続・最後の男

深冬 芽以

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19 すれ違う未来

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 週末。

 四か月半ぶりに子供たちの父親が会いに来た。

 転勤になってから、二か月から三か月おきに会いに来ていたが、初めて四か月半も空いた。

 子供たちがいないことをいいことに、智也のところに行こうと思っていた。が、行けなくなった。

 私は生理中で体調が悪く、痛み止めを飲んで寝ているしかなかった。

 会いに行けないと伝えると、智也は少しムッとしたようだったが、私の声に覇気がないせいか、とにかくゆっくり休むようにと言ってくれた。

 今週の金曜日には健康診断がある。

 それまでには生理は終わっているし、子宮がんを始めとする検査には支障はない。

「お母さん、具合悪いの大丈夫?」

 父親の元から帰って来た亮が、心配そうに私の部屋を覗いた。

「お帰り。大丈夫だよ」

 布団から起き上がると、珍しく亮が私に抱き着いてきた。

「どうしたの?」

 一年ほど前、四年生も後半になる頃には、私から抱き着くことはあっても、亮からはあまりなくなった。寂しいけれど、これも成長だ。

 私の膝に跨る亮は、顔が私の肩にあり、昔のようにすっぽりと腕に収まりはしない。大きくなったなぁ、と実感できる。

「どうしたの?」と、もう一度聞いた。

「お父さん、再婚するんだって」

 亮の顎が肩に乗っかって、重い。

「お父さんの赤ちゃんが生まれるんだって」

 亮が喋ると、顎が肩に食い込んで、痛い。

「赤ちゃん?」

「……」

 亮が黙り込んで、私の肩から顎を下ろし、小さな子供のように私の腕の中で蹲った。

「だから、もう、あんまり会えないんだって」

 寂しそうな亮のか細い声に、無意識に強く抱き締めた。

「そのことで、後でメールするってお父さんが言ってたよ」

 顔を上げると、真が立っていた。

 亮とは違う。

 無表情。

「お金のことみたい」

「お金……?」

「新しい奥さんと、お金のこと話してたから」

「え?」

「来てたよ、新しい奥さん」

「会ったの?」

「……」

 真が座り込み、壁にもたれた。

 亮は感情に素直だ。

 けれど、真は違う。

 感情を押し殺しがちだ。

 それでも、何か負の感情を抱えていることはわかる。

「なにか言われたの?」

「もう、俺たちだけのお父さんじゃないから、あんまり会えないし、お金もたくさんあげられないって」

 答えたのは、亮。

「お父さんの、新しい奥さんに言われたの?」

萌絵花もえかって言うんだって。お父さんと十五歳も離れてて、お父さんのことを『たーくん』とか呼ぶの。キモイ」

 十五歳と言うと、まだ二十代。



 そんな若い子とデキ婚とか……。



 子供たちの前でなければ、いい年をして、と声を上げてあざ笑っているところだ。



 たーくんて柄かよ。



 真の言う通り、確かにキモイ。
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