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20話 過去2
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ベンとマーガレットは、エリンが水の精霊の女王の愛し子であることをひたすら隠していたのであろう。彼女は、自分が精霊使いであることを知らない。実際、レヴィがエリンに確認したところ、彼女は数名の侍女やメイドを除いて、接することを禁じられていたらしい。
エリンは、世間知らずで純真だった。
レヴィの知っている貴族社会の令嬢ならもっと、令嬢らしく高慢に振舞っただろうし、彼に対して媚びてくる。例え五歳であったとしてもだ。
それからのエリンは、レヴィにどこへいくにもくっついて回った。
勉強をしている時も、横で絵本を読んでいたり、剣を教えられている時も、彼を待っていたり。
お友達になろうと言われて、頑なな態度を取り続けていたレヴィも最後には折れた。
「友達になればいいんだろう? わかったよ」
レヴィがエリンの執念に負けたと白旗を上げた。
エリンは、レヴィの科白にぱあっと顔を明るくして、レヴィに抱き着いた。
エリンからは前と同じお日様の匂いがした。
「わーい! そしたらレヴィ、いっぱいあそぼうよ!」
エリンは、城館にひと夏滞在するらしい。
レヴィは、エリンと交流する内に自然と親しくなっていった。
今日は、侍女やメイドを連れて二人はダグラス領内の湖にきていた。湖から流れ出る透明な色合いの水と白い可憐な野の花々が小川を彩っている。
エリンは、普段王都から出ることがないので自然豊かな遊び場にはしゃいでいる。茶色の長い髪をぴょんぴょん揺らして、零れ落ちそうな青の瞳が嬉しそうな色に染まっていた。動きやすい水色のワンピース姿が可愛らしい。
侍女に花冠の作り方を教わっている。出来上がった花冠を頭に載せて、レヴィの所に小走りでやってきた。
「レヴィ! みてみて! かわいいでしょう!」
無邪気なエリンは、愛くるしくて稚い。
早熟なレヴィは、頬を赤らめて頷いた。
「うん。可愛い……」
「ほんとう? およめさんみたい?」
エリンは、背伸びをしてレヴィの頬に口づけた。
「へ?」
柔らかい唇の感触にレヴィは間抜けな声を出す。
「あのね! エリン、おおきくなったらレヴィのおよめさんになってあげる!」
エリンは、熟れた林檎のように頬を赤くさせて声を上げた。
「わたし、レヴィのことだいすき! レヴィは?」
「……エリンのこと、僕も好きだよ」
小声で恥ずかしそうにレヴィは呟く。
「わあ! りょうおもいだ!」
エリンは嬉しそうにレヴィに抱き着いた。
二人は、ダグラス家の料理人が用意したサンドイッチやフルーツを食べる。
エリンは、一生懸命サンドイッチを頬張る。
その姿が愛くるしくて、レヴィは苦笑する。
そして、遊び疲れて、こてんとレヴィの隣で眠ってしまった。
帰りの馬車の中でもエリンはレヴィの膝を枕代わりに寝てしまう。
すうすうと寝息をたてている少女がレヴィは、可愛くて仕方なくて。
周囲の使用人たちが、慌てる中レヴィはエリンをおんぶして、エリンの部屋まで運んで行った。
レヴィは、今までまわりの人間に愛し子であることや見た目から特別扱いを受けてきた。
だけど。
エリンだけは違ったのだ。
同じ精霊王の愛し子であり、無邪気なエリンはレヴィを友達だと言ってくれた。
今は、大好きだと告白してくれる。
エリンは、レヴィのなかで特別な存在になっていった。
ダイニングルームで二人が朝食を取っている時だった。
執事が急いでレヴィに告げる。
「レヴィ様! ご両親が王都からお戻りになります!」
ダイニングルームに執事の声が響く。
その言葉を聞いて、レヴィは身体を強張らせる。
「レヴィ? どうしたの?」
鈴を鳴らしたような可愛らしいエリンの声音がする。
今や聞き慣れたエリンの声にレヴィははっと我に返った。
「……ううん。何でもないんだ」
レヴィは、嫌な予感がしたがそれを隠して微笑んだ。
エリンは、世間知らずで純真だった。
レヴィの知っている貴族社会の令嬢ならもっと、令嬢らしく高慢に振舞っただろうし、彼に対して媚びてくる。例え五歳であったとしてもだ。
それからのエリンは、レヴィにどこへいくにもくっついて回った。
勉強をしている時も、横で絵本を読んでいたり、剣を教えられている時も、彼を待っていたり。
お友達になろうと言われて、頑なな態度を取り続けていたレヴィも最後には折れた。
「友達になればいいんだろう? わかったよ」
レヴィがエリンの執念に負けたと白旗を上げた。
エリンは、レヴィの科白にぱあっと顔を明るくして、レヴィに抱き着いた。
エリンからは前と同じお日様の匂いがした。
「わーい! そしたらレヴィ、いっぱいあそぼうよ!」
エリンは、城館にひと夏滞在するらしい。
レヴィは、エリンと交流する内に自然と親しくなっていった。
今日は、侍女やメイドを連れて二人はダグラス領内の湖にきていた。湖から流れ出る透明な色合いの水と白い可憐な野の花々が小川を彩っている。
エリンは、普段王都から出ることがないので自然豊かな遊び場にはしゃいでいる。茶色の長い髪をぴょんぴょん揺らして、零れ落ちそうな青の瞳が嬉しそうな色に染まっていた。動きやすい水色のワンピース姿が可愛らしい。
侍女に花冠の作り方を教わっている。出来上がった花冠を頭に載せて、レヴィの所に小走りでやってきた。
「レヴィ! みてみて! かわいいでしょう!」
無邪気なエリンは、愛くるしくて稚い。
早熟なレヴィは、頬を赤らめて頷いた。
「うん。可愛い……」
「ほんとう? およめさんみたい?」
エリンは、背伸びをしてレヴィの頬に口づけた。
「へ?」
柔らかい唇の感触にレヴィは間抜けな声を出す。
「あのね! エリン、おおきくなったらレヴィのおよめさんになってあげる!」
エリンは、熟れた林檎のように頬を赤くさせて声を上げた。
「わたし、レヴィのことだいすき! レヴィは?」
「……エリンのこと、僕も好きだよ」
小声で恥ずかしそうにレヴィは呟く。
「わあ! りょうおもいだ!」
エリンは嬉しそうにレヴィに抱き着いた。
二人は、ダグラス家の料理人が用意したサンドイッチやフルーツを食べる。
エリンは、一生懸命サンドイッチを頬張る。
その姿が愛くるしくて、レヴィは苦笑する。
そして、遊び疲れて、こてんとレヴィの隣で眠ってしまった。
帰りの馬車の中でもエリンはレヴィの膝を枕代わりに寝てしまう。
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だけど。
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同じ精霊王の愛し子であり、無邪気なエリンはレヴィを友達だと言ってくれた。
今は、大好きだと告白してくれる。
エリンは、レヴィのなかで特別な存在になっていった。
ダイニングルームで二人が朝食を取っている時だった。
執事が急いでレヴィに告げる。
「レヴィ様! ご両親が王都からお戻りになります!」
ダイニングルームに執事の声が響く。
その言葉を聞いて、レヴィは身体を強張らせる。
「レヴィ? どうしたの?」
鈴を鳴らしたような可愛らしいエリンの声音がする。
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レヴィは、嫌な予感がしたがそれを隠して微笑んだ。
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