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1章
87話
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「魔族なのに心配し過ぎだよ、もし賢神の石を持つダストが現れても今の私の力ならぶっとばしちゃうんだから! カイル達も居るんだし大丈夫だよ」
ルッカの言い分は間違ってるとも言い難い。
魔聖石の力により強化された自分。
それに闘神の斧に聖神の杖。
例え相手がアーティファクトと言えど此方の陣営には2つのアーティファクトがあるのだから負ける要素は誰だって、特に強大な力を手にしたばかりの者には考えられないだろう。
『だから、賢神の石にはアタシも知らない隠された能力があるかもしれないって』
「でも、絶対じゃないでよ? 私だって、カイルが偶然闘神の斧を手にしたり、ルミリナちゃんが実は聖女の血を引いていて聖神の杖ってアーティファクトを手に出来たりして強くなったの悔しく思ってたんだから! 皆みたいに強い力を手に出来てやっと戦果をあげれる事が出来る様になったのに指を咥えて見てる事しか出来ないなんて私には出来ない」
少なくとも自分はセザール学園でナンバー2になれるだけの努力をして来た以上、自分より上を行くカイルは兎も角、別段自分よりも努力をしているとは思えないルミリナに対して言う権利はあるだろうとルッカは思うし、その事だけに関してはルミナスも同意した様で10秒ほどの間沈黙を続けた。
『貴女の気持ちも分からなくないけど戦果の焦り過ぎよ。 それはあたしも同じ。 あの時戦果を焦って撤退の判断が遅れてしまった結果肉体を失う事になった』
ルミナスは、自分が選んだルッカに対しやはり自分と何処か似ていると痛感しながらゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「だけど、今ここで頑張れなければいつまで経ってもカイルに追いつく事は出来ないよ」
ルッカの言葉から力が失われている。
『分かったわ。 あたしが確率が低いと見積もった以上貴女の好きにしなさい。 けど、もしもダストが現れた時はすぐに逃げなさい。 アタシも貴女も何があるか保証できないわよ』
ルッカの意思に対し、ルミナスが折れた様だ。
「へへ、ありがとっ、私頑張るから」
ルッカは速度を上げ、カイル達を追い抜き永氷の洞窟へ向かった。
―スルーフ一向―
氷の女王により、勇神の剣が眠っている場所に案内された魔勇将スルーフ達。
彼等は肌を突き刺す様な凍て付く冷気を放つ空間をゆっくりと進んでいた。
地上と違い、地下の通路は狭く人間二人がギリギリ入れる位の幅しかなかった。
隠し通路と言う事からか、壁に時折設置されている照明球がほのかに光を放つのみで全体的に薄暗い空間となっている。
「此方で御座います」
10分程歩いた所で行き止まりに差し掛かったが、やはり隠しスイッチを押す事でその先にある部屋の入り口が開かれた。
「あれが勇神の剣でござるか!」
一般的な家庭のリビング程の広さがある部屋の中央には透き通る氷の中に封印された美しき剣の姿があった。
勇神の剣は刃を天井に向け、柄を地面に向け丁度スルーフ達の正面となる位置で出迎えている。
ぱっと見刃の長さは90cm程で5cm程の太さで概ねロングソードに近い大きさと形をしている。
永氷の洞窟に封印されているだけの事はあり刀身からは淡い青色の光をほのかに放っている。
「へぇ、綺麗じゃねぇか!」
その美しい刀身に対しダストは見惚れている。
「そうか、俺には分からん」
しかし、ルカンはあまり興味を示さなかった。
『汝等が我を求むものか』
勇神の剣が、スルーフ達に対して脳に直接語り掛けた。
「賢神の石と同じ奴か!」
ダストが、二人に伝える様に叫ぶ。
『如何にも。 我が求むは勇気也』
勇神の剣の言葉に対し、スルーフが目を見開きながら勇神の剣の美しき刀身を見据える。
一方、ルカンは自分があるのは闘気だと言わんばかりに勇神の剣に対する興味を退けるかの様にその視線を外した。
『汝の心意気しかと心得た。 だが、我を求めるモノの気配はまだあろう』
勇神の剣の言葉に対し、疑問に思った3人はお互いを見合わせる。
「ま、まさかルッセルの野郎!」
その存在に対し、ダストが真っ先に浮かべたのは永年のライバル、ルッセルフォワードだ。
しかし、言葉にしてから思い返すも彼の気質は闘気であり勇気ではない。
では誰が? ダストは思い返してみるが全く心当たりが浮かばなかった。
『汝等が人間と対立しておる事は存じておる。 我も元は人間であるが故に人間達にも機会を与えねば公平では無かろう』
「なっ、それなら先に辿り着いた俺様達が!」
『それは我が決める事だ。 汝らはこの洞窟の魔物は味方であろう。 だが、人間共は敵である。 ここへ辿り着く事も自力でやらねばなかろう』
確かに勇神の剣の言う通り、魔物を討伐しなくても良い事、隠し通路の場所を教えられた事は大きなアドバンテージだ。
それでも尚、ダストは勇神の剣に対して抗議しようとするが、
「貴殿の仰る事は的を得てるでござろう」
スルーフはどこぞの世界に武士道なるものが存在する事を思い返し、勇神の剣がそれを求めているのでは無いかと感じ取った。
『時が来るまで暫し休まれるが良い』
勇神の剣が氷の女王に合図を送る。
それに応えた氷の女王が部屋の隅に簡易シェルターを召喚しスルーフ達を中へ案内した。
ルッカの言い分は間違ってるとも言い難い。
魔聖石の力により強化された自分。
それに闘神の斧に聖神の杖。
例え相手がアーティファクトと言えど此方の陣営には2つのアーティファクトがあるのだから負ける要素は誰だって、特に強大な力を手にしたばかりの者には考えられないだろう。
『だから、賢神の石にはアタシも知らない隠された能力があるかもしれないって』
「でも、絶対じゃないでよ? 私だって、カイルが偶然闘神の斧を手にしたり、ルミリナちゃんが実は聖女の血を引いていて聖神の杖ってアーティファクトを手に出来たりして強くなったの悔しく思ってたんだから! 皆みたいに強い力を手に出来てやっと戦果をあげれる事が出来る様になったのに指を咥えて見てる事しか出来ないなんて私には出来ない」
少なくとも自分はセザール学園でナンバー2になれるだけの努力をして来た以上、自分より上を行くカイルは兎も角、別段自分よりも努力をしているとは思えないルミリナに対して言う権利はあるだろうとルッカは思うし、その事だけに関してはルミナスも同意した様で10秒ほどの間沈黙を続けた。
『貴女の気持ちも分からなくないけど戦果の焦り過ぎよ。 それはあたしも同じ。 あの時戦果を焦って撤退の判断が遅れてしまった結果肉体を失う事になった』
ルミナスは、自分が選んだルッカに対しやはり自分と何処か似ていると痛感しながらゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「だけど、今ここで頑張れなければいつまで経ってもカイルに追いつく事は出来ないよ」
ルッカの言葉から力が失われている。
『分かったわ。 あたしが確率が低いと見積もった以上貴女の好きにしなさい。 けど、もしもダストが現れた時はすぐに逃げなさい。 アタシも貴女も何があるか保証できないわよ』
ルッカの意思に対し、ルミナスが折れた様だ。
「へへ、ありがとっ、私頑張るから」
ルッカは速度を上げ、カイル達を追い抜き永氷の洞窟へ向かった。
―スルーフ一向―
氷の女王により、勇神の剣が眠っている場所に案内された魔勇将スルーフ達。
彼等は肌を突き刺す様な凍て付く冷気を放つ空間をゆっくりと進んでいた。
地上と違い、地下の通路は狭く人間二人がギリギリ入れる位の幅しかなかった。
隠し通路と言う事からか、壁に時折設置されている照明球がほのかに光を放つのみで全体的に薄暗い空間となっている。
「此方で御座います」
10分程歩いた所で行き止まりに差し掛かったが、やはり隠しスイッチを押す事でその先にある部屋の入り口が開かれた。
「あれが勇神の剣でござるか!」
一般的な家庭のリビング程の広さがある部屋の中央には透き通る氷の中に封印された美しき剣の姿があった。
勇神の剣は刃を天井に向け、柄を地面に向け丁度スルーフ達の正面となる位置で出迎えている。
ぱっと見刃の長さは90cm程で5cm程の太さで概ねロングソードに近い大きさと形をしている。
永氷の洞窟に封印されているだけの事はあり刀身からは淡い青色の光をほのかに放っている。
「へぇ、綺麗じゃねぇか!」
その美しい刀身に対しダストは見惚れている。
「そうか、俺には分からん」
しかし、ルカンはあまり興味を示さなかった。
『汝等が我を求むものか』
勇神の剣が、スルーフ達に対して脳に直接語り掛けた。
「賢神の石と同じ奴か!」
ダストが、二人に伝える様に叫ぶ。
『如何にも。 我が求むは勇気也』
勇神の剣の言葉に対し、スルーフが目を見開きながら勇神の剣の美しき刀身を見据える。
一方、ルカンは自分があるのは闘気だと言わんばかりに勇神の剣に対する興味を退けるかの様にその視線を外した。
『汝の心意気しかと心得た。 だが、我を求めるモノの気配はまだあろう』
勇神の剣の言葉に対し、疑問に思った3人はお互いを見合わせる。
「ま、まさかルッセルの野郎!」
その存在に対し、ダストが真っ先に浮かべたのは永年のライバル、ルッセルフォワードだ。
しかし、言葉にしてから思い返すも彼の気質は闘気であり勇気ではない。
では誰が? ダストは思い返してみるが全く心当たりが浮かばなかった。
『汝等が人間と対立しておる事は存じておる。 我も元は人間であるが故に人間達にも機会を与えねば公平では無かろう』
「なっ、それなら先に辿り着いた俺様達が!」
『それは我が決める事だ。 汝らはこの洞窟の魔物は味方であろう。 だが、人間共は敵である。 ここへ辿り着く事も自力でやらねばなかろう』
確かに勇神の剣の言う通り、魔物を討伐しなくても良い事、隠し通路の場所を教えられた事は大きなアドバンテージだ。
それでも尚、ダストは勇神の剣に対して抗議しようとするが、
「貴殿の仰る事は的を得てるでござろう」
スルーフはどこぞの世界に武士道なるものが存在する事を思い返し、勇神の剣がそれを求めているのでは無いかと感じ取った。
『時が来るまで暫し休まれるが良い』
勇神の剣が氷の女王に合図を送る。
それに応えた氷の女王が部屋の隅に簡易シェルターを召喚しスルーフ達を中へ案内した。
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