Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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1章

85話

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 ダストがアイスタイガーとじゃれ合いだしたところで、今度は右側の出口から女性がやって来た。

 真っ白な肌に青色のロングヘアーで細身な美人だ。

 纏っている服は貴族が着る様なモノであり気品を感じ、頭には王冠を身に付けており、女王の可能性も伺える。

「ようこそおいでました、スルーフ様、ルカン様、ダスト様」

 女性は3人の前に立つと一礼をした。

「貴女は?」

 女性の挨拶に対し、何者か心当たりの無い3人は彼女の存在に対しての記憶を辿る。

「私は永氷の洞窟をお守り致します氷の女王で御座います」

 自分を名乗った氷の女王は改めて3人に礼をする。

「氷の女王でござるか! それは失礼したでござる。 拙者、魔勇将スルーフでござる」

 スルーフが氷の女王に対し礼を返すと、ルカン、ダストも続けて礼を返した。

「勿体無く存じ上げます。 私は勇神の剣を守る定めしか無き故」

 氷の女王は、スルーフ達に対し自分を敬う必要は無いと告げる。

「しかし、いえ。 しからば氷の女王殿、勇神の剣の案内を頼めるでござるか?」

「はい、スルーフ様。 貴殿より勇気の波動を確かに感じます故、勇神の剣への案内は問題ございません。 ただし、勇神の剣が貴殿を選ぶ事までの保証は致しかねます」
 氷の女王が説明を終えると、アイスゴーレムが入って来た出口の右側にある壁を3度叩いた。
 10秒程したところで氷の女王が叩いた部分に窪みが発生し、その中には手のひらほどの大きさをした赤い丸状スイッチがあった。
 氷の女王は3人に笑顔を見せそのスイッチを押した。
 更に10秒程経ったところで部屋の中央辺りからゴゴゴゴゴと音が発したかと思うと、1メートル4方の氷の地面が地下に目掛けて沈み、代わりに地下へ続く階段が現れたのであった。
 
「ガルルルル」

 氷の女王が3人を案内する直前、アイスタイガーが氷の女王に何かを告げた。
 
「侵入者ですか? 貴方達にお任せ致します。 最悪この場所が知られましても問題はありません、私は一面接官に過ぎず最終的には勇神の剣が決める事ですので」
 
 部下たちへの指示を済ませた氷の女王は、再度3人に対し1礼すると、彼等を地下の先へ案内した。
 アイスタイガー達は、侵入者を迎撃戦と洞窟の入り口に向かって行った。
 氷の女王は階段を降りると、此方にもある隠しスイッチを押し、隠し階段を元の氷の床へ戻したのであった。


―カイル達―


『斧が凍り付いてOHNO!!!!』

 いやまて、ただでさえ吹雪いて寒いのにそこから更に寒くなる様な事を言うな!
 
『仕方なかろう、ここんところ大してしゃべってなかったんじゃから少し位良いじゃろう。 ほれ、今はシリアスな場面でも何でもないのじゃ。 雪山なんて関係無かろう、目的地を目指して歩くまったりとした空気の中、このワシが口を開かず誰が口を開くと言うのじゃ!

 力説する闘神の斧だが、確かにシリアスな空気で言うのは絶対ダメなのは認めよう。
 しかし、この雪山で周りを凍り付かせる事を言っちまうのは2番目位にダメなんじゃないかなぁ?

『フン、2番目なら問題無いわい、ほれ、雪を食スノーは止めるんじゃ!』

 誰も雪なんか食ってねぇよ! しかも日本語と英語を混ぜるな!

「フフフ、カイル君、雪って意外と美味しいんですよ」

 ルッド君並みの漆黒気配を出しながら俺の背中からぬーっと喋り掛けて来たエリクさん。
 彼の左手には雪で作られたおにぎりがある。

「そ、そうっすか、俺は遠慮しておきますけど」
 
 俺はエリクさんと距離を取った。
 エリクさんは残念そうな表情をみせ、いつの間にか作り上げた雪のおにぎりを頬張り出した。

「イッツデリシャスですね。 この冷たさ、まるでアリアさんの視線の様です」

 うっとりとしながら解説をするエリクさんだ。
 一応、あんたの目の前にそのアリアさんのひい婆さんっつーか、魂自体は目の前にあるんですが?

「うーむ、確かに私のひ孫は冷徹さを持っておるのぉ、否定できんわい」

 堂々とひ孫が悪く言われてるんですが良いんですか!?
 
「うっ、くっ、アイタタタタ、お腹が痛くなってきました」

 雪のおにぎりにあたったんだろ。
 全く、お腹抑えてうずくまってもどうしようも出来ん。
 事は無いが。

『ほーれほれほれ、だから雪を食スノーはダメと言ったんじゃい』

 その前にドヤ顔でアホな事を抜かしおるこの爺さんをどうにか出来んだろうか?

「ふぁっふぁっふぁっ! 若い内は何でも試すのが良いんじゃよ」

 アリナさんがエリクさんを肯定すると彼に『異常治癒(キュア)』を施した。
 優しい光がエリクさんを包み込み、暫くすると彼はゆっくりと立ち上がった。
 
「あ、有難う御座います。 流石アリアさんのひいお婆様ですね!」
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