Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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2章

65話「ヴァイス・リッターへ帰還」

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―魔王城―


 先日カイル一行の襲撃に失敗し無残な姿を晒し逃げ帰った魔族は魔闘将ルカンへ報告を行っている。

「そうか、貴様、何故傷を負っているのだ?」

 魔族から主に炎獄の谷の調査に関して口八丁な報告を受け少々イラつかせられたのか、魔闘将ルカンは部下に対しキツイ口調で尋ねた。
 どうやらこの魔族、本来ならば炎獄の谷を調査に向かったらしくカイル達との交戦は予定外だった様だ。

「あ、いや、その、道中天気が悪くなりまして、雷に打たれてしまったんです」

 本当はルッカの魔法を受けたせいなのだが、魔族はそれを隠すも目を泳が泳いでしまう。
 彼は嘘を付く事が下手なのだろう。
 
「ほう、その割には濡れてないな、貴様、俺が魔法の知識が無いとでも思っているのか?」

 魔闘将ルカンがギロッと鋭い睨みを魔族に効かせた。

「い、い、い、いえ、その様な事は御座いませんッ!」

 魔族はしどろもどろになりながら答えた。
 
「お前の傷は雷追走(ライトニングカノン)、襲来(ライトニングボルト)によるものと特徴が酷似している」
「ぐ、偶然であります」

 魔族は魔闘将ルカンと目を合わせようとしない。
 これでは嘘を付いていると言っている様なモノであるが。

「俺に言えない事か、大方人間に喧嘩を売ったが返り打ちにあったところか」
「そ、そんなまさか! 魔族のわたくしが人間なんかに負けるワケありません」
 
 ルカンより鋭い指摘を受けた魔族は魔族は身振り手振り大きく全否定を試みる。

「人間を甘く見るな! 中には俺達魔族を討伐する奴等も居る、舐めてかかると貴様もいつか命を落す事になるぞ!」

 その様な付け焼刃の嘘はルカンに通用せず、厳しい叱責を受けてしまった。

「そんな事、い、いえ肝に銘じておきます」
「ならば次の仕事に取り掛かれ」
「は、は、はいーーー、分かりましたっ!」

 ルカンからの叱責が終わった魔族は早々に部屋を立ち去った。

「はっ、魔族も似た様なモンなんだな」

 この話を聞いていたダストが魔闘将ルカンの元にやって来た。

「ほう? 人間もあんな奴が居るのか?」
「ああ、そうさ、使えねぇ部下なんざみんなあんなもんだぜ、俺様はアンタみたいに優しかないけどよぉ」

 ダストがケッケッケと笑いながら魔闘将ルカンにすり寄った。

「そうか、それが人間の世界で言う世辞と言う奴か、言われて悪い物ではないな」
「ああん? 俺様がそんな面倒な事言う訳ねぇぞ? 部下がやらかしたら適当に罵声あげるなり幽閉なりしちまうかんな」

 ダストは人の事は素直に受け取れと言いたげに、不満気な雰囲気を出している。

「それで良いものなのか?」
「さぁな? 俺様は魔族の事は知らねぇけどよぉ、人間の世界じゃそれでもギルドマスターはやれたぜ、だからつって俺の真似しろとは言わねぇぜ」

 一応、ダスト自身ギルドマスターとして自分の行動が良く無いとは自覚はしているみたいだ。
 
「そうか。 今回の調査で炎獄の谷の場所、特性が把握出来た。 近い内に向かうつもりだ、その時は宜しく頼む」
「ケッケッケ、転移の術か? お安い御用だ」
「フッ、闘者の斧が手に入ったあかつきにはお前と共闘したいモノだな」
「ハッ、俺様は高くつくぜ?」

 ダストは、恥ずかしがってるのか、頬を軽くかくと部屋を立ち去った。


 ―ヴァイスリッター―


 コボルドキングの1件を終えた俺達はヴァイスリッターへ、一緒に居たルッド君とデビッドは今まで通り国王軍の仕事をこなす為元の職場に戻った
 俺達が持ち帰ったコバルトリングを試しにエリクさん、セリカさんに身に付けさせて貰おうと思った所、

「ワンワン、そこが良いんだワン☆」

 部屋の奥から快楽に満ち溢れた声が聞こえて来た。
 コボルド達は『わんわん☆ぱらだいす』の外に出たとは思えないが?
 いや、もしかして、わざわざヴァイス・リッターにまで挨拶しに来たのだろうか?
 彼等は意外と義理堅いんだな。
 
「おーーーーほっほっほ私の拘束魔法はどうかしら?」

 と思ったらセリカさんの声だ。幾ら何でもコボルドキング相手にそれは良く無いと思うけど?
 いや、でも、気持ち良さそうな声がしているから本人は喜んでいるって考えたらここは見て見ぬ振りをするべきなのだろうか?
 段々気になって来たな、こっそり様子は見ておこう。
 俺はコボルドキングと思われる声がする場所に近付いた。
 
「って、エリクさん、何やってるんですか!」

 俺の視界に移るのは、もふもふとした可愛き獣人☆ コボルドキング様。
 では無く、緑色のとんがり帽子を被り緑色のローブに身を纏い眼鏡を掛けたウィザード、エリクさんの姿だった!
 しかも、何故か多分セリカさんの『拘束(バインド)』によって手足を縛られ宙吊りにされている。
 されているのだがッ! 相変わらずニヘニヘ笑顔でちょー嬉しそうにしているのである。
 
「カイルさんも僕と一緒に楽しみたいワン?」
「いや、遠慮しておく」

 俺は呆れ返り深いため息をつく。
 
「えへへへへ、カイル様ですかぁ~エリクさんとセリカさん、こう見えますけど実は私達が居ないところでは立場が逆転してるんですよぉ~☆☆☆」

 と、体育座りしながらエリクさんのそれに負けない位怪しい笑顔を浮かべながらエリクさんとセリカさんの様子を眺めている桃色髪のウィザード。
 確か最近入って来たウィザード3人娘の2人目、エリザさんだ。
 彼女も背は低め細身で、確かエリクさんがロ○っぽくてオススメですよ! とかにこにこ笑顔でこの娘を紹介していた事があった気がする。

「やだなぁ、エリザさん、嘘は言ったらダメですよ? 僕はこうされるのが好物であって僕が攻める趣味は無いですからね?」

 ビシッとエリザさんに指摘するエリクさん。『拘束(バインド)』によって拘束され宙吊りにされたままで。

「えへっ、えへっ、カイルさんとエリクさんですか? 私はそういうのも好物ですよ☆☆」

 エリクさんの言葉は右から左に流れ、どこか遠い世界に行ってるみたいにニヘニヘしているエリザさん。
 一体彼女が言う好物とは何なのか、きっと聞いてはダメなのだろう。

「あらやだカイル様? いらしてたのでございますか? 可憐なブラックウィザードであるこのわたくしはこの様なご趣味は御座いません、いぬっこ、エリク様が地面に頭をお擦り付けなさってまでわたくしにこんがんを致しました故わたくしめもエリク様をお思いになった末やってさしあげたので御座います」

 俺が来た事を知ったセリカさんが回れ右をして敬礼をした。
 こっちはこっちで相変わらずの手の平返しが凄い、それにしても濃い人達ばかりだ。
 で、ウィザード3人娘の最後の1人はマリアンって名前なんだけど、残念ながらここには居ない。
 身長は女性として普通位で、ウィザードだから細身な体つきで、髪は金色ショートだ。
 やっぱりエリクさんは鼻息荒くしてこの娘が可愛いって押してたっけ、彼女に関しては俺も可愛いとは思うけど。
 そう言えば、ルッカさんが彼女の胸元をチラ見して勝ち誇った顔してたようなしてなかった様な?
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