【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

文字の大きさ
26 / 147
4.女子会

しおりを挟む


 私も気になっていた。

 だから、あきらから早めにランチの計画を立てようと言われた時、すぐさま麻衣にも連絡した。

 ホテルのランチビュッフェを提案したのは、麻衣。

 さなえが金額を気にしそうだと、麻衣が割引券を貰ったことにした。実際は、メル〇リで購入した。

 十一時から四時までのんびりできるホテルを選んで、予約した。

 さなえが文字通り目を輝かせてテーブルいっぱいに料理を持って来たのを見て、私たち三人は嬉しくなった。

 私も、気分転換がしたかったから、ちょうど良かった。

 一人で家にいても、比呂の事ばかり考えてしまう気がした。

「みんな、ごめんね」

 それぞれ最初に持って来た皿をあらかた食べたところで、さなえが言った。

「この前、私があんなことを言ったから、気にして誘ってくれたんだよね?」

「そんなわけないじゃない! 私たちが会うのに理由とか必要ないでしょ?」と、麻衣が言った。

「そうそう。今日は、麻衣から報告があるからって集まったんだよね」と、あきらが言った。

「ね? 麻衣」

 あきらの意地悪そうな視線に観念したのか、麻衣が口を開いた。

「彼氏が……出来ました」

 少し照れながら、麻衣が言った。

「え!? マジで!?」

 思わず、声が大きくなってしまった。

 飲み会の様子では、こんなに早くまとまるとは思っていなかった。

「誰!? 後輩君!?」

「うん……」

「告られたの?」

「うん」

「よくOKしたね? この前は七歳も年下なんて、って言ってなかった?」

 はにかむ麻衣が可愛くて、思わず質問攻めにしてしまう。

「押し切られた感じ?」と、さなえが聞いた。

「麻衣ちゃん、強引なのに弱いじゃない?」

「うん……」



 ああ、確かにそうかも。



「年下だけど強引?」と、私はクスッと笑った。

「激しそ」

「やっぱり……そう思う?」と、麻衣が小声で言った。

 意外な反応。



 実は草食系?



「違うの?」

「わかんない」

「え? いつから付き合ってんの?」

「昨日」

「マジか」

 本当に、ビックリだ。



 麻衣が年下……。



 何となく、麻衣には頼れる年上が合っているような気がしていた。

 私の攻めをかわして、麻衣が飲み物を取りに立った。さなえも一緒に。

 二人になった隙に、今度はあきらに目を向けた。

「で? どうして麻衣に彼氏が出来たことを知ってたの?」

 私が気づかないとでも思っていたのか、それとも、気づいていても何も言わないと思っていたのか。あきらはチラッと私を見て、小さくため息をついた。



 私を侮っちゃダメよ。



「昨日、札駅で会ったの」

「ふぅん?」

 続きを催促するように、チラリと横目であきらを見る。

「龍也と出掛けた」

「珍し」



 恋人みたいに出掛けたりはしない、って言っていたのに。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

処理中です...