続・最後の男

深冬 芽以

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7 彼女の不安、俺の過去

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「金曜、札幌そっちに帰るから」

「うん」

 来週の月曜は俺の誕生日で、その前の土、日は二人きりで過ごすことになっていた。

 アパートここと違ってマンションあっちなら、隣を気にすることなくセックス出来るし、調理道具も揃っているから俺の好きな料理を作ってもらえる。

 宇喜原優への嫉妬なんてすっかり忘れさせるくらい、片時も離さずに過ごすつもりだった。

 で、実際にそうした。

「凪子さんの部長昇進が決まったって、聞いた?」と、彩が聞いた。

 両手を上げながら。

 俺はセーターの裾を持って、彼女の腕を抜いた。バチバチッと静電気に攻撃される。

「ああ。けど、二課の後任はまだ、決まってないんだろう?」

 彩もまた、俺のTシャツを捲り上げた。

「そうみたい」

「部長には世話になったから、退職の前に挨拶に行くつもり」

「送別会に出る?」

 彩のブラジャーのホックを外し、彼女の腕から引き抜く。

「いや、それはいいかな」

 彼女の胸に顔を埋め、その柔らかさと穏やかな鼓動にホッとした。

「そう言えば、渡部わたべ部長に智也の事を聞かれた」

「奥山の?」

「そう」

 渡部部長とは、奥山商事の企画部長。彩が担当する顧客だ。

「契約の時、智也と付き合ってることがバレちゃって――」

 乳首を口に含み、舌で転がすと、彩の身体に力がこもった。

「あんれ?」

 吸い付いたまま、聞いた。

「千堂――課長が言った……から」

 彩のスカートみたいなパンツとストッキングを脱がす。

「あ」

「なに?」

「穴、開いたかも」

 ストッキングは厚手できつめのモノだったけれど、指先がズボッとハマった感じがした。

「ま、いっか」と言って、二枚をベッドの下に放り投げた。

「買ったばっかりだったのに!」

「脱がしずらいもん、穿いて来るなよ」

「そういうこと――! あ……っ」

 足の間を指で弄ると、彩の口から甲高い声が漏れた。

「俺とお前の事って、本社でバレてんの?」

 前の膨らみを撫でながら、聞く。

「ん……。――うん。何人かは知ってる」

「面倒なことになってないか?」

「うん。大丈――夫……」

 彩の息が上がってきて、体温も上がってきて、俺の下半身も上向き。

「奥山の仕事、二課の担当は?」

大西おおにしさん……だけど、異動らしいから新しい……課長にお願いするみたい」

「大西が? 東京か?」

 指を押し込むと、彩の身体が仰け反った。

「ん……」

「あいつ、札幌から出たことなかったからな」

「函館……もだいぶ人が動きそう……だから――っ」

「やっぱ、本社勤務は情報が早いな」

「んーーっ!!」

 セックスの時、彩はあまり声を出さない。

 というか、俺にしてみれば、AVみたいに喘ぐのはわざとらしい。感じやすい女は、本当に声が出るのかもしれないけれど。やたらと声がデカくて喘ぎまくる女も知っているけれど、大袈裟に感じられても嘘くさいと思ってしまった。
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