AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

文字の大きさ
22 / 46
2章「ゲームで悪行?」

21話

しおりを挟む
「いや、俺はステラ王女を捕えてきてだな」

 サナリスにステラ王女の存在を教えると、にっこにこ笑顔だったサナリスの表情が。
 嬉しそうな瞳が段々と小さくなっていき、口元の笑顔が消滅。
 ステラ王女と目が合った瞬間、恐怖に怯える表情を見せる。
 どだだだだだだ!!!!
 と壁に向かい派手な音を立てダッシュ。
 あまりにも慌て過ぎたのか、壁に辿り着いても止まる事が出来ず、左の壁にゴツン。
 頭を抱えながら疾走し右側の壁にゴツン、頭を2度打ちふらふらくらくらしながら部屋の角に辿りつくと頭を抱えしゃがみ込み、ガタガタと小刻みに身体を震わせた。

「はわわわわ、あわわわわ。許してください何でもします、今日のカレーライスの福神漬けも人参も玉ねぎもじゃがいもも全部あげますから許してくださいいいいいいいっ」

 いや、肉はあげないのかよ。

「まぁ、HPの25倍の攻撃を受けたならそうなるわな。俺はステラ王女を部屋に連れていく」

 俺は、ステラ王女をお姫様抱っこしたまま地下室へ向かう。
 道中、魔族達に見付かり、とーーーーてつもない哀れみに満ちた視線を四方八方から受け、何をどうあがいても大レ○魔王ルチーナ様の汚名を被される事は免れなくなる。
 うるさい、うるさい、うるさーーーーい。
 汚名は挽回するもんじゃボケェッ! この程度の汚名、ルチーナ様にとっては蚊に刺されるよりも痛く無いわっっっ!!!!
 汚名などナンボでも来い! 今の俺は魔王だからなあぁぁぁぁぁっ!!!!
 
 どうしようもなくなった俺は完全に開き直ったのである。
 地下に辿り着いた俺は、比較的よろしい部屋にステラ王女を案内しここに軟禁されてもらう事にした。
 ステラ王女はもっとひどい部屋を案内されると想像していたのか少々驚いていたが、幾ら囚われの身とは言え愛しきステラたんを劣悪な環境に於いてしまうのは心が痛んでしまう。
 
 ステラ王女の案内を終えた俺はサナリスが居る部屋へ戻った。

「あうううううっ、ご飯も半分差し上げますから何卒あの魔法だけは勘弁してくださいぃぃぃぃ」

 サナリスは、部屋の角でまだ震えていたが、肉は何が何でも譲らないつもりだ。

「戻ったで」

 俺はサナリスの肩をポンと叩く。

「わひっ! はわわわっ! ひいいいいいいぃぃぃぃぃッ」

 俺をステラ王女と勘違いしたサナリスは、目を丸くし、またしても壁にゴツン。
 走って逃げれないと悟ったサナリスは、頭を押さえながら跳躍、力加減を間違え天井に頭をゴツン。
 ずどん、と派手な音を立て地面に落下し頭に大きなたんこぶを作り、またしても地面でうずくまる。

「いや、俺やで?」
「うぅぅぅ、ルチーナ様、怖かったですよぉぉぉぉ」

 唇を噛み締め、瞳を涙で溢れさせながら俺を見つめるサナリスだ。
 ぐぬぬ、可愛い、ヒジョーに可愛い。
 こんな可愛い女の子を目の前に、どうする、どうすればいい?
 そうだ、サナリスの頭をナデナデしてあげよう。
 うむ、我ながら完璧な作戦じゃ!
 名案を思いつき、実行しようとした刹那。

「ルチーナ様! 御報こ」

 先の魔族が、改めて報告に来た様だ。
 彼の声に反応し、俺は振り向く。
 可愛い仕草を見せるサナリスを前にした現在の表情は、ひじょーに、にやついている。
 そんなにやついた顔を見せている俺の前には頭を押さえうずくまり、涙を流しているサナリスだ。
 
 さて、この状況を見たモノはどう思うだろうか?

「失礼いたしまいた。 ルチーナ様、サナリス様に対する厳罰の最中でありましたね」
 
 魔族は丁重なお辞儀をし、トトトトト、と音を立て、立ち去った。
 そう、誰もがこの様な感想を抱くだろう。
 女の子を泣かせるまで、否、泣いてもいじめ倒すドSでド畜生だとっ!
 だーーーーーっこんちくしょう! これで俺は大レ○魔王ルチーナからッ大レ○ドS魔王ルチーナになってしまったぢゃないかぁぁぁぁぁぁっ!
 くぅ……。
 ついさっき汚名など、どんと来いと思っていたのだが、実際汚名が増えてしまうと強い抵抗を感じてしまった。
 
「はぁ、サナリス? 次の作戦立てるで?」
「うっぐ。はい、分かりました」

 サナリスは、涙をこらえながら承諾した。
 くそっ、これはこれで可愛いのが何とも憎いもんや。
 俺とサナリスは、改めて人間達の様子を伺う事にした。
 そう言えば、勇者は王女の手によって消し炭にされたけどこのゲーム終わってへんな?
 新たな勇者が生まれるか、あの状況から蘇生されるかのどっちかやろか?
 サナリスはんが、25倍オーバーキルされても蘇生は成功したとなると。

「教会やな」

 水晶玉が映し出した場面は教会だった。
 蓋の開かれた棺の前で神父様が何やら念じている。
 で、何かの儀式らしきものが終わると棺の中から何者かがむくりと起き上がる。
 
「エリウッド様☆」

 サリナスの言う通り、勇者エリウッドが神父の手により蘇生され棺の中から起き上がったみたいだ。
 俺の記憶が正しければ、ステラ王女の手により跡形も無くなったはずだが。
 人間側の蘇生技術も驚かされるモノがあるな。
 しかし、感心している場合じゃない。
 勇者を討伐してもこのゲームが終わらないとなれば、いや、あれはパーティキル扱いだからノーカウントかもしれない。
 つまり、俺達魔族側の誰かがエリウッドを倒さなければならないのか?
 いや、王国そのものを破壊してしまえば勇者は復活出来なくなるハズだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...