62 / 105
2章
69話「可愛いワンちゃん? と言う名のヘルハウンド」
しおりを挟む
「さっ、みなさん、昔話はここまでにして闘神の斧を探しに向かいましょう」
俺達はルッセルさんの合図と共に炎獄の谷の中に向けて歩き出した。
「あら? 可愛いワンちゃんねぇ」
谷の中をしばらく歩いた所でセフィアさんが嬉しそうに指をさす。
可愛いワンチャン? まさかコボルドキング達がこんな所にまで来てる? それともファイア・コボルドなんて種族が住み着いてる?
少々疑問に思いながらも俺はセフィアさんが差す指の先をながめる。
「ぼ、僕の方が可愛いですよ!」
目標のワンちゃんを見つけたエリクさんが意味深な事を述べる。
で、俺の視界にその可愛いワンちゃんとやらが映った訳ですよ。
えーっとこのワンちゃん、全身に炎を身に纏ってますね。
で、その形相もコボルド達みたいな愛くるしい瞳をしたワンちゃん、何かじゃなくって明らかに獲物を見据える殺意に満ちた瞳をしてるんですけど。
狼? 野犬? そういう類に近いと思うんですよ僕は、可愛いワンちゃんって言葉がお似合いな飼い犬じゃなくってさ!
でさ、コイツの特徴踏まえると俺の知識上、地獄犬(ヘルハウンド)が該当するんですけど! エリクさん? セフィアさん? 何でそんな呑気にしてられるんですか
「ちょ! あれ!」
「どうしたのボウヤ? |可愛いワンちゃん(ヘルハウンド)じゃない? ケルちゃんに比べたら可愛いわよ?」
ケルちゃん? すっげー可愛く呼んでるんですけど、なんか嫌な予感しかしないんですが?
「そうですね、|地獄の番犬(けるべろす)に比べたら可愛いですよ」
って、ケルベロスですか? それがケルちゃんですか? あの3本頭で炎吐くだのなんだのって凶暴な生物に対して何でそう愛玩的に呼べるんですか!
「可愛くてもペットにしたいとは思わないけどねー」
「そうですね、何かあったらすぐ火事になっちゃいますもんね」
「そうそう、せめて炎に包まれて無ければね」
二人は、まるで新人冒険者達が仔コボルドを見付けた時の様に言ってくれる。
「そ、それはそうと」
俺はあの魔物をどうにかしてくれと言おうとするが、
「折角だしボウヤも戦ってみたらどう? 炎はエリク君の魔法で何とかなるでしょ? 炎さえなければボウヤでもどうにか出来る強さでしか無いわ」
「はい、僕も大丈夫だと思います、アリアさんは物理攻撃の耐性の問題がありますから後ろでカイルさんの援護を」
えええ! 何で俺があんな凶暴そうな魔物と戦わなければならないんですか! 俺はまだ学校を出たばかりで冒険者としての経験は浅いんですけど!
「分かりました」
幾らセフィアさんやエリクさんが言ったから! なんて疑問すら抱かずアリアさんは|可愛い?ワンちゃん(ヘルハウンド)との戦いに応じた。
うーむ、アリアさんは俺の後ろに居るセフィアさん達よりも後方って凄く安全な位置に居るし、そうなるかな?
でも、これがルミリナさんだったらガタガタ震えてそうな気がする。
これが姉の強さと言う奴なのだろうか?
俺が考え事をしていると、アリアさんが完成させた『防御障壁(プロテクション)』が俺にかけられた。
緑色の光が俺の身体を包み込むと、エリクさんが掛けた魔法と合わさりエメラルドグリーンの光へ変わった。
どことなく、俺が書ける魔法よりも効果が高い感じがする。
その辺り、さすがは支援魔法専門職であるプリーストと言った所か。
「アリアさん自身にも掛けておいてください、後カイルさんの方でもプロテクションをお願いします、同じプロテクションでも術者が違えば効果は重複(じゅうふく)しますから」
そう言えばそうだった。
エリクさんに言われ、俺は防御壁(プロテクション)を自分とアリアさんに施した。
エリクさんですら、ちょうふくをじゅうふくと間違えるんだ、と思いながら。
「行きますよっ!」
俺は抜刀し、剣を構えながら地獄犬(ヘルハウンド)に向かい地面を蹴った。
「ガルルルルッ」
俺の敵意を探知した地獄犬(ヘルハウンド)は口を大きく開くと燃え盛る炎を吐き出した!
それに対し俺は反射的に盾をかざし炎を受け止めようとする。
待て、鉄性の盾では炎を受け止めるのは無理じゃないか!? それどころか下手すれば溶けてしまう!
炎は俺の考えなど無視して襲い掛かったが、
「熱くない!?」
炎を受けた俺の身体からも左手に持つ盾からも熱を一切感じ取れなかった。
エリクさんが掛けたアイスバリアのお陰だ。
炎を無効化した俺は地獄犬(ヘルハウンド)の懐に潜り込み斬りかかった。
「グルルルルッ!」
だが、地獄犬(ヘルハウンド)は鮮やかなステップを見せながら俺の剣撃を回避した。
「やはり、機動性は足りてませんね、アリアさん、カイルさんに機動増加(クイック)を」
エリクさんの指示を受けたアリアさんが、俺に『機動増加(クイック)』を掛けた。
黄色の光が包み込み、自分の身体が軽くなった事を感じ取った。
やはり、アリアさんが掛ける奴は自分が掛けるそれより効果は高そうだ。
「でやぁぁぁぁ!」
今度こそ、と機動性の上がった俺は地獄犬(ヘルハウンド)に対し剣での連撃を仕掛ける。
ザクッ、ザクッ、スカッ、スカッ、ザクッ。
多少なりとも攻撃を命中させる事が出来る様になったものの、鉄製の剣では厳しいのか相手に対して有効打を与えてる気がしない。
「ガオオオオオ!」
俺の連撃が終わった所に待ってましたと言わんばかりに地獄犬(ヘルハウンド)が前足の爪を立て飛びかかって来た。
俺は盾を前に出し攻撃を受け流そうとするが、物理的なダメージこそ防げたものの、巨体が産み出す威力までは減衰させる事が出来ず後方へ向け大きく吹っ飛ばされてしまった。
「なるほど、筋力もまだ不足してますね、ではアリアさん、筋力向上(パワーアップ)をカイルさんに」
エリクさんがアリアさんに指示を出し俺は『筋力向上(パワーアップ)』の魔法を受けた。
俺は再び地獄犬(ヘルハウンド)の懐に潜り込み連撃を仕掛ける。
威力が増した俺の斬撃を受けた地獄犬(ヘルハウンド)は表情を曇らせ一旦後退した。
「逃すか!」
俺は地獄犬(ヘルハウンド)が距離を取る為後退した着地に合わせ『氷矢(アイスアロー)』を放つ。
俺の魔法を受けた地獄犬(ヘルハウンド)は一瞬苦痛な表情を見せると、俺では無くそれより奥に対してにらみを利かせた。
俺達はルッセルさんの合図と共に炎獄の谷の中に向けて歩き出した。
「あら? 可愛いワンちゃんねぇ」
谷の中をしばらく歩いた所でセフィアさんが嬉しそうに指をさす。
可愛いワンチャン? まさかコボルドキング達がこんな所にまで来てる? それともファイア・コボルドなんて種族が住み着いてる?
少々疑問に思いながらも俺はセフィアさんが差す指の先をながめる。
「ぼ、僕の方が可愛いですよ!」
目標のワンちゃんを見つけたエリクさんが意味深な事を述べる。
で、俺の視界にその可愛いワンちゃんとやらが映った訳ですよ。
えーっとこのワンちゃん、全身に炎を身に纏ってますね。
で、その形相もコボルド達みたいな愛くるしい瞳をしたワンちゃん、何かじゃなくって明らかに獲物を見据える殺意に満ちた瞳をしてるんですけど。
狼? 野犬? そういう類に近いと思うんですよ僕は、可愛いワンちゃんって言葉がお似合いな飼い犬じゃなくってさ!
でさ、コイツの特徴踏まえると俺の知識上、地獄犬(ヘルハウンド)が該当するんですけど! エリクさん? セフィアさん? 何でそんな呑気にしてられるんですか
「ちょ! あれ!」
「どうしたのボウヤ? |可愛いワンちゃん(ヘルハウンド)じゃない? ケルちゃんに比べたら可愛いわよ?」
ケルちゃん? すっげー可愛く呼んでるんですけど、なんか嫌な予感しかしないんですが?
「そうですね、|地獄の番犬(けるべろす)に比べたら可愛いですよ」
って、ケルベロスですか? それがケルちゃんですか? あの3本頭で炎吐くだのなんだのって凶暴な生物に対して何でそう愛玩的に呼べるんですか!
「可愛くてもペットにしたいとは思わないけどねー」
「そうですね、何かあったらすぐ火事になっちゃいますもんね」
「そうそう、せめて炎に包まれて無ければね」
二人は、まるで新人冒険者達が仔コボルドを見付けた時の様に言ってくれる。
「そ、それはそうと」
俺はあの魔物をどうにかしてくれと言おうとするが、
「折角だしボウヤも戦ってみたらどう? 炎はエリク君の魔法で何とかなるでしょ? 炎さえなければボウヤでもどうにか出来る強さでしか無いわ」
「はい、僕も大丈夫だと思います、アリアさんは物理攻撃の耐性の問題がありますから後ろでカイルさんの援護を」
えええ! 何で俺があんな凶暴そうな魔物と戦わなければならないんですか! 俺はまだ学校を出たばかりで冒険者としての経験は浅いんですけど!
「分かりました」
幾らセフィアさんやエリクさんが言ったから! なんて疑問すら抱かずアリアさんは|可愛い?ワンちゃん(ヘルハウンド)との戦いに応じた。
うーむ、アリアさんは俺の後ろに居るセフィアさん達よりも後方って凄く安全な位置に居るし、そうなるかな?
でも、これがルミリナさんだったらガタガタ震えてそうな気がする。
これが姉の強さと言う奴なのだろうか?
俺が考え事をしていると、アリアさんが完成させた『防御障壁(プロテクション)』が俺にかけられた。
緑色の光が俺の身体を包み込むと、エリクさんが掛けた魔法と合わさりエメラルドグリーンの光へ変わった。
どことなく、俺が書ける魔法よりも効果が高い感じがする。
その辺り、さすがは支援魔法専門職であるプリーストと言った所か。
「アリアさん自身にも掛けておいてください、後カイルさんの方でもプロテクションをお願いします、同じプロテクションでも術者が違えば効果は重複(じゅうふく)しますから」
そう言えばそうだった。
エリクさんに言われ、俺は防御壁(プロテクション)を自分とアリアさんに施した。
エリクさんですら、ちょうふくをじゅうふくと間違えるんだ、と思いながら。
「行きますよっ!」
俺は抜刀し、剣を構えながら地獄犬(ヘルハウンド)に向かい地面を蹴った。
「ガルルルルッ」
俺の敵意を探知した地獄犬(ヘルハウンド)は口を大きく開くと燃え盛る炎を吐き出した!
それに対し俺は反射的に盾をかざし炎を受け止めようとする。
待て、鉄性の盾では炎を受け止めるのは無理じゃないか!? それどころか下手すれば溶けてしまう!
炎は俺の考えなど無視して襲い掛かったが、
「熱くない!?」
炎を受けた俺の身体からも左手に持つ盾からも熱を一切感じ取れなかった。
エリクさんが掛けたアイスバリアのお陰だ。
炎を無効化した俺は地獄犬(ヘルハウンド)の懐に潜り込み斬りかかった。
「グルルルルッ!」
だが、地獄犬(ヘルハウンド)は鮮やかなステップを見せながら俺の剣撃を回避した。
「やはり、機動性は足りてませんね、アリアさん、カイルさんに機動増加(クイック)を」
エリクさんの指示を受けたアリアさんが、俺に『機動増加(クイック)』を掛けた。
黄色の光が包み込み、自分の身体が軽くなった事を感じ取った。
やはり、アリアさんが掛ける奴は自分が掛けるそれより効果は高そうだ。
「でやぁぁぁぁ!」
今度こそ、と機動性の上がった俺は地獄犬(ヘルハウンド)に対し剣での連撃を仕掛ける。
ザクッ、ザクッ、スカッ、スカッ、ザクッ。
多少なりとも攻撃を命中させる事が出来る様になったものの、鉄製の剣では厳しいのか相手に対して有効打を与えてる気がしない。
「ガオオオオオ!」
俺の連撃が終わった所に待ってましたと言わんばかりに地獄犬(ヘルハウンド)が前足の爪を立て飛びかかって来た。
俺は盾を前に出し攻撃を受け流そうとするが、物理的なダメージこそ防げたものの、巨体が産み出す威力までは減衰させる事が出来ず後方へ向け大きく吹っ飛ばされてしまった。
「なるほど、筋力もまだ不足してますね、ではアリアさん、筋力向上(パワーアップ)をカイルさんに」
エリクさんがアリアさんに指示を出し俺は『筋力向上(パワーアップ)』の魔法を受けた。
俺は再び地獄犬(ヘルハウンド)の懐に潜り込み連撃を仕掛ける。
威力が増した俺の斬撃を受けた地獄犬(ヘルハウンド)は表情を曇らせ一旦後退した。
「逃すか!」
俺は地獄犬(ヘルハウンド)が距離を取る為後退した着地に合わせ『氷矢(アイスアロー)』を放つ。
俺の魔法を受けた地獄犬(ヘルハウンド)は一瞬苦痛な表情を見せると、俺では無くそれより奥に対してにらみを利かせた。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる