Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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3章

15話「セリカ・ジュピティス」

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「さぁさぁ戦場にやってきましたよ! カイルさん!」

 エリクさんが目を輝かせながら、ベンチに座っている水色ショートヘアーの女性を指差した。
 なるほど、ルッカさんやルミリナさん程では無いけどそれなりに可愛いな。
 穢れの無い少年の様な瞳をするエリクさんを背に、俺はその女性に近付いた。

「あのー、すみません」

 俺は、エリクさんがご指名なさった女の子に声を掛けた。
 この女の子には悪いだけど、ルミリナさんって滅茶苦茶可愛いんだなぁ、料理が凄まじい事になっちゃうのが玉に瑕だけど。
 ルッカさん改めて可愛いと痛感する。
 改めて、アリアさんって物凄い美人だなとも。
 
「は、はい?」
 
 突然俺に話掛けられた女性が驚いた顔をして俺の方を見た。

「あ、あの、ひょっとしてカイル先輩ですか?」
「そうだけど?」

 うん? よくよく見たらセザール学園の制服を着ているじゃないか?
 つー事は1つか2つ学年が下の誰かだ。
 さて、1学年3桁は居る学生の中から目の前の女学生が一体誰なのか。
 ごめん、俺には分からない。

「私、全科目トップの成績で卒業したカイルさんにずっと憧れてました!」

 胸の前で手を組んで、輝いた瞳を上目遣いさせて俺を見つめる後輩サン。

「そうなんだ、有り難う」
「あ、あの、突然声を掛けてくれたって事は、もしかしてデートのお誘いだったりしますか?」
「別にそういう訳じゃ無いけど、ほら、そこにいる緑色のとんがり帽子を被ったウィザードの人に女の子を見繕ってくれって頼まれて」

 俺がそう言うと、後輩の女の子は遠くに居るエリクさんをじーっと眺めだして、徐々に表情が曇りだして。

「ごめんなさい、急用を思い出しました、その、また別の日にカイルさんと二人きりで勉強を教えて下さいね」

 後輩の女の子はカバンの中から紙を取り出し、自分の連絡先を書くとエリクさんに見えない様、こっそりと俺に手渡した。

「分かった、それじゃまたね」

 俺は一瞬チラ見をし、エリクさんがにこやかに待っている事を確認するとがっかりとした仕草を見せながら彼の元へ戻って行った。

「ど、どうでしたか!?」
「男の人は苦手だったみたいです」
「それは仕方ありませんね、挫けてる暇は有りません! 次に行きましょう!」
「分かりました」
「次はあの人でお願いします!」

 エリクさんが次にターゲットとして定めたのは女性のナイトだ。
 シルバーフォルムの防具がその美しさを引き立てており、恐らく俺よりも冒険者ランクは上だろう。

「ごめんなさい! 今依頼の途中って事忘れてました!」

 あーあ、この人もエリクさんを見た瞬間顔を曇らせましたよ。
 この女性からも連絡先を書いた紙を貰えたけど、やっぱりエリクさんを見た瞬間手のひらを返された。

「じゃあ、次は」

 真実を知らないエリクさんは落胆する素振りすら見せる事無くウィザードの女性を指名し、俺が声を掛ける。
 これまたエリクさんを見た瞬間顔を曇らせて連絡先だけを俺に渡してサヨウナラ。
 次はファイターの女性を指名して、連絡先が書かれた紙が4枚に増えて。
 次のご指名はプリーストだ。
 勿論結果は言うまでもない。

「皆忙しそうでダメでした」
「それは仕方ありませんね、でもまだ5人ダメだっただけですから、さっ気持ちを切り替えて次に行きましょう!」
 
 エリクさんが瞳を輝かせながら次のターゲットを探していると1人の女性ウィザードが俺達に近付いて来て、

「あの」

 なんと女性の方から俺達に話掛けて来た。

「はい?」

 帽子、眼鏡、衣服からほぼ全てが黒色で統一されてる、この人は黒魔術の研究でもしてるのかな? ここに黒猫も居たら完璧なんだけど。

「はぁ、カイルさんは羨ましいですよね、こんな可愛い娘の方から声掛けて貰えるんですから」
「その、エリク、さんですよね?」

 予想外にも、女性ウィザードは俺ではなくエリクさんに話掛けた。

「え? 僕ですか? そそそ、そうですよ!」
「えっと、私、セリカって言います、実は昔からエリクさんのファンでした」

 へぇ、エリクさんのファンかぁ、確かにエリクさん位腕の立つウィザードならファンが居ても可笑しくないし、毟ろ今までの5人の女の子達が世間を知らなかったまであるかもしれない。

 ☆セリカ・ジュピティス

 ・シュヴァルツ・サーヴァラーに所属する女ウィザード。18歳。
 ・魔族から貰った杖のによりネクロマンス法を操る事が出来る。
  ドS。
  性格の表裏が激しい。
  使い魔の仔猫、みー太君が居る。
 ・外見特徴、とんがり帽子、ローブが黒づくめ。
  美人3:可愛い1位の容姿。
 ・身長、165cm(帽子含まず)
 ・体型、普通。胸はやや大きい。
 ・髪、青紫色のサラサラストレート。長さは肩位。

「にゃーお」

 セリカさんが着ているローブの中から黒猫が顔を出した。本当に黒魔術師だったりしてね。

「あっ、その、ごめんなさい!」

 セリカさんは慌てて黒猫を隠そうとする。

「ね、ねこですか!? だ、だいじょうぶ、可愛いじゃないですか!?」
「ほんとうですか?」
「みゃーお!」

 再び黒猫が顔を出した。

「はい、ほ、ほんとうです、よ?」

 慌てふためきながら返事をするエリクさん。
 一方のセリカさんは無表情で声も暗いし声も細々としている。

「ありがとう、ございます、その、お礼と言っては何ですけど宜しければご一緒しませんか?」
「え? い、いいんですか?」

 お礼? 一体何のお礼? 脈絡も無くセリカさんの方から誘いが出たぞ?
 こんな暗くてポーカーフェースな女性から? 何かおかしくね? こんな暗い感じの女性が積極的に男性に話しかけるっけ?

「エリクさ」
「ふぎゃああああ!!!!」

 違和感を抱いた俺が、エリクさんを止めようとしたところ彼女の腕の中に居た猫が突然俺に飛び掛って来た。
 
「わっ! 何するんだ!」
 
 俺は反射的に横へ飛ぶ事でその襲撃を回避した。

「みー太君、いたずらはダメ?」
「ふしゃーーーーー」

 みー太君は、飼い主の声を聞くと渋々元の場所に戻った。

「カイルさん、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫」

 妙な違和感を覚える以上出来ればエリクさんは誘いを断って欲しいと思う所だけど。
 いや、エリクさんにとっては不本意かもしれないけど俺も一緒に付いて行けば良い。

「では、此方に」
「俺も付いていきます!」
「え? カイルさん? いえ、当然ですよね、ハハハ」
「そう、ですか」

 セリカさんは残念そうな顔を浮かべると口をもごもごとさせた。

「魔法!?」

 俺は叫ぶが、種類? 分からない! 属性、分からない! 避けれる? 弾筋も分からないし距離も近い、無理!
 避けられないから魔法を受けるしかないと判断した俺はとっさに『抵抗増加(レジスト)』を自分に掛けた。

「残念です」
「ぐっ、何を、した?」

 俺のレジストはセリカさんの魔法よりも早く発動させられた。
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