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4章
32話「追跡エリク」
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ここで、エリクさんがシュバルツ・サーヴァラーに辿り着いた。
エリクさんは周囲の様子を伺い、何も無い事を確認し入り口の扉をノックした。
程無くして、入り口の扉は開かれ中から俺の知らない1人のウィザードが現れた。
「ボウヤ、ああ言う娘は興味ある訳無いよねぇ?」
「特にありませんし、あの娘だって俺に特別興味持たないと思いますよ?」
「あらあら? ボウヤ知らないの? 女の子の間ではボウヤを取り合って熾烈な取り合いが行われてるのよ?」
「ははっ、まさか?」
「フフ、まぁ良いわ、ボウヤの面白い情報を得られただけでも今日は十分ね」
「いや、エリクさんは」
面白い情報ってなんなんだって。
「冗談よ。エリク君中に入ったわね。外側から聞き耳立てるわ」
「え?」
「大丈夫よ、ヴァイスリッターにだって似た様な事してくる人達居るもの、お互い様よ」
「そうですか」
セフィアさんは、周囲の様子を伺い問題無いと判断すると俺と一緒にシュヴァルツサーヴァラー建物の近くに移動し、内部の様子を聞き始めた。
「ダストが賢神の石どうのこうの、の話してるわねぇ、あら? 怪しい魔方陣解いてやるから鍵寄越せって言ってるわ」
鍵って事はホールス・ソーラとキース・クレッセントの事だがそれは俺の手元にある。
「賢者の石をうまく扱えたらエリク君にも力を貸すだってさー」
「約束守る気はしませんね」
「別の子に話し始めたわね。冒険者は普通の依頼を失敗しても死ぬしどうこうって言ってるわ」
「何だか意味深ですね」
「シュヴァルツサーヴァラーに入れるだけ光栄で、名誉を元に命を失っても本望だってさー」
もしかしなくても、シュバルツ・サーヴァラーのギルドメンバーが例の魔方陣に触れて命を失う事に対して躊躇いが無く、その上でそれを行使させようとしているとか?
いや、幾ら何でもまっとうなパーティギルドがそんなことする訳ないよな?
ダストって奴だってギルドマスターで、ああ見えても国王軍に所属しているからそんな事は無いと思いたいけど。
しかし、なんだかはらわたが煮えくり返りそうな気がして来たな。
「さて、これだけ情報が拾えれば十分ね、撤収しましょう」
「え?」
「フフ、これ以上話を聞かせてボウヤが暴走しちゃったら困るもの」
「はい」
どうやら、セフィアさんには俺の抱いている感情を悟られてしまった様だ。
セフィアさんに従いヴァイス・リッターのギルドハウスへ戻る事にした
「あら? デートはどうだったかしら?」
俺とセフィアさんがギルドハウスに戻ってしばらく経った所でエリクさんが戻って来た。
「え? い、いや、そ、その」
「失敗ね。エリク君だし仕方ないわ」
口籠りながら目を伏せるエリクさんに対し、それを分かった上で言うセフィアさんである。
さて、今さっき把握した情報は本人に直接言うのかルッセルさんに秘密裏に報告するのか、セフィアさんはどうするのだろうか?
「ところでエリク君、セリカちゃんと再会出来たかしら?」
「え? え? いえ、その、セリカさんは、見当たりませんでした」
「あら? あれだけ興味津々だったのに? じゃ、他の女の子を漁ったのかしら?」
「そ、そうです!」
セフィアさん? もしかしてエリクさん揺さ振っている?
「ふーん? いつものエリク君ならストレートに落胆してると思うのよねー」
「いや、その、今日は疲れてて」
セフィアさんがニッと怪しげな笑みを浮かべて。
「あはは、ゴメンね、お節介なアドバイスをしてあげたくて少しばかりエリク君の後つけちゃったの」
「!」
その言葉を聞いた瞬間、エリクさんが目を見開いて暫く呆然と立ち尽くした。
「い、幾らセフィアさんでも、よ、余計なお世話ですよ!」
エリクさんは怒って何処かへ行ってしまった。
「いっちゃった。 それにしても相談でもしてくれればまだ良かったんだけどね。マスターに報告するのは悩むわ」
「そうするしかないんですかね?」
「そうねぇ、強大な力を目の前にすんなり引き下がる事なんて誰だって難しい事だからそれは仕方が無いと思うし、私だって駆け出しレンジャーの時賢神の石が出されたら平常心でいられないと思う」
「そんなもんですか」
賢神の石を前にしても興味を抱かない俺が異端に思えて来たな。
「あの子もまだ若いからねぇ~エリク君騙されそうな気がするのよ」
「セフィアさんも十分若いと思いますけど」
「ウフ。ありがとね。やっぱ、マスターに報告するべきね」
セフィアさんはルッセルさんに今回の件を報告した。
「マスターは、エリク君を見ておいて欲しい、その様子次第でマスター自身がどう動くか決める、ボウヤは出来るだけ私と行動してくれって言ってたわ」
「そうですか」
「良かったわね、綺麗なお姉さんと一緒に居られるそうよ?」
「え? いや、その」
「クスクス、冗談よ」
「そ、そうですか」
ギルドマスターであるルッセルさんの指示なら従う。
それにしても、隙あらば茶化してくるのはセフィアさんらしいと言えばセフィアさんらしい。
「まっ、最近面白い事無くて暇だったから丁度良いわ、明日からが楽しみね」
現状をポジティブに受け止めるセフィアさんだ。
翌日、俺とセフィアさんは早速エリクさんの様子を見る事にした。
「それにしても暇よねぇ?」
「そうですね」
アリアさんがいつも居るテーブルにお邪魔しながら遠巻きにエリクさんを眺めていたが、彼が外出すらしようとしなかった。
「もっとこう、派手に行動起こしてくれれば私達も楽なんだけど」
「そうですね」
と、一人勉学に集中しているアリアさんの前で言うセフィアさんだ。
「それにしてもアリアちゃん、毎日飽きずに勉強してるわねぇ」
「そうしなければ生き残れませんから」
「そうね、沢山の魔法を覚えるのも大事よ」
「攻撃魔法の事をエリクさんに教えて貰いましたから」
アリアさんは手元にある本をペラっとめくりながら呟いた。
その内容を覗いてみると『風刃(ウィンドカッター)』の使い方について書かれていた。
「あら? プリーストの貴女が? 頑張るわねぇ」
セフィアさんも勉強熱心なアリアさんに肯定的な様子だ。
「あらゆる状況に対応する為です」
「そうね、前衛の子達が守り切れない時は必要になるものね」
「はい」
「それで、エリク君、貴女に余計な事しなかったのかしら?」
珍しくまともな会話を展開していたと思ったらセフィアさんはいつも通りの事を言い出した。
「いえ、特に」
「ホント?」
「はい」
おっと、エリクさんがギルドハウスの外へ出そうだぞ?
エリクさんは周囲の様子を伺い、何も無い事を確認し入り口の扉をノックした。
程無くして、入り口の扉は開かれ中から俺の知らない1人のウィザードが現れた。
「ボウヤ、ああ言う娘は興味ある訳無いよねぇ?」
「特にありませんし、あの娘だって俺に特別興味持たないと思いますよ?」
「あらあら? ボウヤ知らないの? 女の子の間ではボウヤを取り合って熾烈な取り合いが行われてるのよ?」
「ははっ、まさか?」
「フフ、まぁ良いわ、ボウヤの面白い情報を得られただけでも今日は十分ね」
「いや、エリクさんは」
面白い情報ってなんなんだって。
「冗談よ。エリク君中に入ったわね。外側から聞き耳立てるわ」
「え?」
「大丈夫よ、ヴァイスリッターにだって似た様な事してくる人達居るもの、お互い様よ」
「そうですか」
セフィアさんは、周囲の様子を伺い問題無いと判断すると俺と一緒にシュヴァルツサーヴァラー建物の近くに移動し、内部の様子を聞き始めた。
「ダストが賢神の石どうのこうの、の話してるわねぇ、あら? 怪しい魔方陣解いてやるから鍵寄越せって言ってるわ」
鍵って事はホールス・ソーラとキース・クレッセントの事だがそれは俺の手元にある。
「賢者の石をうまく扱えたらエリク君にも力を貸すだってさー」
「約束守る気はしませんね」
「別の子に話し始めたわね。冒険者は普通の依頼を失敗しても死ぬしどうこうって言ってるわ」
「何だか意味深ですね」
「シュヴァルツサーヴァラーに入れるだけ光栄で、名誉を元に命を失っても本望だってさー」
もしかしなくても、シュバルツ・サーヴァラーのギルドメンバーが例の魔方陣に触れて命を失う事に対して躊躇いが無く、その上でそれを行使させようとしているとか?
いや、幾ら何でもまっとうなパーティギルドがそんなことする訳ないよな?
ダストって奴だってギルドマスターで、ああ見えても国王軍に所属しているからそんな事は無いと思いたいけど。
しかし、なんだかはらわたが煮えくり返りそうな気がして来たな。
「さて、これだけ情報が拾えれば十分ね、撤収しましょう」
「え?」
「フフ、これ以上話を聞かせてボウヤが暴走しちゃったら困るもの」
「はい」
どうやら、セフィアさんには俺の抱いている感情を悟られてしまった様だ。
セフィアさんに従いヴァイス・リッターのギルドハウスへ戻る事にした
「あら? デートはどうだったかしら?」
俺とセフィアさんがギルドハウスに戻ってしばらく経った所でエリクさんが戻って来た。
「え? い、いや、そ、その」
「失敗ね。エリク君だし仕方ないわ」
口籠りながら目を伏せるエリクさんに対し、それを分かった上で言うセフィアさんである。
さて、今さっき把握した情報は本人に直接言うのかルッセルさんに秘密裏に報告するのか、セフィアさんはどうするのだろうか?
「ところでエリク君、セリカちゃんと再会出来たかしら?」
「え? え? いえ、その、セリカさんは、見当たりませんでした」
「あら? あれだけ興味津々だったのに? じゃ、他の女の子を漁ったのかしら?」
「そ、そうです!」
セフィアさん? もしかしてエリクさん揺さ振っている?
「ふーん? いつものエリク君ならストレートに落胆してると思うのよねー」
「いや、その、今日は疲れてて」
セフィアさんがニッと怪しげな笑みを浮かべて。
「あはは、ゴメンね、お節介なアドバイスをしてあげたくて少しばかりエリク君の後つけちゃったの」
「!」
その言葉を聞いた瞬間、エリクさんが目を見開いて暫く呆然と立ち尽くした。
「い、幾らセフィアさんでも、よ、余計なお世話ですよ!」
エリクさんは怒って何処かへ行ってしまった。
「いっちゃった。 それにしても相談でもしてくれればまだ良かったんだけどね。マスターに報告するのは悩むわ」
「そうするしかないんですかね?」
「そうねぇ、強大な力を目の前にすんなり引き下がる事なんて誰だって難しい事だからそれは仕方が無いと思うし、私だって駆け出しレンジャーの時賢神の石が出されたら平常心でいられないと思う」
「そんなもんですか」
賢神の石を前にしても興味を抱かない俺が異端に思えて来たな。
「あの子もまだ若いからねぇ~エリク君騙されそうな気がするのよ」
「セフィアさんも十分若いと思いますけど」
「ウフ。ありがとね。やっぱ、マスターに報告するべきね」
セフィアさんはルッセルさんに今回の件を報告した。
「マスターは、エリク君を見ておいて欲しい、その様子次第でマスター自身がどう動くか決める、ボウヤは出来るだけ私と行動してくれって言ってたわ」
「そうですか」
「良かったわね、綺麗なお姉さんと一緒に居られるそうよ?」
「え? いや、その」
「クスクス、冗談よ」
「そ、そうですか」
ギルドマスターであるルッセルさんの指示なら従う。
それにしても、隙あらば茶化してくるのはセフィアさんらしいと言えばセフィアさんらしい。
「まっ、最近面白い事無くて暇だったから丁度良いわ、明日からが楽しみね」
現状をポジティブに受け止めるセフィアさんだ。
翌日、俺とセフィアさんは早速エリクさんの様子を見る事にした。
「それにしても暇よねぇ?」
「そうですね」
アリアさんがいつも居るテーブルにお邪魔しながら遠巻きにエリクさんを眺めていたが、彼が外出すらしようとしなかった。
「もっとこう、派手に行動起こしてくれれば私達も楽なんだけど」
「そうですね」
と、一人勉学に集中しているアリアさんの前で言うセフィアさんだ。
「それにしてもアリアちゃん、毎日飽きずに勉強してるわねぇ」
「そうしなければ生き残れませんから」
「そうね、沢山の魔法を覚えるのも大事よ」
「攻撃魔法の事をエリクさんに教えて貰いましたから」
アリアさんは手元にある本をペラっとめくりながら呟いた。
その内容を覗いてみると『風刃(ウィンドカッター)』の使い方について書かれていた。
「あら? プリーストの貴女が? 頑張るわねぇ」
セフィアさんも勉強熱心なアリアさんに肯定的な様子だ。
「あらゆる状況に対応する為です」
「そうね、前衛の子達が守り切れない時は必要になるものね」
「はい」
「それで、エリク君、貴女に余計な事しなかったのかしら?」
珍しくまともな会話を展開していたと思ったらセフィアさんはいつも通りの事を言い出した。
「いえ、特に」
「ホント?」
「はい」
おっと、エリクさんがギルドハウスの外へ出そうだぞ?
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