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2章
76話「VS魔闘将ルカン」
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*ルッセル達*
「はぁ、はぁ、やりましたよね?」
肩で息をするエリクからは、今の地割れで勝負が決まって欲しいという願いが感じ取られる。
「いえ、必ず来ます」
ルッセルは闘気を剣に集中させた。
「ははは、念には念をと深い谷を作ったんですよ、落ちてから時間も経ってますし今頃谷底でうずくまってますよ」
「魔力が尽きたなら回復をお願いします」
精魂果て、願望を告げるエリクに対しルッセルは鋭く指摘をした。
「はい、すみません」
ルッセルが言いたい事を悟ったエリクは大魔法の詠唱を開始した。
丁度エリクの大魔法が完成したところで、足元から大きな音が聞こえて来た。
「何アイツ! 壁を蹴ってるわ!」
上空から監視していたセフィアが驚きの声を上げた。
彼女の言う通り、なんとルカンは谷の壁を蹴り上がり反対の壁へ上昇、それを交互に繰り返し地上へ戻って来たのだ!
「そんなのずるいですよぉー」
エリクは完成させた大魔法を風属性へシフト、ルカンの上方より突風を発生させ転落作戦を取った。
激しい風が壁を蹴り上昇するルカンの上部から襲う。
「この程度で俺を止めれると思うなッ」
エリクの起こした突風でさえ、ルカンの勢いを止める事は出来なかった。
「奥義! 冥破活昇斬!」
ルッセルは剣に集めた闘気と共に縦横無尽の連撃をルカンに向け繰り出した!
一方のルカンはルッセルの奥義を斧で受け止める。
が、数撃受け止めた所で斧が耐えきれず壊れてしまう。
残りの連撃を左腕、右腕でガードするも、幾ら獣人族とは言え闘気の乗った斬撃を無傷で受ける事は出来ずおびただしい量の出血をしてしまう。
「やるじゃないかっ! そうでなくてはなッ!」
ルカンは闘気を込め、吠えると流れていた血が止まった。
「クッ、これが想いの闘気」
闘気を乗せた攻撃が有効打でなかったことにルッセルは焦りの色を感じた。
せめて、自分と同クラスのプリーストが掛けた補助魔法があれば有効打を与えれたのかもしれない。
ほんの少しだけルッセルの脳裏にその様な事が過ってしまうが、今出来る事をやるしかないと割り切り再び闘気を集めた。
しかしルカンの、想いが乗せられた闘気を目の前に日和ってしまったルッセルは思う様に闘気を集められない!
「今度は俺の番だ!」
体勢を整えたルカンが左手に闘気を集め出した。
「エリクさん! セフィアさん! 逃げて下さい!」
一瞬でルカンが繰り出そうとする技の威力を見極めたルッセルが叫んだ。
エリクとセフィアはルッセルの指示に従いルカンから大きく距離を取った。
「ゆくぞ、闘魔裂空撃!」
ルカンがルッセルに向け拳を突き出すと、筒状の激しい烈風がルッセルに向けて放たれた!
ルッセルは、幾分か闘気が乗せられた剣を盾の代わりにしルカンの技を受け止める。
だが、想いの闘気が込められたルカンの技を防ぎきる事は出来ず、全身を空気の刃でズタズタに切り裂かれながら、ルッセル自身も上空へと打ち上げられてしまった。
「この程度の攻撃でっ!」
ルッセルは空中で体勢を整え地面に着地、すぐにポーションを取り出し受けた傷の治療を試みた。
こんな時、すぐに治療魔法を掛けて貰えるプリーストの重みを肌で感じる。
いや、ルカン相手ではプリーストを守り切る事が出来ない。
ルッセルは僅かにめぐる思考の迷いを断ち切りながら再び闘気を集めた。
「貴様の想いはその程度かッ!」
ルカンが闘気を集めながらルッセルを指差した。
「くっ」
ルカンの闘気に対しルッセルは顔を強張らせ、言葉を詰まらせた。
確かに今自分は順風満帆なのだろう。
心の奥底から守りたい何かが湧いて来ない。
もし自分が負けてしまってもその時は逃げれば良い、逃げて国の仲間に助けを求めれば良い。
エリクやセフィアと同等のプリーストさえ同行していれば負ける事なんて無い。
心の奥底から勝たなければならない何かが湧いて来ない。
たらればにまみれた情けない思考がルッセルの闘気を鈍らせている。
ルカンの次の手は? 恐らく耐えられる。
傷を負っても瞬時に癒してくれるアイテムは無数にある。
闘気さえ守りに回してしまえば問題無い。
だが、それでは絶体絶命の危機を肌で感じる事が出来ない。
けれど自分が死んでしまったら終わりだ。
その迷いがルッセルの闘気を更に鈍らせている。
ルカンの言う想いとは何なのだ?
「フン! 来ないならこちらから行くぞ!」
再び闘気を集めたルカンが再度攻撃を仕掛けた。
今度は構えを見せた後、手のひらに闘気を集中させルッセルに向けて放った。
闘気は巨大な虎の顔の形となりルッセルを襲う。
「うっ!」
ルッセルは闘気を守りに集中させルカンの攻撃を防ぐがその威力を抑えきれず、きりもみ回転をしながら斜め後へ45度の角度で吹っ飛ばされてしまう。
ズドーーーーーン!!!!
大きく吹き飛ばされたルッセルが、地面に叩きつけられた音が周囲に大きく響き渡った。
「ルッセルさん!」
「マスター!」
はるか後方からエリクとセフィアが叫ぶ。
だが、彼等がルッセルの元へ駆け付けようとしなかった。
自分達が助けに行ってもルカンを前に足を引っ張るだけ、自分達までやられてしまっては国に戻り体勢を立て直す事も出来ない。
自分達がやられなければ、カイル、アリアと合流し転移魔法で撤退する事が出来る。
ルッセルが劣勢となり歯がゆい気持ちになりながらも彼等は見守る事しか出来なかった。
「これしきの事で」
ルッセルは口から血を吐き出しながらも、ポーションを使いルカンからのダメージを回復させ立ち上がった。
だが、明らかに闘気を集める速度はルカンの方が早い。
このままではいつかどこかで闘気を集めていない状況でルカンの闘気を込めた技を受ける事になってしまう。
もし、そうなってしまえば当たり所が悪ければ最悪即死する事になる。
それでは如何に優秀な回復アイテムがあってもお終いだ。
何処で撤退の決断を下すか。
或いは自分が忘れていた闘気の覚醒に賭けるか。
「はぁ、はぁ、やりましたよね?」
肩で息をするエリクからは、今の地割れで勝負が決まって欲しいという願いが感じ取られる。
「いえ、必ず来ます」
ルッセルは闘気を剣に集中させた。
「ははは、念には念をと深い谷を作ったんですよ、落ちてから時間も経ってますし今頃谷底でうずくまってますよ」
「魔力が尽きたなら回復をお願いします」
精魂果て、願望を告げるエリクに対しルッセルは鋭く指摘をした。
「はい、すみません」
ルッセルが言いたい事を悟ったエリクは大魔法の詠唱を開始した。
丁度エリクの大魔法が完成したところで、足元から大きな音が聞こえて来た。
「何アイツ! 壁を蹴ってるわ!」
上空から監視していたセフィアが驚きの声を上げた。
彼女の言う通り、なんとルカンは谷の壁を蹴り上がり反対の壁へ上昇、それを交互に繰り返し地上へ戻って来たのだ!
「そんなのずるいですよぉー」
エリクは完成させた大魔法を風属性へシフト、ルカンの上方より突風を発生させ転落作戦を取った。
激しい風が壁を蹴り上昇するルカンの上部から襲う。
「この程度で俺を止めれると思うなッ」
エリクの起こした突風でさえ、ルカンの勢いを止める事は出来なかった。
「奥義! 冥破活昇斬!」
ルッセルは剣に集めた闘気と共に縦横無尽の連撃をルカンに向け繰り出した!
一方のルカンはルッセルの奥義を斧で受け止める。
が、数撃受け止めた所で斧が耐えきれず壊れてしまう。
残りの連撃を左腕、右腕でガードするも、幾ら獣人族とは言え闘気の乗った斬撃を無傷で受ける事は出来ずおびただしい量の出血をしてしまう。
「やるじゃないかっ! そうでなくてはなッ!」
ルカンは闘気を込め、吠えると流れていた血が止まった。
「クッ、これが想いの闘気」
闘気を乗せた攻撃が有効打でなかったことにルッセルは焦りの色を感じた。
せめて、自分と同クラスのプリーストが掛けた補助魔法があれば有効打を与えれたのかもしれない。
ほんの少しだけルッセルの脳裏にその様な事が過ってしまうが、今出来る事をやるしかないと割り切り再び闘気を集めた。
しかしルカンの、想いが乗せられた闘気を目の前に日和ってしまったルッセルは思う様に闘気を集められない!
「今度は俺の番だ!」
体勢を整えたルカンが左手に闘気を集め出した。
「エリクさん! セフィアさん! 逃げて下さい!」
一瞬でルカンが繰り出そうとする技の威力を見極めたルッセルが叫んだ。
エリクとセフィアはルッセルの指示に従いルカンから大きく距離を取った。
「ゆくぞ、闘魔裂空撃!」
ルカンがルッセルに向け拳を突き出すと、筒状の激しい烈風がルッセルに向けて放たれた!
ルッセルは、幾分か闘気が乗せられた剣を盾の代わりにしルカンの技を受け止める。
だが、想いの闘気が込められたルカンの技を防ぎきる事は出来ず、全身を空気の刃でズタズタに切り裂かれながら、ルッセル自身も上空へと打ち上げられてしまった。
「この程度の攻撃でっ!」
ルッセルは空中で体勢を整え地面に着地、すぐにポーションを取り出し受けた傷の治療を試みた。
こんな時、すぐに治療魔法を掛けて貰えるプリーストの重みを肌で感じる。
いや、ルカン相手ではプリーストを守り切る事が出来ない。
ルッセルは僅かにめぐる思考の迷いを断ち切りながら再び闘気を集めた。
「貴様の想いはその程度かッ!」
ルカンが闘気を集めながらルッセルを指差した。
「くっ」
ルカンの闘気に対しルッセルは顔を強張らせ、言葉を詰まらせた。
確かに今自分は順風満帆なのだろう。
心の奥底から守りたい何かが湧いて来ない。
もし自分が負けてしまってもその時は逃げれば良い、逃げて国の仲間に助けを求めれば良い。
エリクやセフィアと同等のプリーストさえ同行していれば負ける事なんて無い。
心の奥底から勝たなければならない何かが湧いて来ない。
たらればにまみれた情けない思考がルッセルの闘気を鈍らせている。
ルカンの次の手は? 恐らく耐えられる。
傷を負っても瞬時に癒してくれるアイテムは無数にある。
闘気さえ守りに回してしまえば問題無い。
だが、それでは絶体絶命の危機を肌で感じる事が出来ない。
けれど自分が死んでしまったら終わりだ。
その迷いがルッセルの闘気を更に鈍らせている。
ルカンの言う想いとは何なのだ?
「フン! 来ないならこちらから行くぞ!」
再び闘気を集めたルカンが再度攻撃を仕掛けた。
今度は構えを見せた後、手のひらに闘気を集中させルッセルに向けて放った。
闘気は巨大な虎の顔の形となりルッセルを襲う。
「うっ!」
ルッセルは闘気を守りに集中させルカンの攻撃を防ぐがその威力を抑えきれず、きりもみ回転をしながら斜め後へ45度の角度で吹っ飛ばされてしまう。
ズドーーーーーン!!!!
大きく吹き飛ばされたルッセルが、地面に叩きつけられた音が周囲に大きく響き渡った。
「ルッセルさん!」
「マスター!」
はるか後方からエリクとセフィアが叫ぶ。
だが、彼等がルッセルの元へ駆け付けようとしなかった。
自分達が助けに行ってもルカンを前に足を引っ張るだけ、自分達までやられてしまっては国に戻り体勢を立て直す事も出来ない。
自分達がやられなければ、カイル、アリアと合流し転移魔法で撤退する事が出来る。
ルッセルが劣勢となり歯がゆい気持ちになりながらも彼等は見守る事しか出来なかった。
「これしきの事で」
ルッセルは口から血を吐き出しながらも、ポーションを使いルカンからのダメージを回復させ立ち上がった。
だが、明らかに闘気を集める速度はルカンの方が早い。
このままではいつかどこかで闘気を集めていない状況でルカンの闘気を込めた技を受ける事になってしまう。
もし、そうなってしまえば当たり所が悪ければ最悪即死する事になる。
それでは如何に優秀な回復アイテムがあってもお終いだ。
何処で撤退の決断を下すか。
或いは自分が忘れていた闘気の覚醒に賭けるか。
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