AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

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1章「おっさん田中太郎悪役令嬢に転生」

4話「いざゆかんレオナの研究室」

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「うぅっ、大丈夫ですから」

 ショタっ子は薄っすらと涙が見える目の頭を抑えながら、ゆっくりと引き出しの中から出て床に降り立った。
 おい、お前、何で鼻血を出してやがる?

「その左手に持ってるモノは何なのだ?」
「そ、その、エヘヘ、ヒミツですよ、ヲトメにはヒミツが沢山あるのは当然ですよぉ?」

 手に持っていたモノを慌てて背中に隠すショタっ子きゅん。
 俺の目が確かなら、前世の肉体なら兎も角、ゲームの無い世界で14歳と輝く肉体が持つ誇り高き視力が正しければ。

 ショタっ子くーん? なーーーーんでチミは、表紙で上半身裸の男と男が抱き合ってる本を持ってるのかなぁ?
 お姉ちゃん怒らないから、詳しく教えて欲しいなぁ?
 チミの持ってる本はお姉ちゃんが知ってる世界ではボー○ズ・○ブってジャンルの本なんだよぉ?

 10歳の少年が持ってて良い本じゃありません事よ?
 10歳の少女でも持っていてもいけません事よ?

「オメー男だろうが」

 色々言いたい事はあったが、いい加減母上様に索敵されるだろうから仕方無く一言で収める事とした。

「はむぅ、そうですけどぉ、良いじゃないですかぁぁぁ、異世界でくらぃぃぃぃ」

 ショタっ子クンが、ハンカチでもあろうものなら噛みながら泣きそうな勢いで言う。
 ああもう、疲れた、めんどうだ。
 細かい事は諦めよう。

「ああ、もう分かった、ショタっ子クンの名前は?」

 俺はがっくりとうなだれ、ジト目でショタっ子クンを見据える。

「よくぞ聞いてくれましたお姉ちゃん! 我が名はレオナルト・ホフマンさっ」

 右手を天にかざし、瞳を輝かせ神々しく自分の名を告げるレオナルトだ。
 さてはコイツ、多重人格入ってるか?
 
「そう、私はルチーナ・ファルタジナよ」

 自分の名前を名乗り返し、握手くらいはしておこうと俺はレオナルトに手を差し出した。

「はい、宜しくお願いします、田中太郎お姉ちゃん!」

 それにこたえ、レオナルトも手を差し出し握手が成立する。
 だがッ。
 おいオメーふざけんなっ! 何で俺の前世の名前を言いやがるっ! しかも結構デカい声でっ! ガッ! やべぇ、遠くから足音が聞こえるぞ!

「おい、一旦引き出しに戻れ!」

 危険を探知した俺は強引にレオナルトを頭から机の引き出しに捻じ込み、引き出しを閉める。
 奴が出てこない事を確認、俺はベッドの中にダイブ、布団の中に入りLet’s TANUKINEIRI!
 数秒後、ノックの音が聞こえドアが開かれる音がする。

「ルチーナちゃん? 入りますわよ?」

 母上の声だ。
 あぶねぇ、ギリギリセーフだ。

「野蛮な声が聞こえたんだけど、どうしたのかしら?」

 母上が心配そうな声を出している。
 多分部屋の中を見渡していると思う。

「返事が無いわねぇ? あら? ルチーナちゃん? お休みだったのね? ごめんなさいね、今日はお疲れだったわねぇ? それじゃお母さんは部屋に戻りますよ」

 どうやら長い独り言を言って私の部屋から去ったみたいだ。
 ふぅ、ミッションNo.1「TANUKINEIRI」は無事成功したみたいだ。
 成功報酬は、後でクリスティーネから請求しておくとしよう。
 
「もう大丈夫よ」

 母上の襲撃(しゅうげき)を無事やり過ごした俺は、再び机の引き出しを開けレオナルトをよびだす。

「あうあうあうーお姉ちゃん乱暴ですよぅ、そう言うシチュエーションもあるみたいですけどぉ」

 まんざらでも無いと言いたげな空気を出すレオナルト君。
 生憎俺は全く持って興味が無い。
 だが、チミがぴっちぴちのぎゃるであるならば考えてやらん事も無いぞ。
 
「ところで、レオナの研究室は私も入れるのかしら?」
「うーんと、えーっと、そのぉ、お姉ちゃんが入りたいって言うなら仕方ないかなぁ?」

 だーーーーっ、一々モジモジすんな、一々色目使うな男の癖にっ!
  しかも俺の前世の名前知ってるってこたぁ、俺の中身が男って知ってるだろうが!

 そして俺の脳を駆け巡る1冊の本。
 B○Y’S L○VEと言う名のジャンルの本を持つSYOUNEN!
 嗚呼まさか、真坂、魔逆、馬酒ッ! つまりはそう言う事なのか?
 チミはあれがこれでそーあるが故に私に色目を使っていると言う事なのかッ!
 
 異世界に
 辿り着いたら
 ホ○対峙
 
 ルチーナ魂の川柳ここにあり。
 
「ならば入らせて頂きますわよ」

 気になる事は沢山あるが、細かい事は置いて今は母上様に俺の声が聞こえない場所を確保するのが先決だ。

「もう、お姉ちゃんは強引なんだからッ」
 
 レオナが何か言ってるが今気にするのは止めよう。
 俺は机の引き出しの中に何のためらいも無く入った。
 そう言えば、引き出しの底を踏んだ瞬間バキバキバキーって音がして素敵な木片になる事全く考えて無かったな。
 
「ばきばきばきー」
「なっ!」

 やべぇ!? やっぱりレオナが行けると思ったが実際はダメだったパターンか!?
 チィィィッ、机の引き出しをぶっ壊した事を母上に報告しなければならん、クソッまためんどくさい説教タイムが待ってやがんのかっ。

「ばきばきばきー」

 何だと? 片足しか突っ込んでねぇのにまた壊れる音が!?
 
「ばきばきばきー」

 うん? 冷静に聞いてみるとこれ木材が割れた音じゃなくて人間の声か? しかも男の子の。
 確か俺の隣に男の子が居たよな?
 
「ばきばきばきー」
「お前かよ!」

 全く、紛らわしい真似するんじゃねぇよ、一瞬心臓が止まったかと思ったわ。
 
「ばきばきばきー!」
「もうええっちゅうねん! てか何強調してんねん!」

 嗚呼、ハリセンがあるならば今すぐレオナの後頭部目掛けて一発ぶちかましてやりたいところだ。

「だってぇ、お姉ちゃんが言って欲しそうだったんだもん」

 少女になるな、しかもぶりっ子すんなッ。

「おっしゃる通りお笑い的には美味しいでしょう。 ですが、私お笑いやってる訳じゃなくてよ?」

 ハァ、男の口調で言っても効果無さそうだから仕方ない、令嬢っぽく言ってみるか。

「へへっ、着いたよッ!」

 と思ったら何事も無くストン、と音を立て研究室の地面に着地したレオナだった。
 呆れかえった俺は、額に手を当てながらがっくりとうなだれたのであった。
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