ダブル・ミッション 【女は秘密の香りで獣になる2

深冬 芽以

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Mission 19*誠意

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 私に拒否権などなく、サンドイッチを食べてシャワーを浴びると、外に連れ出された。着替えるために圭の家に行ってから、映画を観に行った。

 ホラー要素のあるミステリー。

 お昼過ぎに終わる映画だったから、観ながらホットドックとポップコーンを食べた。

 思えば、圭と映画を観るのは初めてだった。と言うより、映画を観るような普通のデートが初めてだった。

「あの女優、めっちゃいい身体してたな」

 観終わって、第一声。

「死体の顔はグロかったけど」

 高校生でも言える感想。

 R―18だから、実際は言えないけれど。

 次に、ジュエリーショップに連れて行かれた。

「何、買うの?」

ジュエリーショップここで靴は買わねーだろ」

「圭!」

「俺の時計、電池切れちゃってさ」

 圭は背負っていたショルダーバッグから箱を取り出し、店員に電池交換を頼む。

「三時間ほどで仕上がります」と、店員が預り票を圭に渡す。

「それと、婚約指輪を見せて欲しいんですけど」と、圭が女性の店員に言った。



 婚約――?



「圭!?」

 店員が婚約指輪のショーケースに案内する。

「どんなのがいい?」

「なんで?」

「誕生日プレゼント?」

「え?」

「やっぱ、忘れてたな」



 あ――――!



 そうだ。今日は私の誕生日。

「だから、好きなの選べ」

「けど、指輪なんて――」

「指輪のサイズを測らせていただいてよろしいですか?」

 店員がリングゲージを取り出す。

「いえ――」

「お願いします」

 圭が私の左手を持ち上げ、店員に差し出す。

「ねぇ、圭!」

「仕事で邪魔にならないのがいいよな」

 最初のゲージは少し大きくて、二つ目はぴったりだった。

「九号ですね。こちらは細身でダイヤが埋め込まれているので、家事やお仕事でも邪魔にならないと思いますよ」

「つけてみたら?」

 店員がケースから指輪を取り出し、トレイに載せて差し出す。

「ほら」

 圭が指輪を持つと、私の左手の薬指にはめた。

 眩しすぎて、手が重い。

「圭。誕生日プレゼントなら、アクセサリーじゃないものがいい」

「俺は伊織に指輪をしてて欲しいんだけど」

「なら、もうちょっと色々見てからにしようよ」

 店員には申し訳ないけれど、なし崩し的に買っていい金額ではない。

 ゼロの数が多すぎて驚いていると、ふと、一つの指輪が目に留まった。

 さっきのと同じように石が埋め込まれていて、リング自体がクロスしたデザイン。石は小さなダイヤが一周と、クロスした真ん中にピンクダイヤ。



 かわいー。



 値札を見てギョッとした。

 五十三万に消費税。可愛いはずだ。

「見せて頂いてありがとうございました」

 私は圭の腕を引っ張って、店を出た。

「何だよ。気に入ったのなかった?」

「そうじゃなくて! 高すぎだよ、あのお店」

「いいじゃん。年に一度の誕生日なんだし」

「とにかく! もっと違うお店も見よう!」
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