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2章
6話「ヴァイス・リッター」
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―セザール城内一室―
「国境付近はどうなっておる」
初老の男性の声が報告を上げた者に尋ねた。
「ハッ! 現在拮抗状態であります」
報告を上げた人間は真っ直ぐな姿勢で敬礼をしている。
「そうか」
「しかし、大陸内部に出現する魔物の勢いは止まっておりませぬ」
「ふむ、魔物の発生源である5つも変わらぬか?」
「はい、以前と変化はありませぬ」
「そうか、1つでも破壊出来れば良いのだがな、今は仕方あるまい。 アーティファクトについて何か分かった事はあるか?」
「ハッ、ヴェストタウン近郊に【賢神の石】があるのでは無いかと報告を受けております!」
彼の言うヴェストタウンはセザール国より南に位置する砂漠エリアだ。
「他のアーティファクトについては調査中か?」
「そうであります!」
「分かった、今まで通り続けてくれ、下がって良いぞ」
「ハッ! 失礼致します!」
報告を上げた者は敬礼をした後、深々とお辞儀をすると部屋を後にした。
-シュヴァルツ・サーヴァラー-
先程魔王城を発った小型の悪魔はシュヴァルツ・サーヴァラーへと赴きターゲットに見据えた、上位ウィザードの元へやって来た。
「テメー、この街を支配する力を貸してくれるっつーのは本当だろうな?」
「そうだ」
人間との交渉の為、人と同じ大きさへと変身した魔族がゆっくりと返事をした。
「ハッ! この俺様がセザールタウンを制圧してやんだ、有難く思えよな?」
高級な椅子にふんぞり返る様に座りながら悪魔に対し堂々と話す彼は相当な実力でもあるのだろう。
「我等からすれば誰がどうしようが関係無い事だ」
そんなウィザードの対応に対し全く持って興味無く悪魔は返す。
「フン生意気な野郎だぜ」
「人間の中にも貴様の様な裏切り者が居るとはな」
どうやら悪魔の思惑通り、彼には人間を裏切る素質はあるみたいだ。
「俺様は俺様が支配できねぇ事がクソ気にいらねぇんだよ!」
「そうか、ならば貴様の力とくと眺めさせていただこう」
悪魔はニタッっと笑みを浮かべるとダストに杖を渡しその姿を消した。
「うるせぇ! 俺様を誰だと思ってやがんだ! おいセリカ! 今貰ったこの杖を試せ!」
ウィザードは悪魔から受け取った杖に手を触れるも、何かが気に入らなかったのか、はたまた杖の性能を把握しきり適性の高い人間が自分以外である事を悟ったのか分からないが、即座に女ウィザードを呼び寄せこの杖を渡した。
「ハッ、仰せのままに」
セリカと呼ばれた女ウィザードは転移術を使い彼の目の前に現れると杖を受け取り丁重にお辞儀すると再度転移魔法を使いその場を去った。
―カイルの自室―
見習いオーク討伐を終えた翌朝。
朝日の心地良い明かりと温かさを肌で感じ取った俺は目を覚ました。
「今日も頑張ろ」
う、と言おうとしたら誰かが玄関をノックする音が聞こえた。
おや? ルミリナさん? さて? 俺の家の場所を教えてないと思うが?
と思いながら俺は玄関のドアを開けると。
「何だ、ルッカさんか」
そこに居たのはルッカさんだった。
そう言えば前からずっと結構な頻度で俺の家に来るんだっけ。
「何だとは何よ! 可愛い女の子がわざわざやって来たのよ? 有難く思いなさいよ!」
自分で言う? 確かに可愛いけど。
確かにセザール学園内で人気高かったけど。
「はいはい、わー可愛いルッカさんがわざわざやって来て俺嬉しいなぁ」
棒読で言う。
「わかってるじゃない? キッチン借りるよ? どうせカイルの事だから今日も朝ごはん食べないんでしょ?」
どうやら気が付いていないみたいだ。
「めんどーだし、多分食べない」
「はぁ、そんな栄養管理でよく全教科トップ取れたよねぇ?」
取れたモノは仕方あるまい。
多分、日々の鍛錬や勉強の方が大事だったんでしょ。
「関係あるかぁ?」
「ある! 大有りだよ! 朝ごはん食べないと、脳の回転があがらないんだからね!」
得意気に言うルッカさんだ。
「へぇ、そうなんだ」
「私、何回も言った気がするけど」
「そうだっけ? 覚えて無い」
確かに、ルッカさんに朝ご飯作って貰った時は朝の集中力が上がってたような?
「だろうね。 どうせ食材だって無いでしょ?」
「無いよ」
「フン、やっぱりね? ちゃーーーんと私が持って来たから感謝しなさいよ?」
「それは有難い」
ルッカさんはキッチンに移動し朝ご飯の調理を始めた。
暫くすると、調理したご飯の良い匂いを感じ取る事が出来、強い空腹感を覚えた。
これは、完成が待ち遠しい。
「はい、出来たよ」
「ありがとー」
程なくしたところでテーブルの上に目玉焼きと焼いたソーセージが並べられたお皿が2枚並べられ、中央には主食のパンが並べられたお皿が置かれた。
「ふふん、可愛い女の子が作ったのよ? もっと感謝したらどうなの?」
ルッカさんが得意気な様子で言う。
「わールッカさん優しいなぁ、僕物凄く嬉しいなぁ」
今回は感情を込めて言った、つもりだ。
俺はこんなキャラじゃないから違和感ありありな気がして溜まらない。
「そう? お代わりしても良いのよ?」
ルッカさんが妙に嬉しそうだ。
「じゃあ、お願い」
折角だからお代わりを頼むと、ルッカさんは更に上機嫌になった。
ご飯のお代わりを持って来た所で気が付いたけど、
「あれ? ルッカさんは食べないの?」
「私は食べて来たから」
これまた嬉しそうにしながら言う。
ここまで機嫌の良いルッカさんを見るのは珍しい気がする。
何か引っかかる事がある気がするけど、ここまで上機嫌なら気のせいかな?
俺はご飯を食べ終えて、
「ごちそう様、美味しかったよ、ありがとう」
「うんうん、お腹が空いたらいつでも言ってね? ご飯位ならいつでも作ってあげるから♪」
ルッカさんは空になった食器を取り下げると鼻歌を歌いながら食器を洗いに行った。
「さっ、ヴァイスリッターに行くんでしょ?」
「そうだね、行こう」
食器の洗浄を終え、ニコニコ笑顔のルッカさんと一緒にヴァイス・リッターへ向かう事にした。
「国境付近はどうなっておる」
初老の男性の声が報告を上げた者に尋ねた。
「ハッ! 現在拮抗状態であります」
報告を上げた人間は真っ直ぐな姿勢で敬礼をしている。
「そうか」
「しかし、大陸内部に出現する魔物の勢いは止まっておりませぬ」
「ふむ、魔物の発生源である5つも変わらぬか?」
「はい、以前と変化はありませぬ」
「そうか、1つでも破壊出来れば良いのだがな、今は仕方あるまい。 アーティファクトについて何か分かった事はあるか?」
「ハッ、ヴェストタウン近郊に【賢神の石】があるのでは無いかと報告を受けております!」
彼の言うヴェストタウンはセザール国より南に位置する砂漠エリアだ。
「他のアーティファクトについては調査中か?」
「そうであります!」
「分かった、今まで通り続けてくれ、下がって良いぞ」
「ハッ! 失礼致します!」
報告を上げた者は敬礼をした後、深々とお辞儀をすると部屋を後にした。
-シュヴァルツ・サーヴァラー-
先程魔王城を発った小型の悪魔はシュヴァルツ・サーヴァラーへと赴きターゲットに見据えた、上位ウィザードの元へやって来た。
「テメー、この街を支配する力を貸してくれるっつーのは本当だろうな?」
「そうだ」
人間との交渉の為、人と同じ大きさへと変身した魔族がゆっくりと返事をした。
「ハッ! この俺様がセザールタウンを制圧してやんだ、有難く思えよな?」
高級な椅子にふんぞり返る様に座りながら悪魔に対し堂々と話す彼は相当な実力でもあるのだろう。
「我等からすれば誰がどうしようが関係無い事だ」
そんなウィザードの対応に対し全く持って興味無く悪魔は返す。
「フン生意気な野郎だぜ」
「人間の中にも貴様の様な裏切り者が居るとはな」
どうやら悪魔の思惑通り、彼には人間を裏切る素質はあるみたいだ。
「俺様は俺様が支配できねぇ事がクソ気にいらねぇんだよ!」
「そうか、ならば貴様の力とくと眺めさせていただこう」
悪魔はニタッっと笑みを浮かべるとダストに杖を渡しその姿を消した。
「うるせぇ! 俺様を誰だと思ってやがんだ! おいセリカ! 今貰ったこの杖を試せ!」
ウィザードは悪魔から受け取った杖に手を触れるも、何かが気に入らなかったのか、はたまた杖の性能を把握しきり適性の高い人間が自分以外である事を悟ったのか分からないが、即座に女ウィザードを呼び寄せこの杖を渡した。
「ハッ、仰せのままに」
セリカと呼ばれた女ウィザードは転移術を使い彼の目の前に現れると杖を受け取り丁重にお辞儀すると再度転移魔法を使いその場を去った。
―カイルの自室―
見習いオーク討伐を終えた翌朝。
朝日の心地良い明かりと温かさを肌で感じ取った俺は目を覚ました。
「今日も頑張ろ」
う、と言おうとしたら誰かが玄関をノックする音が聞こえた。
おや? ルミリナさん? さて? 俺の家の場所を教えてないと思うが?
と思いながら俺は玄関のドアを開けると。
「何だ、ルッカさんか」
そこに居たのはルッカさんだった。
そう言えば前からずっと結構な頻度で俺の家に来るんだっけ。
「何だとは何よ! 可愛い女の子がわざわざやって来たのよ? 有難く思いなさいよ!」
自分で言う? 確かに可愛いけど。
確かにセザール学園内で人気高かったけど。
「はいはい、わー可愛いルッカさんがわざわざやって来て俺嬉しいなぁ」
棒読で言う。
「わかってるじゃない? キッチン借りるよ? どうせカイルの事だから今日も朝ごはん食べないんでしょ?」
どうやら気が付いていないみたいだ。
「めんどーだし、多分食べない」
「はぁ、そんな栄養管理でよく全教科トップ取れたよねぇ?」
取れたモノは仕方あるまい。
多分、日々の鍛錬や勉強の方が大事だったんでしょ。
「関係あるかぁ?」
「ある! 大有りだよ! 朝ごはん食べないと、脳の回転があがらないんだからね!」
得意気に言うルッカさんだ。
「へぇ、そうなんだ」
「私、何回も言った気がするけど」
「そうだっけ? 覚えて無い」
確かに、ルッカさんに朝ご飯作って貰った時は朝の集中力が上がってたような?
「だろうね。 どうせ食材だって無いでしょ?」
「無いよ」
「フン、やっぱりね? ちゃーーーんと私が持って来たから感謝しなさいよ?」
「それは有難い」
ルッカさんはキッチンに移動し朝ご飯の調理を始めた。
暫くすると、調理したご飯の良い匂いを感じ取る事が出来、強い空腹感を覚えた。
これは、完成が待ち遠しい。
「はい、出来たよ」
「ありがとー」
程なくしたところでテーブルの上に目玉焼きと焼いたソーセージが並べられたお皿が2枚並べられ、中央には主食のパンが並べられたお皿が置かれた。
「ふふん、可愛い女の子が作ったのよ? もっと感謝したらどうなの?」
ルッカさんが得意気な様子で言う。
「わールッカさん優しいなぁ、僕物凄く嬉しいなぁ」
今回は感情を込めて言った、つもりだ。
俺はこんなキャラじゃないから違和感ありありな気がして溜まらない。
「そう? お代わりしても良いのよ?」
ルッカさんが妙に嬉しそうだ。
「じゃあ、お願い」
折角だからお代わりを頼むと、ルッカさんは更に上機嫌になった。
ご飯のお代わりを持って来た所で気が付いたけど、
「あれ? ルッカさんは食べないの?」
「私は食べて来たから」
これまた嬉しそうにしながら言う。
ここまで機嫌の良いルッカさんを見るのは珍しい気がする。
何か引っかかる事がある気がするけど、ここまで上機嫌なら気のせいかな?
俺はご飯を食べ終えて、
「ごちそう様、美味しかったよ、ありがとう」
「うんうん、お腹が空いたらいつでも言ってね? ご飯位ならいつでも作ってあげるから♪」
ルッカさんは空になった食器を取り下げると鼻歌を歌いながら食器を洗いに行った。
「さっ、ヴァイスリッターに行くんでしょ?」
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