勇者と小さな魔王の旅

木元うずき

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ウェイパ村

旅の記録11 悲しみ、喜び、全部・・・だけのもの

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「そうだね~、まずは私の最初の頃から今にかけて行く感じで行くのだ。
え?そんな事を言わなくてもいいから教えてくれと?まぁまぁそんなに慌てる事はないのだ。じゃ、私の昔話の始まりなのだ!

さて、前にも言ったように私はこの村の魔法使い専用の場所で産まれたのだ。その時から親とは違う青い髪に青い目をしていたのだ。そして、見た目から氷魔法の使い手だろうと思われていて親から見放されていたのだ。
え、何で見放されていたのかって?そういや、まだ言ってなかったのだ。なら、序に話すのだ。
私の家庭は魔法には特化はしていないけど魔法薬を作るのがどこよりも上手かったのだ。魔法薬作るには炎魔法が使えた方が楽だから最初は私にも教えてくれていたのだ。だけど、見捨てられたのは私が出来なかったからなのだ。今の私からは考えれないぐらい下手・・・いや、出来なかったのだ。たぶん下手ならまだ見捨てられていなかったのだ。
じゃ何で今は使えるのかって?勇者さんは急ぎすぎなのだ。もう少し待つのだ。
えっと・・・どこまで話したっけ?あ、思い出したのだ。そして、私は見捨てられたのだ。ご飯とか寝床はちゃんとくれたし私の部屋もくれたのだ。だけど魔法使い手じゃなくて普通の女の子としてしか扱ってくれなかった・・・。それが悔しくて私は自分の部屋で練習していたのだ。何度も失敗し、失敗に失敗を重ねてもできる気配はなかったのだ。でも、氷魔法は簡単に出来たのだ。その時やっぱり私はこの家では迷惑なのか本当に考えて家出する事にしたのだ。だけど・・・だけど・・・私の人生を変える事件が起きたのだ。その事件のおかげって言ったら悪いけど私は炎魔法が使えるようになったのだ。
・・・・・・何で聞かないのだ?今のは聞くところなのだ。『何故事件に巻き込まれたから使えるようになったんだ?』って。はぁ・・・勇者さんは空気読めないのだ。そんな驚かれた顔をされても困るのだ。さ、続きを話すのだ!
あれは今でも覚えているのだ。今から丁度6年前の話なのだ。私の家族は全滅したのだ。全滅って言ったらおかしいかもしれないのだけど、私の家は放火にあったのだ。未だに犯人も犯罪の手口も分からず終わった事にされたのだ。その時私は運良く家にいなかったのだ。アニメとかで良くある感じなのだ。だから、私はただ呆然と私の家と私の家族が燃え散るのを眺めることしかできなかったのだ。でも、その時・・・私は炎が暖かいと感じたのだ。熱いと感じず何か・・・今まで凍てついてた私の心を溶かすような感じだったのだ。そして、私に残ったのはその時こっそり持ち出していた腰に付けている本だけなのだ。この本はお父さんの物だったから後で叱られる予定だったのだけどそれもない。怒られる人もいなくなれば優しくする人もいなくなった。その時、私の何かが飛び散ったのだ。笑うことも忘れ泣くことも忘れた。ただ、戦いに申し込まれたらそいつを倒して一人で・・・たった一人で私は少しの間生きていたのだ。この本は持っている人によって使える魔法を全て写し出してくれるのだ。そのおかげで私は炎魔法が唱えれるのだ。いや・・・炎魔法だけじゃない。風魔法、氷魔法、水魔法・・・他にも沢山あるけどその全てはこの本のおかげなのだ。だからある意味氷炎の日向の本体はこっちかもしれないのだ。
その前に思い出して欲しいのだ。普通ならマグマの上に立っていられると思うのだ?無理なのだ。魔法使いは魔法が使える以外は普通の人間なのだ。でも、私は平然と立っていた。あ、勇者さんは魔法についてあまり知らなかったのだ?だって今同時に詠唱すればいいじゃんって言いかけたよね?魔法はそれができないのだ。一つづつしか出来ないのだ。だから、私は異常なのだ。常に異なるって書いて異常。私にぴったりの文字なのだ。私は感情を今でも忘れている。いや、忘れているって言うよりもちゃんと出せないって言った方がいいのかも?最後に嘘の笑いじゃないのも最近あるし・・・でも、私はまだちゃんと分かっていないのだ。だからあの時怒ったのもあぁすればいいのかな?みたいな感じだったのだ。ごめんなのだ。
さて、私は一人でしばらく生きていた、そう勇者さんと会うまでは。それまでずっと・・・一人だった。私に優しくしてくれる仲間もいなければ怒る仲間もいない・・・そんな人生が6年続いていたのだ。だから、勇者さんが私を仲間に入れてくれた時、そう。それが久々に私が心から喜んだ時だったのだ。

「これで私の過去の話は終わりなのだ。だから、私はこの本を無くせば魔法使いとして生きていけないのだ」
その時の日向の顔は少し暗かったがどこか晴れ晴れとした表情も見て取れた。昔の事を誰かに語れた事で何か取り付いていた物が無くなったように。

魔王は未だに起きる気配も無く、静かに時間が過ぎていた。彼と日向がいている部屋には重い空気が流れている。日向は話終わっていてからずっと空を見ていてたまに流れる涙を見て昔の事を思い出しているようにも思え、話しかけにくかった。
「カカッ!そんな過去があったとはの~。儂には想像が出来ないわい」
「魔王ちゃん!?」
魔王はコロコロ笑うような感じで日向の顔を見ていた。そんな日向の顔は驚きのあまり口を開けたまま涙を流していたのだった
「儂が起きたのがそんなに嬉しいのか?(笑)それとも昔の事を思い出して泣いているのか?まぁ、どっちでも良い。そろそろ行くぞお主。儂らの旅はこんな所では終わらぬよな?」
「当たり前だ。行くぞ日向!魔王!」
「行くのだ!私たちの旅の続きに!」
「そうこなくちゃの!それじゃ行くぞ、お主ら!」
日向は慌てて杖を手に取り帽子を被ると出口に向かって急いで走った。走ったのと同時に日向の頭の中に何かが一気に流れ込んだ。
「日向?」
急に止まった日向が心配になり近づくと、日向の頬から雫が落ちた。そして、肩を少し震わせながら鼻を啜っていた。
「分からないのだ・・・何で私は泣いているのだ?」
震える声で、声を絞るように彼らに問いかけた。止めようとしても逆にどんどん溢れていく涙に日向は少し困惑していた。
「お父さんや・・・お母さん・・・の事との・・・思い出が急に・・・頭の中に流れて・・・それのせいで泣いている・・・。何でなのだ・・・?」
この反応に魔王と彼はさっきの話が本当だった事が分かった。日向は笑い方も忘れているし、泣き方も忘れている。その他全部の感情も忘れて本当にこの6年間ずっと感情を忘れていたのだと思った。
魔王はその時そっと日向に近づき優しく抱きしめた。溢れている涙が止まらない日向はそれでも前を向くとそこには優しい顔をした魔王の姿があった。足に力が入らなくなり膝を地面に付き、手から杖を離して魔王の腰辺りに手を回して声を上げて泣いた。それはまるで小さい子供が友達と喧嘩してお母さんのお腹に抱きつきながら泣いているようだった。
この時日向は悲しい感情を思い出したのだと思いたい彼は、彼女らを二人っきりにした方がいいと思いそっと部屋を抜け出した・・・。
(私の過去・・・楽しかった過去・・・。嫌だった過去・・・。全部・・・全部私の感情だった。そう、思い出したのだ・・・。全て・・・)
日向は笑いながら泣いていたのを見た魔王はついに日向が壊れたのかと心配したのはまた別の話だった。
「日向!?大丈夫か!?えっと・・・あぁもう!こんな時になぜあやつはいないのじゃ!」
まだまだ人間の感情を勉強している魔王には難しい問題のようだったのか?
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