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3章
79話「鈍感、いつものこと」
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「あらやだ、人間って脆いのね」
意識を失ったダストを見て我に返ったルミナスは、ダストから離れ『異常治癒(キュア)』を掛け気絶を回復させた。
「それは何とも言い難いが、ダストはウィザードとやらだからな、耐久性が我々より低いのは事実だろう」
「お、俺様は治療に戻るぞ!」
ダストは顔を赤くしながら自室へ戻った。
「すまぬ、俺も腕の治療を頼む」
「はぁい★ ルカンちゃんの治療が終わり次第あたしも聖女の血を引く人間を攫ってきますわ★」
「拙者は永氷の洞窟へ向かうでござる」
魔将軍たちはそれぞれ目的とする場所へ向かった。
―ヴァイスリッター―
無事闘神の斧を入手し、ヴァイスリッターへ戻った俺は平和な日常を堪能していた。
『つまらんのぉ、つまらんのぉ~ここにはワシごのみのむきむきまっちょまんがおらんわい』
俺が折角平和な日常を堪能しているというのに何事だ。
『ケチ臭い事はナシじゃ。 これだけ沢山の男が居るんじゃ! 少し位良いじゃろ!』
それ自体構わんが。 いや、その声はみんなにも聞こえてるんじゃないのか?
『OHNO! ジーザス!』
いや、何か前者と後者でニュアンスが違う様に聞こえるんですけど?
『ふぉっふぉっふぉ、お主、噂に寄らず敏感じゃのう』
一体何が敏感なんだよ。
『ぐえっへっへ。ナイスミドルのワシが言うんじゃ! 推して知るのじゃ!』
分からないし、そもそもナイスミドルってなんだよ。
『ワシの事じゃよ』
俺には斧にしか見えんが。
『オーノー』
もう良いっちゅうねん!
『なんじゃ、ちゃんとイントネーションを変えたぞい!! ふぁんたじーっくでみすてりあすなワシのギャグを理解せんとはお主のケツはまだまだ真っ青じゃ!』
斧がオーノーと言う事の何処がファンタジックでミステリアスなんだよ!
『細かい事を気にすると、つるっつるっのはげっはげになるぞい!』
アンタと関わってるだけで禿げそうだ。
俺が心の中で、肩で大きく息をしているとルッセルさんがやって来て。
「おや? 闘神の斧殿も仔羊様と同じ事を言うのですか?」
どういう事? 確かにあの仔羊様は個性的と思ったが、ベタな親父ギャグは言わない気がするが。
『ふぉ~っふぉっふぉ! つるっつるっのはげっはげっ、はワシが仔羊に教えたんじゃぞ!』
それは自信満々にドヤ顔で言う事じゃないぞ。
いや、ちょっと待て。なんで闘神の斧が仔羊様の事を知ってるんだ!?
「そうだったんですか、どおりで同じ表現をした訳ですね。 私としては、闘神の斧殿の言葉にカイルさんが何を返してるか気になる所ですが」
ルッセルさんがおもしろそうな事がありそうな表情でこちらを見て来た。
「いえ、秘密で御座います故」
『ほほう、お主ヲトメの如しヒミツが』
そんな訳あるか!
「いやー、事務作業で詰まった時にこっそり聞きたいと思ったんですが」
『しかたないのぉ~ぴちぴちなイケメンの頼みは断れんわい』
いや、アンタむきむきまっちょまん以外あまり興味無かっただろ。
何急に自分の好みの男を増やしているんだ。
アンタも面白そうだから乗っただけじゃないのか?
「そうですか! ではお願いします」
ルッセルさんが、嬉々とした表情で闘神の斧に頼み込んだ。
『ふぉーっふぉっふぉ、術式はこうじゃ! だーいじょうぶじゃ、ぷらいばしいとやらが関わる事は聞けん様にしておいたわい!』
いや、アンタの言う事を信用するのは無理があるが。
「これは有難い事です。 では、私は事務作業に戻ります」
ルッセルさんは、俺が一度も見た事が無いにっこにこ笑顔をしながら事務作業用の部屋へ戻った。
「あら? カイルじゃない? お帰り」
ルッセルさんの次はルッカさんがやって来た。
「ただいま、ずいぶんよそよそしい気がするが気のせいか?」
「気のせいよ? 別にアナタが闘神の斧を見付けた事に対してなーーーーーんにも思ってませんから」
そう言うルッカさんだが、気にしている様にしか聞こえない。
「闘神の斧はギルドで保管する事になったどね」
「当然でしょ? アーティファクトを新人冒険者が貰える訳無いでしょ?」
今日は妙に突っかかって来る気がするが気のせいか?
「見付けたのはただの偶然よ」
少し遠くに居たアリアさんが、相変わらず無表情のまま俺に近付くとフォローに入ってくれた。
「ムッ、何よ! 貴女、男に興味無かったんじゃないの!?」
「ルッカさん? 急に何言ってるのさ?」
「何でもないッ!」
ルッカさんは甲高い声を出してそっぽを向いた。
「そうね、興味無い」
アリアさんがそっと呟くと、1歩俺から距離を取った。
そこでやっと気が付いたが、アリアさんの居場所がいつもより近かったみたいだ。
おや? ルミリナさん? 少し遠くから眺めてるんだけど。
うん? 俺と目を合わせたら、スタスタスタと去って行ったぞ? 一体何だったんだろ?
「フフッ、相変わらずボウヤも罪な男ねぇ?」
続いてセフィアさんだ。
「俺が、ですか? 俺何もしてませんけど?」
「エリク君みたいに素直になったらお姉さん面白いと思うわ」
と何かを企んでると言われても可笑しくないニヤニヤ顔で言うセフィアさんだ。
「そんな事ありません!」
ルッカさんが顔を真っ赤にして否定した。
「どっちにしても興味ありません」
アリアさんの周囲は凍り付きそうな空気が展開されている。
「あら? 見てる側の話よ?」
「迷惑なだけですね」
確かにうるさいし迷惑だ。
いや、でも、エリクさんみたいに犬化してるなら面白いな。
デビッドの場合はやっぱり、めんどくさいだけだね。
「アリアちゃんは相変わらずねぇ? 炎獄の谷でボウヤと何かあったんじゃないかしら?」
セフィアさんが妙に鋭い事を言って来た。
けど、その何かに思い当たる節は無い。 よな?
「いえ、特に」
アリアさんはいつも通り素っ気無い返事をするが、そこには1拍程の間があった。
「ウフ、みんな素直になった方が良い事あるわよ」
セフィアさんは口元で人差し指を立てながらウィンクを見せた。
それに対して、
「私はいつでも素直ですから!」
大声で言うルッカさん。
「私は男性に興味がございませんので」
淡々と言うアリアさん。
意識を失ったダストを見て我に返ったルミナスは、ダストから離れ『異常治癒(キュア)』を掛け気絶を回復させた。
「それは何とも言い難いが、ダストはウィザードとやらだからな、耐久性が我々より低いのは事実だろう」
「お、俺様は治療に戻るぞ!」
ダストは顔を赤くしながら自室へ戻った。
「すまぬ、俺も腕の治療を頼む」
「はぁい★ ルカンちゃんの治療が終わり次第あたしも聖女の血を引く人間を攫ってきますわ★」
「拙者は永氷の洞窟へ向かうでござる」
魔将軍たちはそれぞれ目的とする場所へ向かった。
―ヴァイスリッター―
無事闘神の斧を入手し、ヴァイスリッターへ戻った俺は平和な日常を堪能していた。
『つまらんのぉ、つまらんのぉ~ここにはワシごのみのむきむきまっちょまんがおらんわい』
俺が折角平和な日常を堪能しているというのに何事だ。
『ケチ臭い事はナシじゃ。 これだけ沢山の男が居るんじゃ! 少し位良いじゃろ!』
それ自体構わんが。 いや、その声はみんなにも聞こえてるんじゃないのか?
『OHNO! ジーザス!』
いや、何か前者と後者でニュアンスが違う様に聞こえるんですけど?
『ふぉっふぉっふぉ、お主、噂に寄らず敏感じゃのう』
一体何が敏感なんだよ。
『ぐえっへっへ。ナイスミドルのワシが言うんじゃ! 推して知るのじゃ!』
分からないし、そもそもナイスミドルってなんだよ。
『ワシの事じゃよ』
俺には斧にしか見えんが。
『オーノー』
もう良いっちゅうねん!
『なんじゃ、ちゃんとイントネーションを変えたぞい!! ふぁんたじーっくでみすてりあすなワシのギャグを理解せんとはお主のケツはまだまだ真っ青じゃ!』
斧がオーノーと言う事の何処がファンタジックでミステリアスなんだよ!
『細かい事を気にすると、つるっつるっのはげっはげになるぞい!』
アンタと関わってるだけで禿げそうだ。
俺が心の中で、肩で大きく息をしているとルッセルさんがやって来て。
「おや? 闘神の斧殿も仔羊様と同じ事を言うのですか?」
どういう事? 確かにあの仔羊様は個性的と思ったが、ベタな親父ギャグは言わない気がするが。
『ふぉ~っふぉっふぉ! つるっつるっのはげっはげっ、はワシが仔羊に教えたんじゃぞ!』
それは自信満々にドヤ顔で言う事じゃないぞ。
いや、ちょっと待て。なんで闘神の斧が仔羊様の事を知ってるんだ!?
「そうだったんですか、どおりで同じ表現をした訳ですね。 私としては、闘神の斧殿の言葉にカイルさんが何を返してるか気になる所ですが」
ルッセルさんがおもしろそうな事がありそうな表情でこちらを見て来た。
「いえ、秘密で御座います故」
『ほほう、お主ヲトメの如しヒミツが』
そんな訳あるか!
「いやー、事務作業で詰まった時にこっそり聞きたいと思ったんですが」
『しかたないのぉ~ぴちぴちなイケメンの頼みは断れんわい』
いや、アンタむきむきまっちょまん以外あまり興味無かっただろ。
何急に自分の好みの男を増やしているんだ。
アンタも面白そうだから乗っただけじゃないのか?
「そうですか! ではお願いします」
ルッセルさんが、嬉々とした表情で闘神の斧に頼み込んだ。
『ふぉーっふぉっふぉ、術式はこうじゃ! だーいじょうぶじゃ、ぷらいばしいとやらが関わる事は聞けん様にしておいたわい!』
いや、アンタの言う事を信用するのは無理があるが。
「これは有難い事です。 では、私は事務作業に戻ります」
ルッセルさんは、俺が一度も見た事が無いにっこにこ笑顔をしながら事務作業用の部屋へ戻った。
「あら? カイルじゃない? お帰り」
ルッセルさんの次はルッカさんがやって来た。
「ただいま、ずいぶんよそよそしい気がするが気のせいか?」
「気のせいよ? 別にアナタが闘神の斧を見付けた事に対してなーーーーーんにも思ってませんから」
そう言うルッカさんだが、気にしている様にしか聞こえない。
「闘神の斧はギルドで保管する事になったどね」
「当然でしょ? アーティファクトを新人冒険者が貰える訳無いでしょ?」
今日は妙に突っかかって来る気がするが気のせいか?
「見付けたのはただの偶然よ」
少し遠くに居たアリアさんが、相変わらず無表情のまま俺に近付くとフォローに入ってくれた。
「ムッ、何よ! 貴女、男に興味無かったんじゃないの!?」
「ルッカさん? 急に何言ってるのさ?」
「何でもないッ!」
ルッカさんは甲高い声を出してそっぽを向いた。
「そうね、興味無い」
アリアさんがそっと呟くと、1歩俺から距離を取った。
そこでやっと気が付いたが、アリアさんの居場所がいつもより近かったみたいだ。
おや? ルミリナさん? 少し遠くから眺めてるんだけど。
うん? 俺と目を合わせたら、スタスタスタと去って行ったぞ? 一体何だったんだろ?
「フフッ、相変わらずボウヤも罪な男ねぇ?」
続いてセフィアさんだ。
「俺が、ですか? 俺何もしてませんけど?」
「エリク君みたいに素直になったらお姉さん面白いと思うわ」
と何かを企んでると言われても可笑しくないニヤニヤ顔で言うセフィアさんだ。
「そんな事ありません!」
ルッカさんが顔を真っ赤にして否定した。
「どっちにしても興味ありません」
アリアさんの周囲は凍り付きそうな空気が展開されている。
「あら? 見てる側の話よ?」
「迷惑なだけですね」
確かにうるさいし迷惑だ。
いや、でも、エリクさんみたいに犬化してるなら面白いな。
デビッドの場合はやっぱり、めんどくさいだけだね。
「アリアちゃんは相変わらずねぇ? 炎獄の谷でボウヤと何かあったんじゃないかしら?」
セフィアさんが妙に鋭い事を言って来た。
けど、その何かに思い当たる節は無い。 よな?
「いえ、特に」
アリアさんはいつも通り素っ気無い返事をするが、そこには1拍程の間があった。
「ウフ、みんな素直になった方が良い事あるわよ」
セフィアさんは口元で人差し指を立てながらウィンクを見せた。
それに対して、
「私はいつでも素直ですから!」
大声で言うルッカさん。
「私は男性に興味がございませんので」
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