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3章
20話「意外な再会」
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「今回は何が起きたのですか?」
「はい、何者かによってセザール平原に巨大なゾンビが召喚されました、情報によりますとゆっくりとセザールタウンに向かっているとの事です、そこでその巨大なゾンビを討伐して頂きたいと存じます」
「巨大なゾンビ、ですか」
「また珍しいわね、けどゾンビ相手ならちょっとやそっと魔力が減っていても大丈夫よね?」
「そうですね、特に問題は無さそうですけど、ゾンビなんて誰かが召喚しないと発生しない筈ですが」
「すみません、そこまでは分かっていません、セザール平原ですと新米冒険者の方しか居ませんので詳しい情報の入手は不可能に近いです」
「いえ、お気になさらず」
エリクさん達の話を聞く限り、戦わなければいけない相手は巨大なゾンビで、でもゾンビって事はネクロマンサーがセットになってるよね?
「本当に有難う御座います!」
「いえいえ、セザールタウンの平和を守れると思えれば安いものですから」
俺が色々考えている間に今回の依頼に関する応対は終わった様だ。
「それでは、行きましょう!」
妙に意気揚々としているエリクさんを先頭に俺達は巨大なゾンビの討伐へ向かう事にした。
冒険者ギルドの外へ出ると、エリクさんの転移魔法により巨大なゾンビ近くへと降り立った。
「大体5M位かしら?」
「そうですね、結構大きいですね」
ゾンビの進行方向とは真逆の位置にある岩陰に身を潜めながらセフィアさんとエリクさんが小声で話ている。
「炎の魔法なら一撃でいけるかしら?」
「僕の魔力が減衰してなければ出来るかもしれないですけど、如何せん距離が遠すぎて難しいです」
「私の射撃武器でもちょっと射程外になるわね」
「その様ですね」
「もう少し近付くにしても、アレを使役しているネクロマンサーに見付かったら面倒になりかねないでしょうね」
「この辺りには身を潜めるに適した自然の物があまりありませんし見付からず近付くのは難しいですね」
エリクさんが言う通りこの辺り一帯は広大な草原になっており、身を隠すに適した木々や岩場と言うのは中々存在しない。
「大人しく部位を一つずつ破壊するしか無さそうね、正直面倒だけど」
「ははは、仕方ありませんよ、巨大な魔物相手ですとそういう地道な戦術も大事になりますし」
「強力な前衛が居たら便利よねぇ、って言いたいけど、あれだけの大きさの相手だと何人も前衛が必要になるのよねぇ」
「そうですね、僕が強力な魔法を完成させて一撃で倒そうと思うと何人もの前衛の方が必要になります」
「ま、デカイだけあって動きはトロそうなのが救いよね」
「そうですね、中には巨大でも機敏に動く魔物も居ますが」
エリクさんの言う通り、巨大なのに機敏に動くってなんだかずるい魔物も居る。
ワイバーンとか、グリフォンとかそういう類の魔物なんだけど、幸いな事にその様な強力な魔物はセザールタウン近郊で出現したという話は聞いた事が無い。
「そうなのよねぇ~それでも相手が巨大だから相手の攻撃モーションが分かり易くって避けるのは難しくないわね」
「へぇー、そうですか、セフィアさん凄いですね」
「あら? お世辞を言っても何も出ないわよ?」
「そんな事ありませんよ、僕はウィザードですからそう言った武術関係の知識は殆どありませんから」
「それもそうね、素直に受け取っておくわ」
セフィアさんは簡単に言ってるけど、実際は巨大な爪を避けるだけでも大きく動く事になって、スタミナを消耗しちゃうんだよなぁ。
でも、冒険者として鍛えればそれ位のスタミナは身に付くって事なのかな?
「それにしても、ネクロマンサーは何処にいるか分かりますか? こういうパターンですと魔物の頭の上に乗ってたりするんですけど、でも召喚したのはゾンビですと流石にそれは無さそうで」
案外その後をテクテク歩いてたりして。
「近くにそれらしき人間が歩いてるわよ」
「そうですか、運動するのが好きなネクロマンサーでしょうか?」
「けど、自分が召喚する魔物が腐臭や腐敗した肉体を考えるとそれしかないわね」
「それもそうですね、ネクロマンサーの居場所も分かった事ですし彼の討伐も考えましょうか」
「後から狙撃すれば良さそうね」
「そうでうね。ゾンビの制御を出来る人間が居なくなりますけど、私達の力があれば大丈夫でしょう」
「それでいきましょ」
エリクさんの言う通り、召喚者を倒したら召喚された魔物は主を失い制御不能となってしまう。
また、彼等の力があればそれでも倒せてしまうのも事実と思う。
どちらにせよ、俺とルッカさんは彼等に介護される形になる以上何も言う事は出来ないし、自分の身を守る事だけ考えてれば良いかなって思う。
自分の考えとは裏腹にルッカさんがすっげーやる気になってキース・クレッセントで素振りしている。
「それではカイルさん、ルッカさん、私達の後に続いて下さい!」
「分かりました」
俺は『防御障壁(プロテクション)』と『機動増加クイック』を皆に掛けた。
それが終わるとセフィアさんとエリクさんが目標に向かって疾走した。
って、エリクさんかなり足早いんだ。
俺が感心していると、シュン、と風を切る音を立てルッカさんが疾走する姿も目に映った。
確かに続いて下さいって言われたけど、もう少し後からでもよくないかい!?
渋々俺もルッカさんに続いて走り出した。
「これで!」
ネクロマンサーらしき人物を射程に捉えたセフィアさんがクロスボウで狙撃。
放たれた矢は鋭い軌道を描きネクロマンサーの肩部に直撃した。
肩部にクロスボウの矢を受けたネクロマンサーは、傷口を抑えながら膝から崩れ落ちた。
「それじゃ、僕は!」
エリクさんが『炎撃(ファイアボルト)』を放つ。
エリクさんの手より放たれた紅蓮の刃がジャイアントゾンビの胸部に突き刺さりゴォゴォと音を立て燃え盛る!
胸元に突然の違和感を受けたジャイアントゾンビは、一瞬のけ反った後に虚ろな視線を向けながら術者を探し出した。
「相手の魔法はプロテクション止まり、私の毒までは防げてなさそうね」
セフィアさんが、崩れ落ちたネクロマンサーに向かってそう呟いた。
ネクロマンサーは苦痛に顔を歪め、呼吸を乱しながらもセフィアさんを睨みつける。
どうやら、致命傷に近いダメージを背負ったみたいだ。
「そのようですね」
と言った所でエリクさんが目を丸くしネクロマンサーの顔に注目した。
「エリク君? 戦闘中によそ見なんて余裕ね」
ジャイアントゾンビの腕目掛け矢を放ったセフィアさんが茶化す様に言った。
「はい、何者かによってセザール平原に巨大なゾンビが召喚されました、情報によりますとゆっくりとセザールタウンに向かっているとの事です、そこでその巨大なゾンビを討伐して頂きたいと存じます」
「巨大なゾンビ、ですか」
「また珍しいわね、けどゾンビ相手ならちょっとやそっと魔力が減っていても大丈夫よね?」
「そうですね、特に問題は無さそうですけど、ゾンビなんて誰かが召喚しないと発生しない筈ですが」
「すみません、そこまでは分かっていません、セザール平原ですと新米冒険者の方しか居ませんので詳しい情報の入手は不可能に近いです」
「いえ、お気になさらず」
エリクさん達の話を聞く限り、戦わなければいけない相手は巨大なゾンビで、でもゾンビって事はネクロマンサーがセットになってるよね?
「本当に有難う御座います!」
「いえいえ、セザールタウンの平和を守れると思えれば安いものですから」
俺が色々考えている間に今回の依頼に関する応対は終わった様だ。
「それでは、行きましょう!」
妙に意気揚々としているエリクさんを先頭に俺達は巨大なゾンビの討伐へ向かう事にした。
冒険者ギルドの外へ出ると、エリクさんの転移魔法により巨大なゾンビ近くへと降り立った。
「大体5M位かしら?」
「そうですね、結構大きいですね」
ゾンビの進行方向とは真逆の位置にある岩陰に身を潜めながらセフィアさんとエリクさんが小声で話ている。
「炎の魔法なら一撃でいけるかしら?」
「僕の魔力が減衰してなければ出来るかもしれないですけど、如何せん距離が遠すぎて難しいです」
「私の射撃武器でもちょっと射程外になるわね」
「その様ですね」
「もう少し近付くにしても、アレを使役しているネクロマンサーに見付かったら面倒になりかねないでしょうね」
「この辺りには身を潜めるに適した自然の物があまりありませんし見付からず近付くのは難しいですね」
エリクさんが言う通りこの辺り一帯は広大な草原になっており、身を隠すに適した木々や岩場と言うのは中々存在しない。
「大人しく部位を一つずつ破壊するしか無さそうね、正直面倒だけど」
「ははは、仕方ありませんよ、巨大な魔物相手ですとそういう地道な戦術も大事になりますし」
「強力な前衛が居たら便利よねぇ、って言いたいけど、あれだけの大きさの相手だと何人も前衛が必要になるのよねぇ」
「そうですね、僕が強力な魔法を完成させて一撃で倒そうと思うと何人もの前衛の方が必要になります」
「ま、デカイだけあって動きはトロそうなのが救いよね」
「そうですね、中には巨大でも機敏に動く魔物も居ますが」
エリクさんの言う通り、巨大なのに機敏に動くってなんだかずるい魔物も居る。
ワイバーンとか、グリフォンとかそういう類の魔物なんだけど、幸いな事にその様な強力な魔物はセザールタウン近郊で出現したという話は聞いた事が無い。
「そうなのよねぇ~それでも相手が巨大だから相手の攻撃モーションが分かり易くって避けるのは難しくないわね」
「へぇー、そうですか、セフィアさん凄いですね」
「あら? お世辞を言っても何も出ないわよ?」
「そんな事ありませんよ、僕はウィザードですからそう言った武術関係の知識は殆どありませんから」
「それもそうね、素直に受け取っておくわ」
セフィアさんは簡単に言ってるけど、実際は巨大な爪を避けるだけでも大きく動く事になって、スタミナを消耗しちゃうんだよなぁ。
でも、冒険者として鍛えればそれ位のスタミナは身に付くって事なのかな?
「それにしても、ネクロマンサーは何処にいるか分かりますか? こういうパターンですと魔物の頭の上に乗ってたりするんですけど、でも召喚したのはゾンビですと流石にそれは無さそうで」
案外その後をテクテク歩いてたりして。
「近くにそれらしき人間が歩いてるわよ」
「そうですか、運動するのが好きなネクロマンサーでしょうか?」
「けど、自分が召喚する魔物が腐臭や腐敗した肉体を考えるとそれしかないわね」
「それもそうですね、ネクロマンサーの居場所も分かった事ですし彼の討伐も考えましょうか」
「後から狙撃すれば良さそうね」
「そうでうね。ゾンビの制御を出来る人間が居なくなりますけど、私達の力があれば大丈夫でしょう」
「それでいきましょ」
エリクさんの言う通り、召喚者を倒したら召喚された魔物は主を失い制御不能となってしまう。
また、彼等の力があればそれでも倒せてしまうのも事実と思う。
どちらにせよ、俺とルッカさんは彼等に介護される形になる以上何も言う事は出来ないし、自分の身を守る事だけ考えてれば良いかなって思う。
自分の考えとは裏腹にルッカさんがすっげーやる気になってキース・クレッセントで素振りしている。
「それではカイルさん、ルッカさん、私達の後に続いて下さい!」
「分かりました」
俺は『防御障壁(プロテクション)』と『機動増加クイック』を皆に掛けた。
それが終わるとセフィアさんとエリクさんが目標に向かって疾走した。
って、エリクさんかなり足早いんだ。
俺が感心していると、シュン、と風を切る音を立てルッカさんが疾走する姿も目に映った。
確かに続いて下さいって言われたけど、もう少し後からでもよくないかい!?
渋々俺もルッカさんに続いて走り出した。
「これで!」
ネクロマンサーらしき人物を射程に捉えたセフィアさんがクロスボウで狙撃。
放たれた矢は鋭い軌道を描きネクロマンサーの肩部に直撃した。
肩部にクロスボウの矢を受けたネクロマンサーは、傷口を抑えながら膝から崩れ落ちた。
「それじゃ、僕は!」
エリクさんが『炎撃(ファイアボルト)』を放つ。
エリクさんの手より放たれた紅蓮の刃がジャイアントゾンビの胸部に突き刺さりゴォゴォと音を立て燃え盛る!
胸元に突然の違和感を受けたジャイアントゾンビは、一瞬のけ反った後に虚ろな視線を向けながら術者を探し出した。
「相手の魔法はプロテクション止まり、私の毒までは防げてなさそうね」
セフィアさんが、崩れ落ちたネクロマンサーに向かってそう呟いた。
ネクロマンサーは苦痛に顔を歪め、呼吸を乱しながらもセフィアさんを睨みつける。
どうやら、致命傷に近いダメージを背負ったみたいだ。
「そのようですね」
と言った所でエリクさんが目を丸くしネクロマンサーの顔に注目した。
「エリク君? 戦闘中によそ見なんて余裕ね」
ジャイアントゾンビの腕目掛け矢を放ったセフィアさんが茶化す様に言った。
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