勇者と小さな魔王の旅

木元うずき

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運命のイタズラ

旅の記録46 準備

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「やるって何ですか?」
「あたしらからじゃ手伝えんことなんか?」
と、不安を募っている三人。そして、重々しく魔王は口を開けその言葉に全員が耳を疑った。
「戦争じゃ」
勇者と日向も流石に予想外の事を言われ驚きを隠せなかった。また、あの親子喧嘩かと思っていたら喧嘩を通り越してとなると死者が出る。そして、それと同時に日向はある言葉を思い出した
『何かを得るには何かを失うもんじゃ。じゃから、お主の一番大切な者をしっかりと決めておく事じゃな』
この言葉はこの事をさしていたこと。要するに雛を選ぶのか勇者を選ぶのかとあの時聞かれていたのだった。
「魔王ちゃん。少し席外すね」
「うむ。よく考えることじゃな」
魔王は日向が部屋から出るまで見送り出ると改めて三人を見た。
「で、お主らはどうするんじゃ?死ぬかもしれん戦争についてくるんか?」
考え込む三人の中の一人が重々しく口を開けた。
「ど、どこの国と戦争するのですか」
「ふむ。その様子じゃまだ気づいておらんのか」
「え?」
魔王は椅子の上に立ち上がり空気を切った。そこに黒い穴が出来た。三人は何か新しい魔法かと思って見ているが次の瞬間、表情が固まった。
「魔王様何か御用でしょうか?」
「今回の決戦地はどこじゃ?」
「ウェイパ村を北に出た小さな森林地帯が決戦の地となります。そして、日程は明日になります」
「なっ!?」
その場にいた全員が日程を聞いて驚いた。三人は驚きの連鎖でもう反応が無くなってきた。だが、驚いているのはわかる。何故だろうか。
「っち。仕方ない。おい、お主」
「ん?あぁ僕のこと?」
「あぁそうじゃ。ここまで急なら話は別じゃ。日向と逃げるんなら今回ばかりは許そう。どうするんじゃ?」
「行くに決まっているでしょ!!魔王ちゃんが困っているのに私たちがいなくなったらどうするのよ!」
急に日向の声がして驚いた魔王だが、いつの間にか開かれていた扉にもたれ掛かるように頬と目元を赤くした日向がいた。
「はぁ・・・そんなん言われちゃ僕も行かないと行けないか」
「あれ?勇者さんも行く予定だったでしょ?」
「まぁな」
笑顔で答える二人に魔王は呆れて笑ってしまった。そして・・・
「なら、聞くぞ。日向にとって一番大切なのはなんじゃ?」
「全部!」
「は?」
予想外の答えに固まった魔王と対象に勇者は笑っていた。そして、勇者が笑っているので分かった。だが、納得出来なかった。
「どうしてなんじゃ。雛はどうするんじゃ。守るって言っても向こうは敵なんじゃ「殺すよ」・・・ぞ?」
訳が分からなくなっま魔王はその場で固まった。そして、そのまま椅子ごと後ろに倒れてしまった。
「あぁ、まだ説明してないのに・・・。あ、魔王ちゃんが魔界の王『魔王』って聞いた?」
「「「えぇぇ!?」」」
「お、おい日向。まだ話されていないから・・・」
「え?だってなにか整理しているように見えたから魔王ちゃんの事かな?っと」
「もう少し空気読めるようになろうな・・・」
三人に襲いかかる次々の出来事。いつも冷静な月影でさえ少し取り乱していた。
「と、取り敢えず分かったことを言っていくと、魔王はんは魔界の王の魔王本人なんやな?そうなると戦争ってどことなん?」
「我がお父さ・・・ゴホン。父上じゃ」
魔王が咄嗟に言い直したのを気にせず余計に訳が分からなくなった三人は頭を悩ましていた。いや、ある人物を除いて
「ふ~ん、魔界の方もわちゃわちゃしているのね」
「わちゃわちゃ?」
月影の言葉が分からず聞き返してしまった魔王。本来なら何故わかったのかを聞く所なんでしょうがそれよりもって感じだった。
「え、わちゃわちゃはわちゃわちゃだけど?」
「いや、じゃからそのわちゃわちゃってものが儂は分からないんじゃ!」
「わちゃわちゃはわちゃわちゃ!それ以上もこれ以下もないのよ!」
「そのわちゃわちゃの意味を教えてくれんと分からんのじゃよ!」
と、わちゃわちゃとうるさい二人を微笑ましく見ている四人は二人を置いて月影の言っていた意味を話し合うことにした。
「今魔界は二つの勢力に別れていて魔王ちゃんの軍勢と魔王ちゃんのお父さんの軍勢。魔王ちゃんは人間界、要するに私たちの世界と一緒に暮らす世界を目指していて魔王ちゃんのお父さんは世界征服を目論んでいるの。で、前はそれの親子喧嘩をしたのだけど・・・今回は戦争らしいね」
「はぁ、なるほど。何となく分かりました。そう言う事なら私は魔王さんの手助けをしますよ」
「月影は兎も角あたしは手伝うな。強い相手がいるんやろ?なら、行かなきゃ損や」
「私も参加するに決まっているでしょ。魔王さんと安心して戦いたいから。この魔王うざいから一度討伐しないといけないと今決めたから」
「儂は単にわちゃわちゃが何か聞いているだけじゃろ!ま、まぁ手伝ってくれるなら有難い」
と、月影と魔王の言い争い(?)は終わり本題に入ることになった。
「作戦なんじゃが父上の事じゃから何となく読める。場所は聞いての通りウェイパ村を北に出た小さな森林地帯」
「え?待って。聞いてないのだけど?」
戦場を聞いた瞬間日向の表情は固まってしまった。たぶん故郷に被害が及ぶ事を心配に思ったんだろう。
「心配ない。ウェイパ村には被害は出んようにするから」
「違う・・・」
「何が違うんじゃ?」
ウェイパ村の事が心配ではないなら何が心配なのか。その場の全員分からなかった。そして、日向は間を置いて口を開いた。
「あそこを選んだのは雛。だって、私たちのいつも戦っていた場所だから」
日向は俯きながら肩を震わしていた。その理由は
「私と最後の対決をするために選んだ。強いのがどっちなのかを」
「と、なると戦績は引き分けなのか?」
「うん。だから、最後の戦い。命をかけた戦い。それが今回の戦争」
「ふむ。ならそのいつも戦っていた場所に雛が来るとなると・・・日向、それはどこじゃ」
「森林地帯入口から大きく左に回った所にある大きな木。雛はそこに絶対くる。一人で」
その顔には全てを覚悟している日向の顔があった。魔王は今の発言を聞くと采配を決めた。
「儂は日向と逆の大きく右に回った場所に行く。残りの物は中央突破じゃ。そこでの戦闘が終われば各自集合。そして、加勢してくれ。儂のところは最後で良い。儂のあやつだけはこの手で殺らなければならないからの」
全員が頷くと魔王は空気を切った。そう、いつもの黒い穴が出てき入って行った。
「今すぐウェイパ村に向かうよ。月影ちゃん、日月さん、シルヴィ様着いてきて」
日向と勇者も入ると残りの三人もついていった。
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