勇者と小さな魔王の旅

木元うずき

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魔王と魔王の父

旅の記録21 控え室

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現在控え室で戦いの時まで待っている三人。ただいま作戦会議中・・・
「シエルを私に任せてくれませんか?」
敵のプロフィールを見ながら作戦を立てていて、スイが機械種エクスマキナの近衛隊隊長シエルのプロフィールを出してもうし出てきた。

シエル(機械種エクスマキナ)
能力  『猿真似』

「猿真似?」
「はい。本家より威力などは低いけどそれに近い攻撃は出来るって能力です。なので、日向さんはシエルにあまり攻撃を見せないでください」
「了解なのだ!でも、私たちのプロフィールはどうなっているのだ?」
スイは三枚の紙を机の上に置いた

勇者(人間)
能力『不明』

日向(人間)
能力『魔法を唱えれる』

スイ(海王種セイレーン)
能力『水を操れる程度の能力』『多重魚格』

「あれ?僕の能力の所が・・・」
「魔王さんも分かっていなかったようで不明になってますね(笑)」
「し、心配ないのだ!それだけこっちが有利なのだから!」
書かれていないことに落ち込んでいる彼をからかうように言うスイとそれを一生懸命慰める日向。この調子でちゃんと連携は取れるのか・・・。
その頃魔王はと言うと・・・
「久しぶりじゃのフィーよ」
「・・・・・・何よ。お父様。私に何か用があるの?敵どうしなのに」
誰もいないことを確認すると魔王一瞬で口調が変わった。いつもと違う口調で驚く人いるかもしれませんがこれは魔王が・・・フィーが家族だけ、許している。
「冷たいの。久しぶりの再開じゃのによ」
「私はまだ許した訳ではないから。お母様のためにここで勝たないといけないのだからね」
「ふん。あんな奴の意思を継ぐとはつくづく馬鹿に育ったの」
空気は一触即発。アニメとかで電気が周りに出る表現あるが本当にその電気が周りに出ていた。
「まぁここで喧嘩しても意味が無いだけだから私は戻るは」
「儂が正しいと分からしてやる」
「それは無理よ。私はお父様に負けてもお母様の夢を叶えるまでは戦うから」
両者とも来た道に戻りそれからは振り返ることもせず席まで一直線で戻って行った。


「と、取り敢えず何でスイさんがシエルに行くのだ?」
彼をからかわれてから5分が経った今でもやっていたが、これでは作戦が纏まらないと思い日向は切り上げようとした
「あ、そうでしたね。理由は二つあります」
スイはもう一度シエルのプロフィールを出し能力の所に指(鰭?)を置いた
「まず一つ目は貴方達の能力を真似されると厄介だからです。特に勇者さんのは」
「あれも真似できるのか?」
「確信は持てませんが念の為です。そして、二つ目は」
彼はそう言われると黙って残りの一つを聞くことにした
機械種エクスマキナは精密機械です。そこで、私の能力が役に立つのです!」
「水を操れる程度の能力ですか?」

ここで機械種エクスマキナについて少しだけ説明!
常に集団行動でどれだけ弱い相手だろうと容赦なく全員攻撃を仕掛け生存確率が0%になるまで攻撃の嵐は止まず機械種エクスマキナが戦った跡は前の地形を保っていることは少なかった。他の種よりも連携力は強く今回選ばれた理由は司令塔として選ばれたのが大きい。だが、弱点があるとすれば少しでも分からないことが起きると理解不能エラーを起こししばらくの間、動かなくなる。今回のルール上意図で動かない限り10秒以上動かなかったら強制退場リタイアってルールがある。そこを利用してシエルを討伐しようとしていた。

「もう一つの能力ですよ。多重魚格たじゅううおかくです」
能力名を聞けばある程度は分かるようになっているがそれだけは分からなかった二人。多重人格ならまだしもそれの魚(海王種セイレーン?)版と思えばいいのか。もしくは全く別のものなのか。考えているところにスイは
「多重人格の魚版と思えばいいですよ。ですが、」
『ですが、』とその言葉に強調された瞬間彼らはまたまた首を傾げてしまった。それを嬉しそうに見ているスイは説明するのかと思うと・・・
「な、な、何をしているのだ!?」
突然姿を消したと思うと彼の唇を奪っていた。それを見た日向は怒りのあまり声を荒らげて言ったが聞かなかったから魔法を放とうとすると
「だめよ。日向さん。勇者さんにもダメージ喰らいますから」
その話し方、姿は先程と違い彼の事が好きな雰囲気を出していた。
「ちょ、ちょ、待て!日向も落ち着け!スイも何している!?」
「貴方の事が好きだから奪っただけよ?」
何の悪そびれもない顔で彼のことを見ていた・・・と思っていたらいつもの顔に戻ったスイ。さっきからの展開についていけない日向と彼はもう考えるのをやめていた。
「と、これが多重魚格たじゅううおかくって訳です」
「「分かるかーー!」」
説明に戻ったスイだが、『これが』って言われても二人にとっては『どれが?』って状態。それに対するスキの反応は『何で分からないの?』と少し呆れていた。呆れられても二人にとって『能力』って概念が元々ないから中々繋がる事が出来ない。
「では、説明しますね・・・」
渋々説明することにしたスイはどう説明するか悩んでいた。いつも皆に見せるとそれだけで分かってくれていたから。
「何と言いますか・・・。そうですね。強いて言うのでしたら私自身の心を入れ替えれる事が出来るのです」
それを聞いても分からない二人。それもそうだ。自分の心を入れ替える?要するに自分が自分では無くなるって訳?そんなのありえないと思っているが・・・
「多重人格ってのは知ってますよね?それを私自身で操れるって思えばいいです」
「なら、何でもできるのだ?」
「はい」
スイの即答に怯える日向とそれがどうシエルを倒すのに関係あるのかを考えている彼。
「倒すのに関係あるのはシエルが恋愛感情が分からないから私がシエルを愛している設定で行くとシエルが理解不能エラーで動きを止める。なら、退場リタイアになる。と言うわけです」
そんな上手く行くか心配な二人。それに対して自身満々のスイ。
「その際、お二人方には残り二名をお願いしますね」
と、無茶な願いも出され作戦と言う作戦ではない事に落ち込む日向。
「もうこうなれば勇者さん!私の指示にしたがってね!」
嫌な予感しかしない彼は顔が引き攣りながらも頷いた。
こんな調子でシエル、グウェン、サリエルに勝てるのか。不安を抱えながらも戦いの時間は刻一刻と近づいていた
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