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再会

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 まだ会った事の無い魔術師様のお部屋の前でラグラ様が呼び掛けている。

 「ルナス、緊急で相談がある。開けるぞ。」

 (ルナス?あ、待って呼び掛けから開けるの早くない?大丈夫?)
 
 すんなり空いた扉にラグラ様が足を踏み入れ、私もちゃっかり滑り込んだ。チャンスだし仕方ない。

 「んー?何かあった?」

 こちらに背を向け、とてもラフな服装で机に向かって作業をしている綺麗な曲線のツノがある青年。長めの髪の隙間からエルフの様なツンとした綺麗なお耳が見える。

 (ルナス・ウォルズマー様だ!!!!!!)

 私の心臓は急激に高鳴りだした。神様、ラグラ様・ネム様ありがとう!!!!

 「私の魔憑きの証が右目にあるかも知れない。」

 「それ、本当ですか!?」

 ガタッと音を立てて振り返った青年。会いたくて会いたくて頑張ったアーシェリア好みドストライクの青年がそこにいた。ローブで隠れてないお顔は神々しいほど私好みだった。

 だけど私の姿を確認して固まっている。
 そうだ、まずは自己紹介!!私はポッと赤くなる顔を気にしながらも笑顔を心がけて自己紹介を開始。

 「挨拶が遅くなり申し訳ございません。3ヶ月ほどお手伝いとして働いています。アーシェリア・トランヴェジェールです。」
 
 「え?」

 「えっ?」


 沈黙。


 ルナス様はこちらを見てプルプルしている。

 「私・・・嫌われてます?あっち行ってます?」
 「いいや、ルナスは人見知りなだけだから大丈夫。」


 ・・・・


 「あの・・・父さん、僕が人に会うときは準備が必要なのは分かっているでしょう?なんでいつも通り入ってくるんですか!?」

 「大丈夫みたいだから連れてきたんだ。それより魔憑きの証だ。ルナスはどう思う?」

 ルナス様は私とラグラ様を交互に見た後、ラグラ様の右目を見ることに集中した。

 「見ただけではやはり分かりませんね、試しに祓うなんてしては寿命が削れる可能性もありますし。」

 (そうなんだ、知らなかった。)
 〈なんならアタシが右目から入って魔物一発殴ってくるじゃん。きっと右目の証に変化があるじゃん。〉

 「ネムが取り憑いた魔物を一発殴ってみるって言ってます。そしたら証が何かしら反応するだろうって。」

 「一度やってみて貰おうか。同じ魔物同士なら何かしら接触出来るのかも知れないからね。」
 「魔物同士?あの後から魔物祓いしてないのですか?体に何かあったらどうするんです。」
 「まぁまぁ、彼女は健康体らしい。その話は一旦置いておこう。」

 ルナス様のお説教始まる所だった。
 とりあえずネムにお願いしてみる。

 〈行ってくるじゃん。〉

 ネムが出た後、ラグラ様の右目が赤くなっては戻るを三回繰り返した。

 三回殴ったな。

 その様子をルナス様と私で覗き込んでいた。さりげなく隣に立てて嬉しい。肩も当たってるけどルナス様は集中している様子。

 〈戻って来たじゃん。〉
 「ネムが相手殴って戻ってきました。右目が三回赤くなりましたね。」

 私が伝えると、ルナス様がサッと離れて行ってしまう。寂しい。

 「・・・何かしら干渉できたみたいですね。可能性が高いのか。」
 「なぁ、ネムさん。私に憑いた魔物は何か言っていたかな?知性のある魔物なのかい?」

 〈もっと強く殴ってって言ってたじゃん。〉
 「・・・一応話せるみたいです。」

 「そうか!!私も君たちみたいに話してみたいものだね!長年の付き合いだ。共存できないものか。」

 〈聞いてきてやるじゃん。〉
 「聞いてみてくれるそうです。」

 ・・・

 〈聞いてきた来たじゃん。〉
 「どうだった?」
 〈アタシがツガイになった上で条件付きOKじゃん!アタシも満更でもないじゃん!!〉
 
 お見合いか。めでたいな。お祝い何が良い?
 更に続いたネムの話を聞いた。


 「ネムによると、ラグラ様の魔物とネムが晴れてツガイになりました。

 だけど、ラグラ様の魔物とラグラ様は既に引き離すのは難しい状況だからネムとイチャイチャする時に少しだけでいいから体を貸して欲しい。あと私の見た目が好みじゃない。好みのネムの体を用意して欲しい。そしたら協力する。 

 という事らしいです。」

 静かに聞いてた二人が渋い顔をした。
 
 「恋人と仲良くする為に体を貸すのは別に構わないけど、ネムさんの新しい取り憑き先、しかも好みのを探すのが難しいな。」

 いいのか、体貸して。

 「新しい人体は無理ですから、僕が魔術で作ってみましょう。義手や義足の応用で魔力で動ける人形を作れば良いのでしょうから。」

 魔力で動く人形・・・義手の応用。夢が膨らむ。

 「もう1つ問題があります。ネムさんは下級の魔物ですが、物体に憑依して動かせるのは中級です。ネムさんを中級に育てる必要があります。」
 「ネムを中級の魔物に?」
 「ええ、毎日無理の無い範囲で魔力を与えて下さい。決して体調を崩すほど与えないように。」
 「畏まりました!」


 話は一段落。そう思うとお腹が空いてきた。


 「そういえば朝ごはん、ルナス様はまだではありませんか?今日は一緒にいかがでしょうか?」


 ルナス様が驚いた顔をしている。


 「僕と朝食?一緒にですか?」
 「はい!温かい紅茶かコーヒーを入れますよ。」


 ・・・・


 「本当に良いのでしょうか、無理しなくても解雇しませんよ?」

 「ルナス?さっきからこの子の態度見てたら分かるだろ。アーシェリアさんはルナスが全然来ないから寂しがってたんだぞ。」

 「ご迷惑でなければ是非一緒に!」

 押せ押せである。

 「貴女が不快で無いのならご一緒します。不快になられたらすぐに言ってください。」

 完全に我慢してると思われている。大丈夫。態度で示していこう。

 こうして三人で初めての朝食が始まった。

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