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Mission 19*誠意
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しおりを挟む圭に限らず、プレゼントを貰うということに慣れていない私には、プレゼント選びは苦痛にも近くて。
結局、何も選べなかった。
「今日は急だったしな。また、買いに来ようぜ」
圭はそう言ってくれた。
こういう時、素直に甘えられないから可愛くないんだよな……。
バッグや靴、腕時計も見て、いいなとは思った。けれど、バッグや靴はずっと使い続けられるものではないし、腕時計は気に入ったものが高価だった。
「そろそろ飯――って、時計取りに行くんだった」
「私、そこのドラッグストアで買い物してていい?」
「ああ」
私はドラッグストアでファンデーションとアイシャドウを買った。
二十分ほどで戻って来た圭の腕には、動き出した時計。
「飯、行こうぜ」
「何、食べる?」
「それは、お楽しみ」
誕生日だから店を予約してくれているのだろうかと、少しドキドキしながら黙ってついて行く。けれど、着いた先は駅前の居酒屋。
何がお楽しみ、よ。
日曜の夜の居酒屋は賑わっていた。
「石川で予約が入ってると思うんですけど」
案内しようと人数を聞いた店員に、圭が言った。
石川……?
「お待ちしておりました。お連れ様はいらしてます」
店員は私たちを奥の個室に案内した。
「圭、誰がいるの?」
「誰だと思う?」
「石川って――」
襖を開けると、十数人が一斉に私たちを見た。
「おせーぞ、芹沢」
「何、女連れ?」
「古賀さんだよ!」
立ち上がったのは、石川さん。
どうして……。
よく見ると、何人かは見覚えがあった。
「圭?」
「お前、クラス会に来たことなかったろ?」
私と圭は高校二年と三年が同じクラスだった。石川さんも。
「クラス会……って――」
「ほら、座ろうぜ」
あれよあれよと乾杯し、圭は友達と盛り上がっていたが、私は状況に馴染めずにいた。そもそも、高校時代もクラスに馴染んでいたわけではない。卒業して十年近くも経って、会いたい友達もいない。
「古賀って、何の仕事してんの?」
気がつくと、隣には単発で大柄な人が座っていた。名前が思い出せない。
「えっと……普通の――」
「副社長秘書」
石川さんに聞かれて答えたように、事務と言うつもりだった。それを、圭が遮った。
「秘書?」
「そう。しかも特別な」と言って、グラスを持って私の隣に戻ってくる。
「何それ、エロくね?」
「エロくねーよ。ボスは女」
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