前よ」
目の前の少年が何故、父親の名前を知っているのだろうとエリンは不思議に思った。
「僕は、レヴィだよ。レヴィ=ダグラス。僕は君と同じ炎の精霊王の愛し子だよ」
レヴィが戸惑うように自分の名前を名乗る。
「ほのおのせいれいおう? よくわかんない」
「火の精霊が見えるんだ、まあ火の精霊とお友達なんだ」
幼いエリンに分かるようにレヴィは、説明してくれた。
「せいれいとお友達? じゃあエリンと一緒?」
わあとエリンは声を上げて、レヴィに抱き着いた。
エリンに抱き着かれて、レヴィは全身が固まる。
子ども独特のお日様の匂いがレヴィの鼻腔をくすぐる。
ぎゅうっと更に強く抱き着かれる。
エリンが顔を上げて、きらきらした表情で声を出す。
「あのね、わたし、同じせいれいさんが見える人、始めて会ったの!」
嬉しそうなエリンの可愛らしい声音にレヴィは、戸惑う。
「お友達になって!」
レヴィは、エリンの申し出に唇を固く結んだ。
スペンサー王国では、精霊王の愛し子は代々四大精霊の四人のみ。その四人の内のレヴィは、スペンサー王国の炎の魔法院の魔法の長に認知されて、国で保護されていた。現在は、四大精霊の愛し子はレヴィのみ。そのことが判明してからまだ八歳のレヴィに上の貴族たちから釣り書きが山のように届くようになった。
しかし、レヴィの父親のエドワードはレヴィには婚約者がいると突っ撥ねていた。
それが目の前のエドワードの親友の娘、エリンである。
エリンは水の精霊の女王が付けた愛し子の印である青の大きな瞳でレヴィを凝視していた。
そして感じる、以前このようなことがなかったかと。
既視感を感じるのだ。
炎に包まれたレヴィ。
何もせずに見つめるしかない自分。
レヴィの心の中の聴けない言葉。
ぐるぐると世界が回り、エリンの中の何かが弾ける。
広大なお屋敷の中、エリンはウーファを引きずりながら歩いていた。
父親の親友の息子の誕生日にエリンが呼ばれたのだ。
義母のセレナと連れ子のクロエは王都に残っている。
二人も行きたいと我が侭を言い募ったが、父親のベンが却下した。
ダグラス伯爵家の女主人であるアリスは、エリンのみを招待したのだ。
それはアリスがエリンの亡くなった母親マーガレットと親しかったから。
ダグラス伯爵家の領地の城館は広くて、迷子になってしまった。
ダグラス伯爵の一人息子レヴィは、エリンに会いたくないと言って、引きこもってしまっているらしい。
レヴィは今年八歳になる。始めて会うことになる年齢の近い男の子にエリンはワクワクしていたのだ。お友達になれるかなあと楽しみにしていたのに。
「もういいや! わたしのお友達はウーファとおみずのせいれいさんだけだもの」
エリンは、水の精霊さんと精霊を呼んだ。ふわりと青色の精霊が形を取り、エリンの前に現れた。美しい青の貴婦人だ。
『何? エリン』
水の美しい精霊がエリンへ親しげに話しかける。
「おみずのせいれいさん、あそぼ!」
幼いエリンのあどけない風情に水の精霊が笑う。
その時、がさっと音がした。
「だあれ?」
エリンが大きな青の瞳を瞬かせて、小首を傾げた。
エリンの零れ落ちそうな大きな瞳が一人の少年を捉えた。
がさりと黒の髪の少年が現れた。
夜空を切り取った闇色の短髪。深紅の切れ長の瞳。
綺麗な顔立ちの少年だった。
印象的なのは深紅の宝石のような瞳。
エリンは、始めて見る美少年に驚愕する。
「君、水の精霊の女王が見えるの?」
「じょうおう? 知らない! でもおみずのせいれいさんはいっぱい見えるよ! みんなお友達なの!」
えっへんとエリンは胸を張る。少年は、深紅の瞳を驚きの色に染め上げた。
「水の精霊の女王の愛し子? 名前は?」
「エリン、エリン=スミス!」
胸を張りながら名前を名乗ると、少年はエリンの名前を反芻する。
「ベンおじさんの所の娘?」
エリンは少年の台紙にきょとんとする。
「ベンは、パパの名前よ」
目の前の少年が何故、父親の名前を知っているのだろうとエリンは不思議に思った。
「僕は、レヴィだよ。レヴィ=ダグラス。僕は君と同じ炎の精霊王の愛し子だよ」
レヴィが戸惑うように自分の名前を名乗る。
「ほのおのせいれいおう? よくわかんない」
「火の精霊が見えるんだ、まあ火の精霊とお友達なんだ」
幼いエリンに分かるようにレヴィは、説明してくれた。
「せいれいとお友達? じゃあエリンと一緒?」
わあとエリンは声を上げて、レヴィに抱き着いた。
エリンに抱き着かれて、レヴィは全身が固まる。
子ども独特のお日様の匂いがレヴィの鼻腔をくすぐる。
ぎゅうっと更に強く抱き着かれる。
エリンが顔を上げて、きらきらした表情で声を出す。
「あのね、わたし、同じせいれいさんが見える人、始めて会ったの!」
嬉しそうなエリンの可愛らしい声音にレヴィは、戸惑う。
「お友達になって!」
レヴィは、エリンの申し出に唇を固く結んだ。
スペンサー王国では、精霊王の愛し子は代々四大精霊の四人のみ。その四人の内のレヴィは、スペンサー王国の炎の魔法院の魔法の長に認知されて、国で保護されていた。現在は、四大精霊の愛し子はレヴィのみ。そのことが判明してからまだ八歳のレヴィに上の貴族たちから釣り書きが山のように届くようになった。
しかし、レヴィの父親のエドワードはレヴィには婚約者がいると突っ撥ねていた。
それが目の前のエドワードの親友の娘、エリンである。
エリンは水の精霊の女王が付けた愛し子の印である青の大きな瞳でレヴィを凝視していた。
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