Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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2章

66話「エリクさんの趣味、なのだろう。」

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「そ、そうっすか、えーっと、セリカさん? コバルドリングってアイテムが入手出来たんですよ。失った魔力が回復すると思ったんですけど」
「あら? カイル様? この貧相なブラックウィザードであるわたくしの為にわざわざその様な所望を」

 と言いながら、セリカさんは豊満な胸を周囲にアピールする。
 一体何が貧相なのだろうか? と疑問に思ってしまう。

「はは、ははは、謙遜しなくても大丈夫だよ」

 俺は手に入れたばかりの、蒼い輝きを放つコバルドリングをセリカさんに手渡す。
 コバルドリングを受け取ったセリカさんは、指に嵌め少しばかり念じた。
 すると、コバルドリングから蒼い輝きが増すとセリカさんの全身を包み込んだ。

「カイル様。身体の奥底から魔力を感じ取れます、恐らく従来通りに近い数字と存じ上げます」

 セリカさんは、改めてエリクさんに『拘束(バインド)』を発動させる。

「ワワワ、ワンワン! はぁはぁ、このキツイ拘束、まさに快感だワン」

 エリクさんが恍惚の表情を浮かべるが、白目を剥き書けている様に見える。
 大丈夫なのだろうか?

「ネ、ネクロマンス法はどう?」
「確かネクロマンス法も使えましたよね、それはどうなんですか?」
「はい、この感覚ですと以前召喚致しましたジャイアント・ゾンビ程ではございませんがある程度のアンデッドは召喚する事が出来ます、しかしながら幾らエリク様とは言えアンデッドをご使用になられるのは無謀かと存じます、ですが、エリク様がお望みでありますならば実行致します」
 
 セリカさん、後半部分は明らかにネクロマンス法の使い方が可笑しい気がするのですが。

「あはは、それは良かったですね、それでは俺はルッセルさんに呼ばれてるんで失礼します」
「僕もルッセルさんに呼ばれてたワン、ご主人様、魔法を解いて下さいワン」

 セリカさんはエリクさんに掛けていた『拘束(バインド)』を解除した。
 ドサッ、と地面に落ちる音がした後、エリクさんはルッセルさんが居る会議室へと向かった。
 4足歩行で!
 いっその事首輪とリードでもつけてやろうと思いたくなったが、いやきっとセリカさんの事だからその内やってくれそうだ、俺がやる必要はないな。

「エリクさん? エリクさん?」
「はっ! いえ、その、何でもありません!」

 エリクさんは立ち上がると、ズボンをパンパンと払い今度こそルッセルさんが居る会議室へ向かった。
 会議室への道中、エリクさんにもコバルドリングを渡すと、やはり魔力を回復したとの事だった。


*勉強エリア*


 アリアがいつもいる場所に、妹のルミリナ、ルッカ、セフィアが集まっていた。

「それで、可愛いコボルドさん達が沢山居たんだよ♪」

 ルミリナは、無垢な少女の様にキラキラと輝かせた瞳で姉のアリアに『わんわん☆ぱらだいす』の土産話をしている。
 
「そう、それは良かったじゃない」

 いつもの様にクールな返事をするアリアだが、心の奥底で仔コボルドが気になっいる様に伺える。
 
「可愛かったよね、また今度行けたら良いわね」

 ルッカはルッカで嬉しそうな感情を抑えながらルミリナへ返事をした。
 
「あら? 今度は誰を連れて行くのかしら?」

 セフィアが小悪魔な笑みを浮かべながら二人に尋ねた。
 
「そうですね、転移魔法を使える人が欲しいですね」

 セフィアの問い掛けに対し、真面目に答えるルッカ。

「となると、エリク君ね、ルッカちゃん意外とモノ好きなのね」
「何がですか?」
「あら? 話を聞いた限り良いデートスポットじゃない? そこに連れて行くって事は実はルッカちゃん、エリク君に興味があるって思っただけよ?」

 セフィアは分かっていながらルッカをからかって見せた。
 
「興味ですか」

 ルッカはエリクがセリカとの対応を思い出し、

「そうですね、エリクさんがコボルドに紛れ込んだらどうなるかは興味深いと思います」

 セフィアの思惑を分かってるのか分かって無いのか真顔で答えるルッカ。
 
「フフフ、冗談よ、冗談、今度はボウヤと一緒にゆっくり見回れば良いんじゃない?」
「なっ! どうしてカイル何かと一緒に行かなければならないんですか!」
「あらあらお嬢ちゃん? 私はボウヤって言っただけでカイルなんて一言も言ってないわ、やっぱりルッカちゃんはボウヤに興味津々なのねぇ~」
「そ、そんな事ありませんからっ!」

 ルッカはムッとした表情を見せそっぽを向いた。
 
「私はカイルさんとご一緒出来たら嬉しいですけど……」

 ルミリナさんがセフィアさんをチラチラとみながらか細い声で言った。
 
「うふふ、素直なのは良いわね、お姉さん一肌脱いじゃおうかしら?」

 セフィアの言葉に対し、アリアがチラッ、チラッと可能な限り誰にもバレない様にセフィアに視線を送る。

「あら~? アリアちゃん?」

 流石はベテランレンジャーか。
 セフィアはアリアの微細な仕草を見逃さず、意味あり気に彼女の名を呼ぶ。

「どうかしましたか?」

 アリアは、平静を装い何事も無かったかの様に返事をする。

「貴女は興味無いの?」

 わざと主語を抜き、アリアの反応を伺うセフィア。

「ありませんよ」

 素っ気なく返事をするアリアであるが。

「あら? コボルド達に興味が無いの、残念ね。ルミちゃんが言う通り仔コボルドは特に可愛いのに」
「……はい、残念ながら興味ありません」

 アリアさんは、何か迷ったかの様に少し間を置き返事をする。

「クスクス、冗談よ、冗談。また暇が出来た時にみんなで行きましょうね」

 セフィアは、ウィンクをしながら人差し指を立てて見せた。
 話がまとまったのか、ルッカとルミリナは別の場所に移動した。
 この場には自分とアリアしか居なくなった事でセフィアは何かを思い出したのか、アリアに改めて声をかける。

「それはそうと、アリアちゃん?」
「何でしょうか?」
「お姉ちゃんだからって全てを犠牲にする必要は無いのよ? ボウヤはセザールタウンで物凄い人気だから仕方ないだからと譲っていたら貴女自身が持たないわよ」
「いえ、私は」

 セフィアから助言を貰ったアリアは、自らの感情を押し殺したいのかそっと本を取り出しページをめくり出した。

「セフィアさん、アリアさん。ルッセルさんが呼んでますので会議室にお願いします」

 複雑な感情が周囲に纏う空気を振り払うかの様にエリクの声が聞えて来た。
 二人はエリクと共に会議室へ向かったのであった。
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