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4.女子会
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しおりを挟む私も気になっていた。
だから、あきらから早めにランチの計画を立てようと言われた時、すぐさま麻衣にも連絡した。
ホテルのランチビュッフェを提案したのは、麻衣。
さなえが金額を気にしそうだと、麻衣が割引券を貰ったことにした。実際は、メル〇リで購入した。
十一時から四時までのんびりできるホテルを選んで、予約した。
さなえが文字通り目を輝かせてテーブルいっぱいに料理を持って来たのを見て、私たち三人は嬉しくなった。
私も、気分転換がしたかったから、ちょうど良かった。
一人で家にいても、比呂の事ばかり考えてしまう気がした。
「みんな、ごめんね」
それぞれ最初に持って来た皿をあらかた食べたところで、さなえが言った。
「この前、私があんなことを言ったから、気にして誘ってくれたんだよね?」
「そんなわけないじゃない! 私たちが会うのに理由とか必要ないでしょ?」と、麻衣が言った。
「そうそう。今日は、麻衣から報告があるからって集まったんだよね」と、あきらが言った。
「ね? 麻衣」
あきらの意地悪そうな視線に観念したのか、麻衣が口を開いた。
「彼氏が……出来ました」
少し照れながら、麻衣が言った。
「え!? マジで!?」
思わず、声が大きくなってしまった。
飲み会の様子では、こんなに早くまとまるとは思っていなかった。
「誰!? 後輩君!?」
「うん……」
「告られたの?」
「うん」
「よくOKしたね? この前は七歳も年下なんて、って言ってなかった?」
はにかむ麻衣が可愛くて、思わず質問攻めにしてしまう。
「押し切られた感じ?」と、さなえが聞いた。
「麻衣ちゃん、強引なのに弱いじゃない?」
「うん……」
ああ、確かにそうかも。
「年下だけど強引?」と、私はクスッと笑った。
「激しそ」
「やっぱり……そう思う?」と、麻衣が小声で言った。
意外な反応。
実は草食系?
「違うの?」
「わかんない」
「え? いつから付き合ってんの?」
「昨日」
「マジか」
本当に、ビックリだ。
麻衣が年下……。
何となく、麻衣には頼れる年上が合っているような気がしていた。
私の攻めをかわして、麻衣が飲み物を取りに立った。さなえも一緒に。
二人になった隙に、今度はあきらに目を向けた。
「で? どうして麻衣に彼氏が出来たことを知ってたの?」
私が気づかないとでも思っていたのか、それとも、気づいていても何も言わないと思っていたのか。あきらはチラッと私を見て、小さくため息をついた。
私を侮っちゃダメよ。
「昨日、札駅で会ったの」
「ふぅん?」
続きを催促するように、チラリと横目であきらを見る。
「龍也と出掛けた」
「珍し」
恋人みたいに出掛けたりはしない、って言っていたのに。
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