サレたふたりの恋愛事情

深冬 芽以

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14.サレたふたりは……

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 夏依の手が息子を握り直し、ゆっくりと手を上下させる。

 彼女の頭を撫でると、犬か猫のように目を細めた。

 それが可愛くて、頬や顎を撫でると頬擦りされた。

 何度か扱かれただけで溢れた先走りが彼女の手を濡らし、そのぬめりが余計に気持ちいい。

「……っ」

 声を漏らしそうになり、唇をぎゅっと閉じる。

「気持ちいい?」

 甘い声で聞かれて、素直に頷いてしまった。

 恰好悪いと思う。だが、夏依が嬉しそうだから、まあいい。

 彼女の唇を親指の腹でなぞると、わずかに開いた唇から出迎えた舌先に濡らされた。

 目を細めて俺の指を舐め、俺が濡らした手で絶頂へと導く。

 夏依が香里に張り合ってシたがっていたのに、そうさせなかったのはわかっていたからだ。


 これ、絶対病みつきになる――っ!


 大学生の頃の友人で、AVにどっぷりはまって自慰に明け暮れ、いざ念願の彼女ができたのにデキなかった奴がいた。

 リアルの彼女はAV女優ほど可愛くない、胸も大きくない、卑猥なことも言ってくれない、自分の手ほど強く締め付けてくれない。

 当時俺は奴を笑い、憐れんだ。

 俺だけじゃない、他の奴らも。

 だが、危険は常にすぐそばに潜んでいたのだ。

 夏依以外に勃たないのは、いい。

 夏依以外でイケないのも、いい。


 だが――っ!


 夏依にシてもらわなきゃデキなくなるのは、マズイ。

 非常に、マズイ。

「夏依、もういい」

「ダメ」

「なにが――っ!」

 夏依の手がグッと根元に下りたと思ったら、あろうことか無防備な息子の頭からパクッと口に入れた。

「~~~っう――」

 これは、由々しき事態だ。

 舌で頭を撫でられて、息子は超ご満悦。

 悦びのあまり発射準備万端だ。

「夏依、マジで――」

 口の中には出したくない。

 これは、夏依を思ってというよりも、俺自身の事情からだ。

 そして、理由がたった今ひとつ増えた。

 AV好きの友人を笑った友人の一人に、フ〇ラ好きがいた。

 奴はセックスのたびに彼女に〇ェラをせがみ、サレなければデキなくなった。

 俺はこの話を聞いた時も、笑った。

『お前、サイテーだな!』と大笑いした。

 だが、自分がその危機に直面して、笑い事ではなかったと、友人に謝りたい。

 この危機を乗り切れたら、だが。

 生温かい口の中で彼女の唾液に濡れた息子が、もう我慢できないと悶えている。

 そして、もうダメだと身震いした瞬間、俺自身も背筋がぞわっと痺れた。

「――――っ!」

 俺は究極の選択の上、ギリギリのところで踏みとどまった。

 彼女の肩を押して腰を引くと、ちゅぽんっと淫靡で可愛らしい音を立てて俺の息子が夏依の口から飛び出した。

「なんで?」

 唇の周りを濡らした夏依が聞く。

 俺はソファの下に放られたTシャツを掴むと、それで彼女の口を拭いた。

 ソファを下りたら、攻守交代。

 夏依の両膝裏を掴んで広げると、問答無用で顔を近づけ、蜜口にしゃぶりついた。

「あぁ……っん」

 甘い声を上げながら、行き場のない夏依の手が俺の髪を掴む。

 既にしっとりしていたソコを舌の腹で舐め上げると、柔らかな膨らみがコリッと硬くなった。

「だめ……ぇ」

 きょろっと眼球を動かして見ると、恍惚とした表情の夏依と目が合った。

 わざと顔を少し離して、思いっきり舌を出し、敏感なソコに触れる瞬間を見せつける。

 彼女が息を呑むのがわかった。

 たまらない。

 チロチロと舌先を小さく動かして突くと、腰が跳ねる。

 浅く弾む呼吸、汗ばむ肌、震える声、潤む瞳。
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