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3章
13話「白は白でも???」
しおりを挟む-シュヴァルツサーヴァラー-
暗い一室にて。
「ああっ! 何も戦果をあげれねぇ癖しておめおめと帰って来ただぁ?」
部下より作戦失敗の報告を受けたダストが怒鳴り声をあげている。
「申し訳ありません」
女ウィザードは深々と頭を下げ怒鳴り声に耐えている。
「チッ、だがよぉ、ヴァイスリッター高ランク野郎が邪魔して来やがったのも事実じゃねぇか? 悪魔から貰った杖の性能が把握出来ただけでも許してやんよ」
「有難う御座います」
ダストが許容する声を聞いた女ウィザードはゆっくりと頭を上げた。
「デケェ奴は呼べるのか?」
「いえ、恐らく魔力が足りません」
恐らく、数で攻めてもダメなら質で攻めると言う発想だろう。
それに対して、女ウィザードは恐る恐る事実を告げる。
「フン、だったら魔力増幅方法でも考えとけ」
「畏まりました」
「俺は賢神の石で忙しいからよぉ、じゃあな」
ダストは調べ物を再開し、報告を終えた女ウィザードは転移魔法を使いその場から去った。
―ヴァイスリッター―
無事死霊軍団を討伐し、ヴァイス・リッターへ戻り暫く時間が経過した所で、
「はわわわ!!!! お砂糖とお塩を間違えて入れちゃったーーーー助けてお姉ちゃーーーん」
ギルドハウスの奥からルミリナさんの叫び声が聞えて来た。
「全く、ルミったら」
アリアさんが呆れながらルミリナさんが居る厨房へと向かった。
「あら? 面白そうな事になってるじゃない?」
セフィアさんがエリクさんに向かって何かを企んでるかの様な笑みを浮かべている。
「ルミリナさんの声聞く限り大変な事になってると思うんですけど」
俺は嫌な予感を察知しながらセフィアさんに言うが、
「そうねぇ? けれどそれを乗り越える漢気を見せるのも悪くないんじゃない?」
「ルミリナさんの料理が食べれる人なんて羨ましいですねぇ」
悪意しか感じられないセフィアさんに、明らかにやばそうな声が聞こえても呑気にしているエリクさんだ。
「あーあ、塩と砂糖間違えて入れちゃったなー、別にいっかーカイルは気にしないって言ってたしー今日の朝だって間違えたおかず食べさせて何の文句も言って無かったし―」
ルッカさんの声も聞こえて来た。
何だか物凄い事言ってる気がするが、それと同時に棒読みに聞こえたのも気になる所だ。
「ところでセフィアさん? ルッカさんとルミリナさんに何言ったんですか?」
「ウフフ? 気になる? そうねぇ、ルッカちゃんがねー、ボウヤにご飯作るって話してたから、ルミリナちゃんが私も作りますって言い出したのよ、それに対して私がちょっと一声掛けただけよ」
すっげー楽しそうに言うセフィアさん。
やっぱり悪意しか感じないのは気のせいか?
「あれあれー?カイルじゃない?帰ってたんだ、丁度良かった」
先の独り言を俺が聞いてる事を知ってるのか知らないのかルッカさんがニコニコ笑顔で俺のところにやって来た。
「あのね~本当はお好み焼き作りたかったんだけどね、私とした事が塩と砂糖入れ間違えちゃってねー、急遽パンケーキを作る事にしたの」
ルッカさんは、右手に持っている皿を得意気に見せて来た。
うん? パンケーキの上に生クリームが乗って、ラズベリーとストロベリーとクランベリーが乗ってカスタードソースがかけられて滅茶苦茶美味しそうじゃん!
「うぅ、いいなぁ、カイルさん」
そう思ったのも束の間、エリクさんから物凄く痛い視線を突き付けられる。
「ご安心ください、皆様の分もありますから!」
ルッカさんがどこか勝ち誇った空気をまといながら可愛く笑顔を見せると、奥のテーブルに数人分のパンケーキを配膳した。
「ごめんルミ、私料理分からなくて力になれなかったけど大丈夫?」
「う、うん、多分大丈夫だよ」
ルミリナさんがか細い声を振り絞り、自分が作ったお菓子を皿の上に乗せた。
「あの、カイルさん? これ、作りました!」
「え? あ、えっと、有難う?」
ルミリナさんはクッキーが乗せられた皿をテーブルの俺に近い場所に置いた。
円形、四角形のクッキーは綺麗な形をしており、焼き色も良い。
これだけ見れば非常に美味しそうなクッキーに思える。
ついさっき聞こえたルミリナさんの悲鳴さえなければ、だ。
さーて、どうする? 一口かじれば口の中に塩の味が広がるクッキーだ。
正直なところ、ダメと分かってる物を食べるのは気が進まない。
だからと言って、自分の料理に対して周りの高評価を得意気にしているルッカさんの目の前で今にも泣きそうな顔で不安気にしているルミリナさんを目の前に、マズイだの食べないだのという選択肢を選ぶには抵抗がある。
「ええ!? カイルさんだけですか!?」
「いや、エリクさんも食べて良いと思うけど」
エリクさん? ルミリナさんの悲鳴聞いていてもその発言が出来るのですか? ウィザード止めてブレイバーになった方が良いんじゃないっすか?
「ウフフフ、じゃ、遠慮無く頂きます!」
エリクさんは、ニコニコ笑顔で砂糖と塩を入れ間違えたらしきクッキーを頬張った。
むむむ、このままでは塩味のキツイクッキーを食べなければならないが何か手は無いか?
そうだ!
「ルッカさん、食パン無い?」
「は? あるけど、どうして?」
「いやー、普通のパンも食べたくなってさぁ」
「ルミリナさん! このクッキー美味しいですね!」
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