Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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4章

29話「賢神の石の在処」

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「流石はお二人ですね! そう、魔法使いに対しては一瞬で間合いを詰め魔法を使わせる事無く倒す事が重要です」
「へへっ、これからも私に任せて下さい!」

 ルッカさんの場合は細かいこと考えずに接近戦を仕掛けているだけな気がするが。

「頼もしいですね。さっ先に進みましょう」

 先に進むと、奥に10体程の魔物を確認出来た。
 数が多いから迂闊な突撃は悪手に思える。

「フフフ。ここは僕にお任せを」

 エリクさんが、眼鏡をキラリと光らせ魔法を発動させると、敵の群れの中心に氷の嵐が巻き起こった。

「どうですか? 僕の魔法は! ここは建物の内部ですので氷属性を選びました! そして、周囲の魔物にも効果を及ぼす様に風属性と合わせたんですよ! カイルさん? 今のが合体魔法のお手本ですからよく覚えていてくださいね!?」

 得意気に説明をするエリクさんだ。

「凄いですね! 俺も早く合体魔法をマスターしたいです!」
「そうでしょう。では、ヴァイスリッターに戻ったら再び修練しましょう!」
「はい!」
「勉強熱心ね、さっ、先に進みましょうか」

 目立つ場所は既に他の冒険者に探し尽くされているのか、2階にもこれと言ってめぼしいモノはなかった。
 強いて言えば誰かが設置したのではないかって考えられる宝箱が2階にも多少なりともあった事。
 それも、1階よりも少しだけ中身が良いものだった。
 2階は全て探し尽くし、3階を探索してみたけど似た様な感じで、残された宝箱の中身も2階よりも良くなっていた事も。
 そのまま外最上階と思える4階に行き探索するとここも今までと似た流れだった。

「おや?この壁怪しいですね」

 最上階の探索が終わる直前、エリクさんが頭上に滞空させている光体で壁を照らしながら言った。

「本当ねぇ?ふーん?」

 セフィアさんが壁を凝視、細長い金属を取り出し壁の穴に入れ、カチャカチャと動かす。
 暫くすると、ゴゴゴゴゴと音を立て、セフィアさんの左側の壁に隠された扉が開いた。
 
「セフィアさん凄いですね!」

 とエリクさんが言うも、

「あら?この程度大した事無いわ」

 髪をサッとかき上げながらセフィアさんはさらっと流した。

「下り階段がありますね」
「罠に注意ね」

 俺達は、人1人分より少しだけ広い空間が続く下り階段を降りて行った。

「出口が見えてきましたね。大体地下2階位ですか?」

 エリクさんのライティング以外光源の無い暗い階段を降りた先には広い部屋だった。

「へぇ、ど真ん中にいかにもって石板があるじゃない?何か文字が書いてあるけどエリク君、読める?」
「古代文字の一種ですね。ちょっと待って下さいね」

 エリクさんが光体を石板の上に移動させ、書かれている文字の解読を始めた。

「太陽と月が合わさる時新たなる道が開かれん。だそうです」
「太陽と月、ねぇ?」

 エリクさんの言葉を受け、腕組みし思案を始めるセフィアさん。
 太陽と月と言われてもこんな地下では太陽の光も月の光も届かない様に思える。

「そう言えば、ボウヤ達が持ってる武器はこの砂漠エリアで発掘されたって聞いた事があるわ」
「はい、カオス学長がそんな事言っていました」
「つまり、カイルさんとルッカさんが持っているその武器に何かヒントがありそうですね」
「強いて言えば柄に太陽の紋章がある位ですけど」

 俺は、ホールス・ソーラを抜剣し、太陽の紋章を眺める。

「ソーラはとある言語で太陽を意味します。石板の隣にある台座には丁度剣を刺せそうな穴が開いていますね。カイルさん、ちょっとお借りします」

 俺はエリクさんにホールス・ソーラを手渡した。
 エリクさんは、ホールス・ソーラを刃から台座に突き刺した。

「何も起きないわね」
「そうですね。紋章にある黒い鍵穴が気になります。ルッカさん、キースクレッセントをお願いします」

 ルッカさんは、エリクさんにキース・クレッセントを手渡した。

「クレッセントは、とある言語で三日月を意味します。杖の根元が鍵の形をしていますね」

 エリクさんは、キース・クレッセントの鍵部分をホールス・ソーラの黒い鍵穴に差し込もうとするが、

「大きさ合わないわね」
「そうですね。単純に近付けただけではダメでした」
「ボウヤ、その剣の力を引き出した事あったよね?」
「はい」

 セフィアさんが言うのは、ゾンビ達を浄化させた光の事だろう。

「一度その光を、キースクレセントを意識して浴びせて下さい」
「分かりました」

 俺は台座に刺されているホールス・ソーラを引き抜き、天高く掲げ念じた。
 ゾンビ達の時と同じ様に、暗い一室をまばゆい光が照らす。

「キースクレッセントが小さくなっていきます!」

 まばゆい光の中でもエリクさんは平気みたいだ。

「つっ、これ以上は精神力が持ちません」

 やはりこの技は魔力の消耗が大きく、耐え切れなくなった俺は地面に片膝を付き、肩で大きく息をする。

「惜しかったわね」
「そうですね。僕が試してみます」

 エリクさんは、俺にキース・クレッセントを渡し、俺からホールス・ソーラを受け取ると同じく天に掲げた。
 同じく、まばゆい光が部屋の中を照らし出す。

「思っている以上に魔力を使いますね」
「でも余裕そうじゃない?」
「ははは、バレました?」

 俺が持つキース・クレッセントは目を閉じていても、徐々に縮小していく事が感じ取られ、ついに手の平位の大きさになった。
 これ以上小さくなる気配は無い。

「丁度良い塩梅になりましたね」
「どうぞ」

 ホールス・ソーラの光が収まった所で俺は目を開け、縮小したキース・クレッセントをエリクさんに手渡した。
 エリクさんは、再びホールス・ソーラを台座に収めると丁度良い大きさとなったキース・クレッセントを太陽の紋章にある鍵穴に差し込んだ。
 部屋の奥からゴゴゴゴゴと音を立て扉が開く音がした。

「さっ、中に入りましょう」

 俺達は開いた扉の先にある部屋に入った。
 部屋の広さは、今居る4人が居住しても全く問題ない位だった。
 部屋の中は今までと同じく無機質な壁に囲まれている。
 ただ、部屋の奥上方にはぼんやりとオレンジ色の明かりを放つ魔力球が設置されている。
 その下には、怪しげな六芒星魔方陣がありその中心には漆黒の光を放つ石が台座の上に置かれていた。
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