サレたふたりの恋愛事情

深冬 芽以

文字の大きさ
64 / 120
8.まさかの再会で……

しおりを挟む


 俺は直感を大事にする。

 勘と言えば適当に聞こえるが、その瞬間自分が感じたことを信じるのは自信に繋がると思っている。

 とにかく俺は、夏依に好きだと言われた瞬間、結婚したいと思った。

 正確には、結婚したいと、結婚したいと思えるほど愛する人を見つけて存在意義を実感したいと言う夏依の望みを叶えてやりたくなった。

 叶えなければ、と思った。

 そして、夏依の母親が言った『大人になればわかる』大事なことを教えたいとも。

 ただ、俺が思うそれは、夏依の母親とは違う。

 夏依の母親が言ったのは、子供に説明できないが故の誤魔化しだ。

 実際には、我が子より大事な愛なんてあってはならない、あってほしくないと思う。

 世の中には我が子を愛せない親もいると言うが、それを『仕方がない』で片付けられては、子供が可哀想だ。

 そう思うのは俺が、見てると恥ずかしくなるほど仲の良い両親に育てられたからだろうか。

 親の愛情を俺が与えることはできないが、男としてはできる。そうしたい。

 突然目覚めたその欲求、欲望に戸惑ったのは、プロポーズ宣言した後だった。


 プロポーズする宣言を本人に言うって……。


 戸惑いというか、もはや落胆。


 サプライズとは……。


 いくらサプライズが苦手とはいえ、これはあんまりだ。

 俺が女でも引く。

 だが、言ってしまったものは仕方がない。

 ピンチをチャンスに変えてきた実績は十分だ。


 そうだ。三か月後に決断しなければと思えば、俺のすることすべてがその評価に繋がる。

 なら、評価アップに尽くせばいい。


 朝風呂でプロポーズ宣言した後、夏依の提案でもうひと眠りした。

 激しいセックスと短い睡眠時間、朝風呂にと疲れる要素が多かったから当然だ。

 俺は夏依をベッドに運び、洗濯機を回して寝室に戻ると彼女は眠っていたから、俺は自室に戻った。

 布団に寝ころぶとすぐに瞼が重くなる。

 遠くでスマホが鳴っているようだが、どうせまた香里だろうと思うと取りに行く気になれなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

処理中です...