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3章「こんなはずでは?」
29話
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そこから30分程他、サナリスへの質問を中心に他愛のない話が続いた。
一通り質問を終え場が落ち着いたとこで俺はある事に気が付いた。
「皆さま、わたくしはある重要な事に気が付きましたわ」
「どうしたの? ルチーナお姉ちゃん?」
レオナが驚いた顔を見せる。
「このお話も既に6万文字を越え、終盤に差し掛かっています。このお話は、わたくし悪役令嬢ルチーナが悪行を記すお話のハズですが、ここに来るまでロクな悪行を致しておりません」
キリッとした表情で俺は説明するが、ステラ嬢以外まともに聞いている様には見えない。
「わたくしが行った事と言いましたら、正規ヒロインと王子様との婚約破棄、ゲーム内部での魔王を演じただけでしかありません。このお話が一般的な令嬢物のお話でしたら婚約破棄は重大事件でありますが、このお話はコメディに該当しています。残念ながら悪行としてのパワーは足りておりません!」
その当事者を前に力説する俺。人間としての品性を疑われても文句の一つも付けられない事を言っているが誰一人としてツッコミを入れる事無く、うんうんと頷くだけであった。
「えへへ、ルチーナおねぇちゃん? エリウッドお兄ちゃんとステラお姉ちゃんの事は僕の発明で何とかしたから大丈夫だよ☆」
「レオナ。感謝いたしてますわ」
「また何かあったら僕に任せてね☆」
自慢気に言うレオナだ。
常識的に考えたらありえないレベルの面倒ごとを僅か数十秒で発明する道具で解決してくれるのだから、流石は女神クリスティーネが寄越したチートキャラだけの事はある。
「龍の冒険で魔王を演じましたが、残念ながらわたくしは折角魔王になったにもかかわらず村の破壊すら行っておりません」
「ルチーナ様、王女様の誘拐は悪行に該当すると存じ上げます」
手を挙げ意見を述べたのはステラ嬢だ。
「ステラ嬢。魔王が王女様を誘拐するというのはRPGゲームであるならば定石中の定石で御座いますわ。そう、お腹がすいたらメロンパンを買って食べる程度の日常と変わらない誰が見ても当たり前中の当たり前の事でありまして、決してそれが悪行として認識される事はありません!」
「た、確かにそうですね」
目から鱗を零しながら相槌を打ったのはサナリスだ。
当のステラ嬢は首を傾げ、自分の考えと俺の言葉を脳内で吟味している様だった。
「もしも、一悪役令嬢に過ぎないキャラが王女様を誘拐し魔王に献上しようものなそれは立派な悪行で御座いますわ。しかしながら、悪役令嬢が一令嬢どころか王女様を誘拐など難易度SSSランクの偉業を成し遂げられるゲームをわたくしは知りませぬ」
「僕が作るから大丈夫だよ☆」
「レオナ。もしもその様なお話に需要がある事を存じる事がありましたら、その時は頼みますわ」
とは言ったものの、悪役令嬢が主人公でしかも王女様を誘拐するなんて破天荒なRPGに需要があるとは思えないが。
「前置きは終わりましてよ。皆様、これからわたくしが行う悪行について何かいい意見が御座いましたら述べてくださいまし」
俺が皆に尋ねると、 真っ先にステラ嬢が挙手した。
「ステラ嬢」
「メインヒロインへの嫌がらせは如何でしょうか?」
「つまり、わたくしがステラ嬢の靴の中にナメクジを入れたり、寝ているステラ嬢の額に肉と書けばよろしくて?」
いや、待てよ? この物語の主人公は俺であって、見てくれは女性だ。
女性主人公にとってのヒロインとなると? いや、ヒロインを調べてみたら女主人公と言う解説があった、だから。
俺は恐る恐るエリウッドへと視線を向ける。
「HAHAHA、ナメクジNE、Don’tこいNE!」
エリウッドが言う、どんと、の発音に違和感を覚えた。
これじゃ良いのか悪いのか分からないところだが、
「対象者が喜んでしまっては嫌がらせになりませんことよ」
「そうで御座います。もしもそれがルチーナ様による嫌がらせと想像致しましたらゾクゾクする気がします。身体の奥底から悦びの感情が湧いてくるかもしれません」
柔らかい笑顔を見せながら自分がM属性を持っていると暴露するステラ嬢。
いや、もしかして本人は何の悪意も無く言ってるかもしれないが。
「残念ながら、メインヒロインへの嫌がらせは却下ですわ。世間一般で考えたら嫌がらせとしても、わたくしが行う事で喜ばせてしまっては嫌がらせとして成立致しません」
「はいはいは~い」
「サナリス、何か良い案がおありで?」
「王都の破壊が良いと思いまーす。魔法攻撃だったら私にお任せください☆」
えっへん、と得意気なサナリスだ。
「サナリスさん。ここは剣と魔法が存在しない世界でありますわ。また、私達は人間であり、同じ人間に対して行動する訳ですわ。龍の冒険の様に魔族が人間を攻撃する訳ではありません事よ」
「えっと、どういう事ですかぁ?」
「そうですわね。王都の破壊をやった日にはわたくしが衛兵に捕縛され牢獄へ送り込まれてしまいますわ。これは悪行の範疇を超え重犯罪になりますわ。タイトルを悪行記から犯罪記に変えなければなりません事よ」
「ふ、ふええ????」
俺の言葉が理解できないサナリスが目をぐるぐるさせている。
がっ、そうか、龍の冒険のキャラに過ぎないサナリスは、幾らコメディ作品であってもメタ発言は理解できないという事か!?
くそっ、あの野郎。めんどくさい設定なんか付けやがって。
一通り質問を終え場が落ち着いたとこで俺はある事に気が付いた。
「皆さま、わたくしはある重要な事に気が付きましたわ」
「どうしたの? ルチーナお姉ちゃん?」
レオナが驚いた顔を見せる。
「このお話も既に6万文字を越え、終盤に差し掛かっています。このお話は、わたくし悪役令嬢ルチーナが悪行を記すお話のハズですが、ここに来るまでロクな悪行を致しておりません」
キリッとした表情で俺は説明するが、ステラ嬢以外まともに聞いている様には見えない。
「わたくしが行った事と言いましたら、正規ヒロインと王子様との婚約破棄、ゲーム内部での魔王を演じただけでしかありません。このお話が一般的な令嬢物のお話でしたら婚約破棄は重大事件でありますが、このお話はコメディに該当しています。残念ながら悪行としてのパワーは足りておりません!」
その当事者を前に力説する俺。人間としての品性を疑われても文句の一つも付けられない事を言っているが誰一人としてツッコミを入れる事無く、うんうんと頷くだけであった。
「えへへ、ルチーナおねぇちゃん? エリウッドお兄ちゃんとステラお姉ちゃんの事は僕の発明で何とかしたから大丈夫だよ☆」
「レオナ。感謝いたしてますわ」
「また何かあったら僕に任せてね☆」
自慢気に言うレオナだ。
常識的に考えたらありえないレベルの面倒ごとを僅か数十秒で発明する道具で解決してくれるのだから、流石は女神クリスティーネが寄越したチートキャラだけの事はある。
「龍の冒険で魔王を演じましたが、残念ながらわたくしは折角魔王になったにもかかわらず村の破壊すら行っておりません」
「ルチーナ様、王女様の誘拐は悪行に該当すると存じ上げます」
手を挙げ意見を述べたのはステラ嬢だ。
「ステラ嬢。魔王が王女様を誘拐するというのはRPGゲームであるならば定石中の定石で御座いますわ。そう、お腹がすいたらメロンパンを買って食べる程度の日常と変わらない誰が見ても当たり前中の当たり前の事でありまして、決してそれが悪行として認識される事はありません!」
「た、確かにそうですね」
目から鱗を零しながら相槌を打ったのはサナリスだ。
当のステラ嬢は首を傾げ、自分の考えと俺の言葉を脳内で吟味している様だった。
「もしも、一悪役令嬢に過ぎないキャラが王女様を誘拐し魔王に献上しようものなそれは立派な悪行で御座いますわ。しかしながら、悪役令嬢が一令嬢どころか王女様を誘拐など難易度SSSランクの偉業を成し遂げられるゲームをわたくしは知りませぬ」
「僕が作るから大丈夫だよ☆」
「レオナ。もしもその様なお話に需要がある事を存じる事がありましたら、その時は頼みますわ」
とは言ったものの、悪役令嬢が主人公でしかも王女様を誘拐するなんて破天荒なRPGに需要があるとは思えないが。
「前置きは終わりましてよ。皆様、これからわたくしが行う悪行について何かいい意見が御座いましたら述べてくださいまし」
俺が皆に尋ねると、 真っ先にステラ嬢が挙手した。
「ステラ嬢」
「メインヒロインへの嫌がらせは如何でしょうか?」
「つまり、わたくしがステラ嬢の靴の中にナメクジを入れたり、寝ているステラ嬢の額に肉と書けばよろしくて?」
いや、待てよ? この物語の主人公は俺であって、見てくれは女性だ。
女性主人公にとってのヒロインとなると? いや、ヒロインを調べてみたら女主人公と言う解説があった、だから。
俺は恐る恐るエリウッドへと視線を向ける。
「HAHAHA、ナメクジNE、Don’tこいNE!」
エリウッドが言う、どんと、の発音に違和感を覚えた。
これじゃ良いのか悪いのか分からないところだが、
「対象者が喜んでしまっては嫌がらせになりませんことよ」
「そうで御座います。もしもそれがルチーナ様による嫌がらせと想像致しましたらゾクゾクする気がします。身体の奥底から悦びの感情が湧いてくるかもしれません」
柔らかい笑顔を見せながら自分がM属性を持っていると暴露するステラ嬢。
いや、もしかして本人は何の悪意も無く言ってるかもしれないが。
「残念ながら、メインヒロインへの嫌がらせは却下ですわ。世間一般で考えたら嫌がらせとしても、わたくしが行う事で喜ばせてしまっては嫌がらせとして成立致しません」
「はいはいは~い」
「サナリス、何か良い案がおありで?」
「王都の破壊が良いと思いまーす。魔法攻撃だったら私にお任せください☆」
えっへん、と得意気なサナリスだ。
「サナリスさん。ここは剣と魔法が存在しない世界でありますわ。また、私達は人間であり、同じ人間に対して行動する訳ですわ。龍の冒険の様に魔族が人間を攻撃する訳ではありません事よ」
「えっと、どういう事ですかぁ?」
「そうですわね。王都の破壊をやった日にはわたくしが衛兵に捕縛され牢獄へ送り込まれてしまいますわ。これは悪行の範疇を超え重犯罪になりますわ。タイトルを悪行記から犯罪記に変えなければなりません事よ」
「ふ、ふええ????」
俺の言葉が理解できないサナリスが目をぐるぐるさせている。
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