15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以

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3.後悔していますか?


 見れば、見積りは一社しかない。

 というか、雨漏りを直すだけのはずが、ゼロが一つ増えるほどの内容で見積りを出してもらうなんて、いいように流されているとしか思えない。

 私は、見積りの会社名を検索した。

 トップページに、和輝と同じ年くらいで、爽やかな笑顔でガッツポーズをした男性の写真がある。社長らしい。

 どうやら最近代替わりをして、ホームページが開設されたようだ。

 施工実績の写真は多くはないが、評判は悪くない。

「この社長さん、実物の方がいい感じのお兄さんだったわぁ」



 お義母さん、まさか社長が好みだからこんな見積り取ったわけじゃないわよね……。



「雨漏りだけ見てもらうつもりだったのに、親切であちこち点検してくれて。そしたら、やっぱりあちこちガタがきてるみたいなの。それで、一つ一つ直すより、まとめての方が時間もお金もかからないって言ってくださって」

 これだけ古い家ならば、あちこち痛んでいてもおかしくないが、だからと言って七十を過ぎた夫婦に一千八百万のリフォームなんて、どうしてできると思うのか。

 今からローンが組めるとは思えない。

「母さん。そんな金、どこにあるんだよ」

「ローンを組むのよ? 少しは頭金で払うけど、残りは――」

「――年金暮らしの夫婦にこんな大金――」

「――共同名義にすればいいんですって」



 共同名義……?



「この家の名義を、お父さんと和輝の共同名義にすれば、ローンが組めるんですって。そうしたら、お父さんが亡くなった後の名義変更も楽みたいよ?」



 いやいやいや。

 それって、お父さんが亡くなったら和輝が残債を払うんですよね!?



 お義母さんは見るからにるんるんして、既にこの見積りの内容でリフォームする気満々のようだ。

「母さん。うちのローンもまだ半分以上残ってるのに、この家のローンまでは組めないよ。それに、俺の共同名義にしたら、佑に権利はなくなるんじゃないのか?」と、和輝が言った。



 そうよ。



 カタチのあるものを遺されて揉めると、大変だと聞く。

「佑は私たちの遺産なんて興味ないみたい。お父さんとお母さんの面倒を見るのはお兄ちゃんなんだから、だって」



 ハッキリ言ったなぁ。



 お義母さんは顔色を変えないけれど、それはつまり、自分たちは親の面倒は見ないと宣言したも同然だ。

 わかっているのだろうか。

「面倒ったって、父さんも母さんも介護が必要なわけじゃないし、うちにはまだまだ手も金もかかる子供がいるんだぞ? 子供を作る気ないって稼ぎまくってる佑に援助してもらえよ」



 和輝、珍しくいいこと言ってる!



「佑と夢乃ちゃんにお世話になろうなんて思ってないわよ。親の世話って長男の役目って言うの? 実際は長男の嫁なんだけど」と言って、お義母さんがチラリと私を見る。



 結婚する時、長男の嫁だからって世話になる気はない、とか言ってませんでした!?



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