42 / 105
4章
34話「賢神の石の行方」
しおりを挟む
「どうやら、私が報告を行った上層部以外の組織が動き、入手をした模様です」
「ふーん、少し面倒な話ねぇ?」
まさか、エリクさんが!?
いや、そんなハズはないと思いたい。
「そうなります」
「賢神の石を欲しがるウィザードって山程居るよねぇ」
「そうですね、国王軍の中にもその様な考えを持つ者も多いでしょう、しかし安定した仕事を失うリスクと天秤に掛けて実行出来る者は稀でしょう」
一体誰が賢神の石を半ば強引に奪ったんだろうか? 腕の立つ人間だとは思うんだけど。
「けど、何者かってのが気になるわねぇ」
「そうですね、それを確かめる為、セフィアさんとカイルさんとで現場へ行きましょう」
ルッセルさんが指示を出すと、ルッカさんからキース・クレッセントを借りに行った。
無事借りる事が出来ると、転移石を使い神殿へ向かう事となった。
「あら? 賢神の石の間の入り口が空いてるわね」
「ホールス・ソーラもキース・クレッセントもここにあるのに変ですね」
「賢神の石が持ち出されたせいかもしれませんね」
俺達はルッセルさん先導の下、賢神の石が封印されていた部屋に入った。
台座の周囲に展開されていた魔法陣は消え、安置されていた賢神の石の姿はない。
その上方で鈍い光を放つ球体が虚しさを物語っている。
が、それよりも、部屋の中には5人のウィザードが地面に突っ伏していた!
その中にはエリクさんの姿とジャイアントゾンビを召喚したネクロマンサー、セリカさんの姿もあった。
「ちょっと!」
セフィアさんが掛けつけ、彼女達の脈を調べる。
どうやら死んでいる訳では無さそうでセフィアさんはほっと一息ついた。
生存を確認した所で俺が彼女達に『治療術(ヒーリング)』を掛けた。
俺のヒーリングを受けた人達は体力を取り戻したのかゆっくりと立ち上がった。
「ふむ、これは何があったのでしょうか?」
ルッセルさんが、エリクさんに近付き尋ねた。
「す、すみません、ルッセルさん。ある役所の人よりここに来いと言われました。この部屋に入って暫くするとまるで僕が来るのを待っていたかの様にダストと彼女達がやって来ました。ダストは彼女達に命令をすると半ば無理矢理魔法陣の中に彼女達を押し込めました。すると、魔法陣が彼女達の魔力をみるみると吸出し、魔力を奪いつくされた彼女達はその場に崩れます。それでも魔法陣が消えなかった為、今度は僕が無理矢理その中に押し込まれ、魔力を奪い取られました。そして最後はダスト本人の魔力を魔法陣に与えた所で魔法陣が消え去りました。魔法陣を壊したダストはそのまま賢者の石を奪って逃げました」
「ふむ、上層部への報告が必要ですが、エリクさんに指示をした役所の人間が怪しいですね、ダスト殿の事ですから彼女達はそう言う事でしょう」
ルッセルさんの言う、そう言う事がどういう事なのか分からないけども、多分ウィザードの人達に配慮してるんじゃないかって思う。
「ひとまずこれを」
ルッセルさんがエリクさんに魔力回復アイテムを手渡した。
受け取ったエリクさんはお礼を言い、それを飲み干すと安堵の溜息を付いた。
「どうですか?」
「その、魔力が戻りきらないって言いますか」
「ふむ、例の魔方陣の力で魔力の最大値が削られてしまった感じでしょうか?」
「恐らく」
「彼女達は?」
ルッセルさんが、3人のウィザードを指差しながら尋ねた。
「ルッカさんに近い魔力か下手したらそれ以下かも知れません」
「新人冒険者以下の魔力ですか」
ルッセルさんが腕を組みながら少々思案した。
「ふ、ふざけるな犬っころ! このあたしが新人冒険者以下になるわけねぇだろ!」
自分が新人以下という言葉を聞いたセリカさんが大声で叫んだ。
しかし、既に大きく体力も消耗しているせいで大きく息をする事になってしまう。
「ちょっと!」
その様子を見て、俺は再度『治療術(ヒーリング)』をセリカさんに掛けた。
「ちっ! またアンタかよ! あたしに情けを掛けて何がしたいんだ!」
「威勢は良いみたいですね、この分なら問題ないでしょう」
「お前は! ヴァイスリッターのギルドマスターか!」
「私がヴァイス・リッターのマスタールッセルですが、貴女方はシュバルツ・サーヴァラーのウィザードでしょうか?」
「ちっ! だから何だって言うんだよ!」
「ふむ、ダスト殿の性格を考えるところ、あなた達は用済みでしょう」
ルッセルさんは彼女達に配慮してる訳じゃないみたいだ。
でも、ルッセルさんの言う通りなら、ダストは幾らアーティファクトの入手とは言え同じギルドの人間を使い捨てたと言う事になる。
酷い奴とは思っていたが、こういう現実を見せられると胸糞悪くなってくる。
「丁度ウィザードチームを編成したいと思っていましてね、宜しければどうでしょうか?」
「グッ、何であたしがお前何かに!」
「そうですか、では残り御三方は如何いたしましょう」
「お願いします」
セリカさん以外のウィザードは、シュバルツ・サーヴァーラーへ戻ったとしても自分達が用済みと判断したのだろう。素直にルッセルさんの申し出を受け入れた。
「あの」
エリクさんがセリカさんを説得しようと声を掛けたみたいだが。
「何よ! 犬っころの分際で!」
「すみません」
物凄い速度で遮断されてしまった。
「みゃーお」
セリカさんの肩に乗っかっていたみー太君が、ストン、と地面に降りるとトコトコとエリクさんの方に近付いた。
「ちょ! みー太君!」
「みゃーお」
エリクさんに近付いたみー太は、しっぽをふりふりさせながら瞳をうるうるとさせセリカさんを見つめている。
「チッ、勘違いするなよ! みー太君がどうしてもつってるから従ってやるんだからな!」
「ご好意に感謝致します」
ルッセルさんがセリカさん達にサッと一礼した。
「あら? 良かったわね、エリク君?」
「ななな、なんの事ですか!?」
セフィアさんの茶化しに対してエリクさんが身振り手振りで惚けた振りをする。
それじゃ何の事かバレバレに思うけども。
「チッ、犬っころの分際でそんなにみー太君が良いのかよ!」
「いえ、その、そ、そうです、はい」
どうやらセリカさんはエリクさんがみー太君と一緒に居られる様になった事を嬉しく思っている、と思っているみたいだ。
「フフッ、これからが楽しそうね」
「それでは、転移石で一旦ヴァイスリッターに戻りましょう」
兎も角、エリクさんが無事なのは良かった。
後はダストが賢神の石をどうするかが気になるところだけど、嫌な予感しかしない。
俺達は、ルッセルさんの転移石によりヴァイス・リッターへと帰還した。
ギルドハウスに戻り、落ち着いた時間を取り戻したところで、
「中々大変そうねぇ」
「そうですね」
セフィアさんの言う通り賢神の石が奪われてしまった事によりこれからどうなるのか俺も大変に思う。
「ふーん、少し面倒な話ねぇ?」
まさか、エリクさんが!?
いや、そんなハズはないと思いたい。
「そうなります」
「賢神の石を欲しがるウィザードって山程居るよねぇ」
「そうですね、国王軍の中にもその様な考えを持つ者も多いでしょう、しかし安定した仕事を失うリスクと天秤に掛けて実行出来る者は稀でしょう」
一体誰が賢神の石を半ば強引に奪ったんだろうか? 腕の立つ人間だとは思うんだけど。
「けど、何者かってのが気になるわねぇ」
「そうですね、それを確かめる為、セフィアさんとカイルさんとで現場へ行きましょう」
ルッセルさんが指示を出すと、ルッカさんからキース・クレッセントを借りに行った。
無事借りる事が出来ると、転移石を使い神殿へ向かう事となった。
「あら? 賢神の石の間の入り口が空いてるわね」
「ホールス・ソーラもキース・クレッセントもここにあるのに変ですね」
「賢神の石が持ち出されたせいかもしれませんね」
俺達はルッセルさん先導の下、賢神の石が封印されていた部屋に入った。
台座の周囲に展開されていた魔法陣は消え、安置されていた賢神の石の姿はない。
その上方で鈍い光を放つ球体が虚しさを物語っている。
が、それよりも、部屋の中には5人のウィザードが地面に突っ伏していた!
その中にはエリクさんの姿とジャイアントゾンビを召喚したネクロマンサー、セリカさんの姿もあった。
「ちょっと!」
セフィアさんが掛けつけ、彼女達の脈を調べる。
どうやら死んでいる訳では無さそうでセフィアさんはほっと一息ついた。
生存を確認した所で俺が彼女達に『治療術(ヒーリング)』を掛けた。
俺のヒーリングを受けた人達は体力を取り戻したのかゆっくりと立ち上がった。
「ふむ、これは何があったのでしょうか?」
ルッセルさんが、エリクさんに近付き尋ねた。
「す、すみません、ルッセルさん。ある役所の人よりここに来いと言われました。この部屋に入って暫くするとまるで僕が来るのを待っていたかの様にダストと彼女達がやって来ました。ダストは彼女達に命令をすると半ば無理矢理魔法陣の中に彼女達を押し込めました。すると、魔法陣が彼女達の魔力をみるみると吸出し、魔力を奪いつくされた彼女達はその場に崩れます。それでも魔法陣が消えなかった為、今度は僕が無理矢理その中に押し込まれ、魔力を奪い取られました。そして最後はダスト本人の魔力を魔法陣に与えた所で魔法陣が消え去りました。魔法陣を壊したダストはそのまま賢者の石を奪って逃げました」
「ふむ、上層部への報告が必要ですが、エリクさんに指示をした役所の人間が怪しいですね、ダスト殿の事ですから彼女達はそう言う事でしょう」
ルッセルさんの言う、そう言う事がどういう事なのか分からないけども、多分ウィザードの人達に配慮してるんじゃないかって思う。
「ひとまずこれを」
ルッセルさんがエリクさんに魔力回復アイテムを手渡した。
受け取ったエリクさんはお礼を言い、それを飲み干すと安堵の溜息を付いた。
「どうですか?」
「その、魔力が戻りきらないって言いますか」
「ふむ、例の魔方陣の力で魔力の最大値が削られてしまった感じでしょうか?」
「恐らく」
「彼女達は?」
ルッセルさんが、3人のウィザードを指差しながら尋ねた。
「ルッカさんに近い魔力か下手したらそれ以下かも知れません」
「新人冒険者以下の魔力ですか」
ルッセルさんが腕を組みながら少々思案した。
「ふ、ふざけるな犬っころ! このあたしが新人冒険者以下になるわけねぇだろ!」
自分が新人以下という言葉を聞いたセリカさんが大声で叫んだ。
しかし、既に大きく体力も消耗しているせいで大きく息をする事になってしまう。
「ちょっと!」
その様子を見て、俺は再度『治療術(ヒーリング)』をセリカさんに掛けた。
「ちっ! またアンタかよ! あたしに情けを掛けて何がしたいんだ!」
「威勢は良いみたいですね、この分なら問題ないでしょう」
「お前は! ヴァイスリッターのギルドマスターか!」
「私がヴァイス・リッターのマスタールッセルですが、貴女方はシュバルツ・サーヴァラーのウィザードでしょうか?」
「ちっ! だから何だって言うんだよ!」
「ふむ、ダスト殿の性格を考えるところ、あなた達は用済みでしょう」
ルッセルさんは彼女達に配慮してる訳じゃないみたいだ。
でも、ルッセルさんの言う通りなら、ダストは幾らアーティファクトの入手とは言え同じギルドの人間を使い捨てたと言う事になる。
酷い奴とは思っていたが、こういう現実を見せられると胸糞悪くなってくる。
「丁度ウィザードチームを編成したいと思っていましてね、宜しければどうでしょうか?」
「グッ、何であたしがお前何かに!」
「そうですか、では残り御三方は如何いたしましょう」
「お願いします」
セリカさん以外のウィザードは、シュバルツ・サーヴァーラーへ戻ったとしても自分達が用済みと判断したのだろう。素直にルッセルさんの申し出を受け入れた。
「あの」
エリクさんがセリカさんを説得しようと声を掛けたみたいだが。
「何よ! 犬っころの分際で!」
「すみません」
物凄い速度で遮断されてしまった。
「みゃーお」
セリカさんの肩に乗っかっていたみー太君が、ストン、と地面に降りるとトコトコとエリクさんの方に近付いた。
「ちょ! みー太君!」
「みゃーお」
エリクさんに近付いたみー太は、しっぽをふりふりさせながら瞳をうるうるとさせセリカさんを見つめている。
「チッ、勘違いするなよ! みー太君がどうしてもつってるから従ってやるんだからな!」
「ご好意に感謝致します」
ルッセルさんがセリカさん達にサッと一礼した。
「あら? 良かったわね、エリク君?」
「ななな、なんの事ですか!?」
セフィアさんの茶化しに対してエリクさんが身振り手振りで惚けた振りをする。
それじゃ何の事かバレバレに思うけども。
「チッ、犬っころの分際でそんなにみー太君が良いのかよ!」
「いえ、その、そ、そうです、はい」
どうやらセリカさんはエリクさんがみー太君と一緒に居られる様になった事を嬉しく思っている、と思っているみたいだ。
「フフッ、これからが楽しそうね」
「それでは、転移石で一旦ヴァイスリッターに戻りましょう」
兎も角、エリクさんが無事なのは良かった。
後はダストが賢神の石をどうするかが気になるところだけど、嫌な予感しかしない。
俺達は、ルッセルさんの転移石によりヴァイス・リッターへと帰還した。
ギルドハウスに戻り、落ち着いた時間を取り戻したところで、
「中々大変そうねぇ」
「そうですね」
セフィアさんの言う通り賢神の石が奪われてしまった事によりこれからどうなるのか俺も大変に思う。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる