103 / 105
1章
94話
しおりを挟む
ルミナスが、エリク、セフィア、アリナに告げる。
恐らくカイルとルッセルにも聞かせていただろう。
ルミナスの問い掛けに対し3人は黙ってうなずくしか無かった。
仮にルッカに掛けている拘束(バインド)を解いたとしても、魔聖ルッカとダストの2人を相手にして勝つのは不可能どころか自分達の命が危うくなってしまう。
良くてもカイルとルッセルを置き去りにして、転移魔法で逃げる事しか出来ないだろう。
ダストもまた、完全回復しておらず賢神の石の力を使っている状況下で3人を倒す事は不可能だろう。
ルッカの拘束(バインド)を解いても、エリナとエリクの手により何度でも拘束(バインド)を掛け続け最終的にはダストの魔力が先に尽きてしまうはずだ。
「はっはっは、残念だったな! この娘は魔王城に転移させて貰うぜ!」
ダストがルッカに対し転移魔法を発動させ、魔王城へ転移させた。
続いて賢神の石が地下で戦っているルカンとスルーフに撤退の指示を出した。
程無くして、地下よりルカンとスルーフが戻って来た。
同時にカイルとルッセルの声も聞こえた。
彼等の姿を見付けた3人は、カイル達との合流を見込みほぼ反射的に攻撃を仕掛けるが、それは想定していたかの如く勇神の剣を使い鮮やかに全ての攻撃を受け流した。
3人は、それでもカイル達と挟撃が取れてる状況と判断し追撃を試みるが、やはり全ての攻撃を受け流される。
「けーっけっけ。 ばーーーーーかじゃねぇの~? 俺様達はとっとと魔王城に帰っちまうぜ、あばよ」
ダストは『瞬間移動(テレポート)』を使い、ルカンとスルーフに合流し転移魔法を発動させた。
誰も彼もが、転移魔法が放つ光がダスト達を包み込み姿を消す様を虚しく見届ける事しか出来なかった。
「クソッ! 畜生、ふざけやがって!!!!」
ルッカが誘拐されてしまった事か、自分の力が誰にも通用しなかった事か。
それは本人にしか分からないがカイルが珍しく取り乱し、両ひざを地面に付きながら凍り付いている地面を何度も何度も拳で叩いた。
誰もがカイルの抱く心境をそれと無く分かる手前、誰一人として彼を止める者は居なかった。
「まだ終わった訳じゃないぞい」
ある程度カイルの気が済んだと判断したところで、アリナがカイルにそっと近寄り優しく肩に手を添えた。
「すみません」
カイルは細々とした声でゆっくりと立ち上がった。
「ワシ等かて賢神の石の前では無力だったんじゃ。 お主一人が謝る事じゃないぞい」
「全てはリーダーである私が」
アリナに続いてカイルをなだめ様としたルッセルであったが、
「お主もリーダーだからと一人で背負うでない。 その内潰れるぞい、今回の事は仕方が無いと諦める事しか無かろう。 人間100%予想をする事は不可能じゃからのぉ。 次どうするかを考えるしかあるまい」
アリナに止められ、ルッセルが諭されてしまう。
「ははは、これしきの事で挫ける私ではありませんよ」
強がるルッセルであるが。
「お主、顔に出てるぞい。 声のトーンも適切な感情に比べて1音低くなっておるぞ。 リーダーである以上仲間の前で強く振舞うのも大事じゃが、一人になった後はしっかり発散しておきなされ」
再びアリナに諭されてしまう。
「マスター? 私ならいつでも大丈夫だから」
ルッセルの耳元で囁くセフィアだ。
「お主が嫌っている訳で無ければ、そこの姉さんの為にも応えてやるといいぞい。 なぁに、証拠が無ければどうという事は無い事じゃ。 生死が掛かっている状況下である以上人間の生存本能として正しい事じゃからのぉ」
真面目に言うアリナだ。
これも年功上の知識であると推察が付く。
「そこのとんがり帽子。 お主もセリカとやらに泣き付けばそれ位はしてくれるじゃろうが。 お主はそこまでせんでもいつも通りで十分じゃろう。 切り札は残しておくが良いぞい」
「ハハハ、その通りですよ、僕は問題ありませんよ」
アリナの言葉に対しエリクもまた強がって見せる。
「かと言って無傷では無い事は覚えた方がいいぞい。 精神へのダメージは自分の力だけで気付くのは難しいからのぉ」
自分の事に対しやっぱり見抜かれていた、とエリクは苦笑を見せた。
「カイルよ。 ワシの見立てではお主は真面目過ぎじゃ。 それに迷いも深いじゃろう、止めておけとしかワシからは言えん。 どうしてもにしても店を使えとしか言えんぞい」
エリナは一旦言葉を止め、カイルの様子を伺った。
カイルは、何のアクションも起こさないまま黙ってアリナを見据えたままだった。
「万が一ワシの見立てが間違っていたならば言いなされ。 ワシの方からひ孫達なりセリカとやら辺りに打診しておくぞい。 くれぐれも、中途半端な相手にだけは手を出すんじゃないぞい。 お主の傷を深めるだけじゃ」
「大丈夫です、分かっています」
カイルはそっと瞳を閉じ静かな返事をした。
「帰るぞい、転移魔法は任せたわい」
アリナさんの合図を受け、エリクが転移魔法を発動させた。
カイル達は勇神の剣を手に入れられず、賢神の石の力により操られたルッカを魔族軍に奪われる酷い結末の中ヴァイスリッターへ帰還した。
恐らくカイルとルッセルにも聞かせていただろう。
ルミナスの問い掛けに対し3人は黙ってうなずくしか無かった。
仮にルッカに掛けている拘束(バインド)を解いたとしても、魔聖ルッカとダストの2人を相手にして勝つのは不可能どころか自分達の命が危うくなってしまう。
良くてもカイルとルッセルを置き去りにして、転移魔法で逃げる事しか出来ないだろう。
ダストもまた、完全回復しておらず賢神の石の力を使っている状況下で3人を倒す事は不可能だろう。
ルッカの拘束(バインド)を解いても、エリナとエリクの手により何度でも拘束(バインド)を掛け続け最終的にはダストの魔力が先に尽きてしまうはずだ。
「はっはっは、残念だったな! この娘は魔王城に転移させて貰うぜ!」
ダストがルッカに対し転移魔法を発動させ、魔王城へ転移させた。
続いて賢神の石が地下で戦っているルカンとスルーフに撤退の指示を出した。
程無くして、地下よりルカンとスルーフが戻って来た。
同時にカイルとルッセルの声も聞こえた。
彼等の姿を見付けた3人は、カイル達との合流を見込みほぼ反射的に攻撃を仕掛けるが、それは想定していたかの如く勇神の剣を使い鮮やかに全ての攻撃を受け流した。
3人は、それでもカイル達と挟撃が取れてる状況と判断し追撃を試みるが、やはり全ての攻撃を受け流される。
「けーっけっけ。 ばーーーーーかじゃねぇの~? 俺様達はとっとと魔王城に帰っちまうぜ、あばよ」
ダストは『瞬間移動(テレポート)』を使い、ルカンとスルーフに合流し転移魔法を発動させた。
誰も彼もが、転移魔法が放つ光がダスト達を包み込み姿を消す様を虚しく見届ける事しか出来なかった。
「クソッ! 畜生、ふざけやがって!!!!」
ルッカが誘拐されてしまった事か、自分の力が誰にも通用しなかった事か。
それは本人にしか分からないがカイルが珍しく取り乱し、両ひざを地面に付きながら凍り付いている地面を何度も何度も拳で叩いた。
誰もがカイルの抱く心境をそれと無く分かる手前、誰一人として彼を止める者は居なかった。
「まだ終わった訳じゃないぞい」
ある程度カイルの気が済んだと判断したところで、アリナがカイルにそっと近寄り優しく肩に手を添えた。
「すみません」
カイルは細々とした声でゆっくりと立ち上がった。
「ワシ等かて賢神の石の前では無力だったんじゃ。 お主一人が謝る事じゃないぞい」
「全てはリーダーである私が」
アリナに続いてカイルをなだめ様としたルッセルであったが、
「お主もリーダーだからと一人で背負うでない。 その内潰れるぞい、今回の事は仕方が無いと諦める事しか無かろう。 人間100%予想をする事は不可能じゃからのぉ。 次どうするかを考えるしかあるまい」
アリナに止められ、ルッセルが諭されてしまう。
「ははは、これしきの事で挫ける私ではありませんよ」
強がるルッセルであるが。
「お主、顔に出てるぞい。 声のトーンも適切な感情に比べて1音低くなっておるぞ。 リーダーである以上仲間の前で強く振舞うのも大事じゃが、一人になった後はしっかり発散しておきなされ」
再びアリナに諭されてしまう。
「マスター? 私ならいつでも大丈夫だから」
ルッセルの耳元で囁くセフィアだ。
「お主が嫌っている訳で無ければ、そこの姉さんの為にも応えてやるといいぞい。 なぁに、証拠が無ければどうという事は無い事じゃ。 生死が掛かっている状況下である以上人間の生存本能として正しい事じゃからのぉ」
真面目に言うアリナだ。
これも年功上の知識であると推察が付く。
「そこのとんがり帽子。 お主もセリカとやらに泣き付けばそれ位はしてくれるじゃろうが。 お主はそこまでせんでもいつも通りで十分じゃろう。 切り札は残しておくが良いぞい」
「ハハハ、その通りですよ、僕は問題ありませんよ」
アリナの言葉に対しエリクもまた強がって見せる。
「かと言って無傷では無い事は覚えた方がいいぞい。 精神へのダメージは自分の力だけで気付くのは難しいからのぉ」
自分の事に対しやっぱり見抜かれていた、とエリクは苦笑を見せた。
「カイルよ。 ワシの見立てではお主は真面目過ぎじゃ。 それに迷いも深いじゃろう、止めておけとしかワシからは言えん。 どうしてもにしても店を使えとしか言えんぞい」
エリナは一旦言葉を止め、カイルの様子を伺った。
カイルは、何のアクションも起こさないまま黙ってアリナを見据えたままだった。
「万が一ワシの見立てが間違っていたならば言いなされ。 ワシの方からひ孫達なりセリカとやら辺りに打診しておくぞい。 くれぐれも、中途半端な相手にだけは手を出すんじゃないぞい。 お主の傷を深めるだけじゃ」
「大丈夫です、分かっています」
カイルはそっと瞳を閉じ静かな返事をした。
「帰るぞい、転移魔法は任せたわい」
アリナさんの合図を受け、エリクが転移魔法を発動させた。
カイル達は勇神の剣を手に入れられず、賢神の石の力により操られたルッカを魔族軍に奪われる酷い結末の中ヴァイスリッターへ帰還した。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる