ブレイバー・フィルリーク

うさぎ蕎麦

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1章「魔剣オルクストート」

10話「魔剣は洞窟に」

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 風の精霊の力を借りて魔剣を手に入れようと出発したフィルリークとフィアはプリーストタウンを少し離れた場所で滞空している。

「それで、魔剣はどこにあるんだ?」
「さぁ?」
「そうか」
「多分この大陸のどっか」

 素っ気無くいい加減な事を答えるフィアに対してフィルリークは特に何も思わず、収められた鞘からレーヴェンヴォールを引き抜いた。
 
「そう言う訳だが」
『だから私は充足中なんだけど』
「魔剣が何処にあるのか分からないか?」
『あのねぇ、魔剣と言っても何種類もあるじゃない?』
「なら、オルクストートはどうだ?」
『はぁ、そんな名前の剣聞いた事無いけど探してみるわよ』

 エネルギーを回復している最中、何の脈絡も無くそれを妨害されたレーヴェンヴォールは物凄く不機嫌そうに答えた。
 
「すまない」
『別に良いわよ』
「……」
『あら? この世界のせいかしら? 魔剣の反応は1つだけね』
「成る程、それなら見つけやすい」
『でも、この気配、フィルが倒したハズのネザーリッパ―と同じ気配がするわ』
「なら、そこにネザーリッパ―が居るんだろう、だが、そうなると少々大変そうだ」
『そうね、ギルもカインもミィルちゃんも居ない上に私も力を出し切れない』

 もしも、そこにネザーリッパがいたら苦戦は必至だろう。
 いや、みんなの力を合わせてもあれだけ苦労して倒した相手を、幾らフィルリークが勇者といえど自分一人の力で倒すのは難しい。

「そう言えばネザーリプトの反応は?」
『しないわね』
「変な話だ」
『そうねぇ、もしネザーリッパ―が居るとするなら彼が持っていた魔剣の反応をしなければ説明が付かないわ』
「兎も角行けば分かる、奴が居たらその時考えよう」
『そうするしかないわね、それじゃ私は休みたいから目的地に着いたら起こして頂戴』
「分かった」

 魔剣オルクストートがあると思われる場所を把握出来たフィルリークは、レーヴェンヴォールを鞘に納めた。

「ねざーりっぱー?」
「俺が居た世界に居た魔族さ」
「まぞく?」
「魔物?」
「まもの?」
「人間と対立する種族か?」

 フィアが聞きなれない事をフィルリークに質問したのは良いが、聞く度に分からない単語が飛んで来るせいで少々困惑している。

「ねぇ? 何か知ってる?」
「さぁ? アタシは知らないですよ?」

 フィアは炎の精霊を呼んで尋ねてみるも、やっぱり分からない様だ。

「この世界ってエルフとか居ないのか?」
「えるふ?」
「得る冨? なんか急にお金持ちになった人の事ですか?」
「そうか、喋れるのは人間位か?」
「多分」
「それと、アタシ達精霊位ですよ」
「そうか」
 
 フィアも炎の精霊も魔族やエルフの事を知らない。
 それを聞いたフィルリークは改めて今居る場所が自分達が住んでいた世界とは違う事を痛感している。

「人間と敵対する種族が魔族と言えば良いのだろうか?」
「ブレイブタウンの兵士……?」
「そうだな、この世界だとそれが近いだろう」
「そう」
「よーするに敵が居るかもしれないって事ですか!」

 なんとなくであるがフィアは理解した様だ。
 
「可能性はある」
「はええ……じゃ、じゃあその時は全力で逃げましょうよ!」
「……」

 万が一にもネザーリッパーが居たとするなら炎の精霊の意見は正しい。
 だが、フィアはそんな炎の精霊に冷たい視線を送りつけていた。

「そうだな、それが賢明だ」
「……」

 冷静な判断を言うフィルリークに対し、フィアが彼を冷ややかな目で見つめる。

「勇敢と無謀は違うからな」
「そう」
「兎も角、目的地へ行こう」
「そう」

 フィルリークの一言で渋々納得したフィアは、風の精霊に命令し魔剣オルクストートがあるであろう場所目指し移動した。

「レーヴェンヴォールの話だとこの辺りだ」
「……」

 魔剣オルクストートがあるとされる山岳地帯に辿り着いたフィルリークは再度レーヴェンヴォールを引き抜いた。

『あら? もう着いたの?』
「ああ」
『そう、魔剣は洞窟の中にあるみたいね』
「わかった」
『力の開放は出来なくも無いけど長い時間持たないわね』
「承知した」

 フィルリーク達はその洞窟の近くに舞い降りた。

「あれはブレイブタウンの者でですかぁ~!」
 
 ほぼ同時刻、オルクストートがあるとされる山岳地帯の上空からフィルリークを見付けたちなみが叫ぶと加速をつけその入口へと急降下した。
 
『何か来るわ!』
「ネザーリッパーか!」
『いえ……魔法使いみたい』
「そうか」

 フィルリークは襲来すると思われる魔法使いに備え身構えた。

「……」
「こんなところでアタシの力使ったら火事になっちゃいますよ?」
 
 この一帯は山岳地帯であり木々に囲まれている。
 炎の精霊が言う通りその力を使ってしまえば大規模な山火事へと発展してしまう危険がある。

「……」
「さいですか、その時は水の精霊使って消火すればいいのですか」

 無茶苦茶な事を言うフィアに対して炎の精霊は諦めて従う事にした様だ。
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