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8.まさかの再会で……
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しおりを挟む俺は直感を大事にする。
勘と言えば適当に聞こえるが、その瞬間自分が感じたことを信じるのは自信に繋がると思っている。
とにかく俺は、夏依に好きだと言われた瞬間、結婚したいと思った。
正確には、結婚したいと、結婚したいと思えるほど愛する人を見つけて存在意義を実感したいと言う夏依の望みを叶えてやりたくなった。
叶えなければ、と思った。
そして、夏依の母親が言った『大人になればわかる』大事なことを教えたいとも。
ただ、俺が思うそれは、夏依の母親とは違う。
夏依の母親が言ったのは、子供に説明できないが故の誤魔化しだ。
実際には、我が子より大事な愛なんてあってはならない、あってほしくないと思う。
世の中には我が子を愛せない親もいると言うが、それを『仕方がない』で片付けられては、子供が可哀想だ。
そう思うのは俺が、見てると恥ずかしくなるほど仲の良い両親に育てられたからだろうか。
親の愛情を俺が与えることはできないが、男としてはできる。そうしたい。
突然目覚めたその欲求、欲望に戸惑ったのは、プロポーズ宣言した後だった。
プロポーズする宣言を本人に言うって……。
戸惑いというか、もはや落胆。
サプライズとは……。
いくらサプライズが苦手とはいえ、これはあんまりだ。
俺が女でも引く。
だが、言ってしまったものは仕方がない。
ピンチをチャンスに変えてきた実績は十分だ。
そうだ。三か月後に決断しなければと思えば、俺のすることすべてがその評価に繋がる。
なら、評価アップに尽くせばいい。
朝風呂でプロポーズ宣言した後、夏依の提案でもうひと眠りした。
激しいセックスと短い睡眠時間、朝風呂にと疲れる要素が多かったから当然だ。
俺は夏依をベッドに運び、洗濯機を回して寝室に戻ると彼女は眠っていたから、俺は自室に戻った。
布団に寝ころぶとすぐに瞼が重くなる。
遠くでスマホが鳴っているようだが、どうせまた香里だろうと思うと取りに行く気になれなかった。
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