AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

文字の大きさ
30 / 46
3章「こんなはずでは?」

28話

しおりを挟む
 魔王ルチーナを討伐し、無事元の世界に戻った俺達はレオナの研究室にある1室で、室内に配置されたテーブルの周囲に配備された椅子に俺達は座った。
 
「ルチーナお姉ちゃんお帰り☆」
「た、ただいまですわ」

 にこやかな笑顔で俺達を迎えるレオナだが、何とも言い難い結末を味わった俺は微妙な反応しか返せなかった。

「HAHAHA。我々の愛が勝利したのSA!」

 俺を見つめ、サムズアップを見せきらりと歯を輝かせるエリウッド。
 そら、アンタは勇者で勝利条件満たしただろーが、俺は討伐されたってか、討伐されなきゃゲームおわれなかったけどさぁ。
 まぁでも、アーマーパージ変態野郎と比べれば、この程度の空気を読めない位可愛いものやな。

「素晴らしいゲームで御座いましたわ。凄く楽しゅう御座いました」

 天使の様な笑顔を見せるステラお嬢様。
 そりゃーあれだけチート染みた能力を持てば楽しいでしょと言うツッコミよりもその笑顔に魅了される俺ルチーナである。

「おーほっほ。レオナが作ったならば当然な事ですわ」
 
 思わず、デヘヘヘヘと笑ってしまいそうになったが、ルチーナ・ファルタジナは高貴な悪役令嬢である。
 しかし、そう考えると魔王ルチーナはすっげー気楽だったと思い知らされる。
 
「えへへ。凄いでしょ? エリウッドお兄さん☆」

 愛くるしい笑顔を見せながらエリウッドに擦り寄るエリウッド。

「YES。ユーのゲームは最高だったNE、次のゲームが楽しみSA」

 エリウッドは俺に対し申し訳なさそうな表情を見せながら、擦り寄って来たレオナを手繰り寄せ膝の上に座らせた。
 こうやって見ると、仲の良い兄弟にみえるのだが、彼等は惚れ薬の効果があるが故、最悪あんな事やこんな事になる可能性を秘めているが。
 その時ツッコミを入れる為ハリセンの一つも用意して置きたい物だ。
 出来ればオリハルコン製の。
 現実世界ではありえない金属&そんな貴重な金属を加工してハリセンを作るもの好きがどこにいるんだよ!
 と心の中で一人ツッコミを入れ、みんなにバレない様一人でクスッと笑って見せる。
 
「サナリスさんにお別れの言葉の一つも言えなかったのは少しばかり心残りでありますわ」
「どなたで御座いましょうか?」
「ステラ嬢が魔法で迎撃した魔族ですわ」
「あのお方ですか? わたくし、凄く手加減致しましたがあの様になってしまったのは申し訳無いと思います」

 ステラ嬢、手加減した魔法3発でゲーム内上位のHPを持つサナリスを消し飛ばしてるからなぁ。
 
「あはは、あの時は痛かったですけど、知らなかったなら仕方ありませんよ」

 と、聞き覚えのある女性の声だ。
 声の質から少なくともステラ嬢では無い。
 なんだ? レオナの奴変声能力のある発明でもしたのか?
 この状況で女性の声を出す意味は無いが、いや、いたずらなら有り得るな。
 
「レオナ君? 新しい発明の実験ですか?」
「んーそうだよ」

 俺がレオナに尋ねると、少考した後に返事をした。
 ん? 元の少年の声をしている、つまりレオナが変声をして居る訳では無い。
 となると後考えうるのは、まさか妹にこの場所がバレた!?
 チィッ! これはまずい事になったなっ! 妹の口から母上様に伝わってしまったらこの聖域が破壊されてしまう!
 俺は、どうやって妹を黙らせようか考えながら声の主へと視線を向ける。
 すると、そこには耳元よりもすこしばかり長めのセミショートヘアーの女の子。
 ふわふわとした薄緑色の髪をゆっくりとなびかせる女の子。
 つい先程まで俺が対峙していた女の子に良く似ている。
 そして極めつけは頭のてっぺんから左右1本ずつ生える魔族特有の角、少なくとも人間では無い。
 更に、背中をチラ見すればこれまた魔族特有の翼が生えている。
 これらから導き出された答えそれは我が妹では無く、

「さ、サナリス!? どうしてお前がここに!?!?」
 
 彼女は龍の冒険の中にいるキャラクターのはずだ。
 そんな彼女がこの世界にこれるとは。
 いや、さっきレオナが新しい発明の実験との問いを肯定していた。
 
「えへへ。ルチーナお姉ちゃんがさみしそうにしていたから、ゲームの中にいる住人をこの世界に呼び出せる装置を作ったんだ」
 
 何っ! 今から俺が相談しようとしたことを先手打ってやってくれただと!? 俺、レオナの事を見直したぞ!

「ほほほ。 やりますわね、レオナルト」

 やばい、涙をこらえるのがしんどいッ。
 最悪二度と再会出来ないと思っていたサナリスと再会出来たこの瞬間涙を流さずいつ流すのだ!
 しかし、しかしっ。俺は気高き悪役令嬢ルチーナ・ファルタジナッ幾ら感動的になっても涙を流す訳にはいかないッ!

「ルチーナ様ですか!? お会いしたくて仕方が無かったんです☆」

 サナリスは席を立ち、俺の隣に来るとめいいっぱい抱き着いて来た。
 俺は今にも溢れ出しそうな涙を必死にこらえながら、サナリスの頭をそっと撫でた。

「ふふっ、それはわたくしも同じでありますわ」
「人間の姿のルチーナ様も素敵ですね☆」

 サナリスの無邪気な言葉が心に響く。
 涙をこらえながら10秒程深呼吸をして、
 
「当然の事でありましてよ」
 
 細々と言葉を紡ぎ出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった俺

島風
ファンタジー
ブラック企業で過労死した男がいた。しかし、彼は転生し、ある貴族の侯爵令嬢として再び生を受けた。そして、成長につれて前世の記憶を取り戻した。俺様、クリスティーナ・ケーニスマルク公爵令嬢七歳。あれ? 何かおかしくないか? そう、俺様は性別がおかしかった。そして、王子様の婚約者に決まり、ここが前世ではやっていた乙女ゲームの世界であることがわかった。 自分が悪役令嬢になってしまっている。主人公がハッピーエンドになると死刑になり、バットエンドになるとやっぱり死刑・・・・・・あれ、そもそも俺様、男と結婚するの嫌なんだけど!! 破滅エンド以前に、結婚したくない!!! これは素晴らしい男性と結ばれるの事をひたすら回避しようとして・・・ドツボにハマっていく物語である。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

処理中です...